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【連絡が途絶えた友達】

◾️◾️◾️連絡が途絶えた友達◾️◾️◾️

連絡が途絶えた友達のことを、ふと思い出す瞬間がある。日常の忙しさに追われていると、昔よく一緒に過ごした友達の顔や名前が頭の片隅から薄れていくものだ。だけど、ふとしたきっかけで、その友達との思い出が鮮やかによみがえることがある。

僕にとって、その友達は高校時代の親友だった。放課後、よく一緒にゲームセンターに行ったり、ファストフードでだらだらと話し込んだり、何でもないことをして笑い合っていた。夏休みには一緒に自転車で遠くまで出かけて、どこに行くでもなく走り続け、途中でコンビニに寄って冷たい飲み物を買って飲む、そんな自由な時間が僕たちの日常だった。

でも、卒業後はお互いに違う進路を選び、少しずつ距離ができていった。大学に進学した僕は、勉強やバイト、サークル活動で忙しくなり、友達は地元で働き始めて、それぞれの新しい生活が始まった。最初はたまに連絡を取り合っていたけれど、次第に「今度遊ぼう」と言いつつも、実際には会うことがなくなっていった。

気がつけば、もう何年も彼と話していない。連絡先はまだスマホの中に残っているけれど、どうしてか自分から連絡を取ろうとはしていなかった。きっと彼も同じように思っているのだろう。何も大きな出来事があって疎遠になったわけではなく、ただ自然に、時間の流れの中で連絡が途絶えただけだ。

でも、時々その友達のことを思い出すと、「今、彼は何をしているんだろう?」と少し気になってしまう。彼も結婚して子供がいるのだろうか、仕事はうまくいっているのだろうか。お互いの生活が変わりすぎて、もう共通の話題がないかもしれないけれど、それでも一度くらいは久しぶりに会って話してみたいという気持ちもある。

実際に連絡を取る勇気が出るかどうかは分からないけれど、もし彼から突然連絡が来たら、僕はきっと喜んで応じるだろう。昔話に花を咲かせながら、今の自分たちの生活や夢を語り合う。それが叶わないとしても、連絡が途絶えた友達との思い出は、僕の心の中にずっと残り続けている。

人とのつながりは時に薄れてしまうけれど、完全に消えるわけではない。ふとした時に思い出すことで、その友情は心の奥底で静かに息づいている。もしかしたら、いつかまた彼と再会する日が来るかもしれない。そんな未来を、少しだけ期待しながら、今日もそのまま連絡先をスマホの中に残している。

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