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内視鏡専門医試験過去問ノート②2022年2月の過去問分析(総論+上部)

ノート②では2022年2月の過去問再現約50問分を掲載します。
2年間の試験延期のためか2022年2月は新問が多く、7月に再出題される可能性が高いと考えます。詳細に再現できた設問も多く、直近の過去問はそのまま出題される傾向があるので是非ご活用ください。

2023/07:本記事に掲載されている内容を全て印刷可能なPDFを本文末尾に掲載しました(パスワード設定あり)。ぜひ印刷してご利用ください。


目次が表示される前の無料公開部分に本文サンプルを一部掲載します。

----------ここから本文サンプル部分です----------

1.高水準消毒薬について正しいものを2つ選べ
a 過酢酸はたんぱく質と結合しバイオフィルムを形成しやすい
b グルタラールとフタラールはアルデヒド系に分類される
c 過酢酸は金属腐食性が高い
d フタラールは0.01ppm以下で使用する
e 過酢酸による消毒は30分以上かけて行う


【解説】消化器内視鏡関連ガイドライン2018のp1138参照。この問はハンドブックp55だけだと過酢酸の欠点として「材質を痛めることがある」としか書いておらず、消化器内視鏡関連ガイドライン2018p1138の表で過酢酸は「金属腐食性が高い」とあるのでガイドライン2018まで見ておいた方が正答しやすい設問でした。
aの「過酢酸はたんぱく質と結合」は恐らくフタラールの「有機物と強固に結合」と混同させるひっかけ選択肢です。
bは正解、「グルタラール(ステリゾール ®など)=グルタルアルデヒド」「フタラール(ディスオーパ®)=オルトフタルアルデヒド」の名称をどこかで目にしていると正答しやすかったと思います。
cは上記の通り消化器内視鏡関連ガイドライン2018p1138表参照、過酢酸は「金属腐食性が高い」とあり正解です。
dは0.05?0.01?と数字で惑わしながら、そもそも曝露限界値の記載はフタラールじゃなくてグルタラールだった、というひっかけ選択肢だった記憶です。
eは「過酢酸で10分以上の浸漬はだめ」というハンドブックp55の表をみていれば誤りと分かりやすい選択肢だった記憶です。(かさくさん→5文字なので5分まで、と覚えました)
※選択肢d,eの内容は記憶が曖昧で実際と異なる可能性があります。
【正解】 b, c


19.下咽頭の画像と部位名の組み合わせとして誤りを1つ選べ

2022年2月 考察19

a.披裂
b.口蓋弓
c.左梨状陥凹
d.輪状後部
e.下咽頭後壁


【解説】
JEDの設問や胃瘻造設の設問に続き、本設問では下咽頭後壁の解剖など2019年までは目立たなかったもののハンドブックに掲載されている範囲からの問題が多かった印象です。

本門は梨状陥凹について左右を迷わせる意図と、下咽頭後壁について中咽頭/下咽頭や後壁/前壁などを迷わせる意図があったように感じました。

こちらは内視鏡雑誌巻末「専門医学術試験問題とその解説」第295回(64巻10号)に公式の解説が載りましたので引用します。
<以下公式解説>
かつて、中・下咽頭領域は耳鼻咽喉科もしくは頭頸科が中心となって診療を行っていた。食道癌症例に頭頸部癌は高頻度に重複することから、食道癌診療の一環として、頭頸部重複癌スクリーニングは重要である。上部消化管内視鏡検査の挿入の際に中・下咽頭を通過するため、近年では消化器内科医も中・下咽頭領域の診療に携わる機会が増えている。以上の時代背景のもと、消化器内視鏡医が中・下咽頭領域の解剖を知っておくことは重要である。
頭頸部癌取り扱い規約第6版では、
 中咽頭は「硬口蓋、軟口蓋の移行部から舌骨上縁(または喉頭蓋谷底部)の高さまでの範囲」、
 下咽頭は「舌骨上縁(または喉頭蓋谷底部)から輪状軟骨下縁の高さまでの範囲」、
と定義されている。通常の状態では下咽頭領域は反射が強い上に、大部分の領域で管腔がつぶれているために内視鏡観察は困難である。そこで、経鼻内視鏡や特殊なマウスピース(ロ腔を閉鎖出来るもの)を用いて、息をすった後に息止めした状態(バルサルバ法)にすると、設問の写真の状況になり、下咽頭観察がしやすくなる。
<選択肢解説>
a:喉頭入口部を構成する声帯上部の披裂である。声帯上部の後面に位置し、左右に声帯ひだが付着している。左右の披裂部は前後左右に動くことが出来、声帯間を開閉したりや伸縮したりすることで様々な音を発声させる。(○)
b:声帯上部の披裂喉頭蓋ひだである。喉頭蓋と披裂をつないでおり、声帯上部の左右壁を構成している。なお、設問の口蓋弓は、口腔と中咽頭の境目(口峡)の左右壁を構成するひだ状の構造である。前口蓋弓(または口蓋舌弓)と後口蓋弓(または口蓋咽頭弓)があり、その間(口蓋弓窩)に口蓋扁桃が存在する。(x)
c:左の梨状陥凹である。梨状陥凹は下咽頭(咽頭喉頭蓋ヒダから食道上端まで)の左右壁を構成している。(〇)
d:輪状後部である。披裂部から輪状軟骨下縁までつまり下咽頭の前壁を構成している。(〇)
e:下咽頭後壁である。舌骨上縁(喉頭蓋谷の底部)の高さから輪状軟骨の下縁まで、ならびに一方の梨状陥凹尖端から他方の尖端までで、下咽頭の後壁を構成している。なお設問のc、d、eで囲まれた部位が食道入口部である。(○)
以上より正解はbとなる。
<以上引用>

なお口蓋弓については下記画像もご参照ください。(画像わかりにくいですが、ハンドブック改訂第2版p169-170からの引用です)

(2022年2月過去問 19 解説:参照画像)

披裂と喉頭蓋の名称や、「口蓋」がどこを指す語なのか等が分かれば比較的正答しやすい設問だったと思いますが全くノーマークだと迷った方も多いと思います。ハンドブック全体に一度は目を通しておくことでこういった新問を正答しやすくなる印象を受けました。

----------ここまでが本文のサンプル部分です----------

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