殺したくない

夢の中で何人も我が子を殺してしまう
まだ産んだことのない我が子を

あるときはコインロッカーを開けたら、赤子の遺体が出てきた
わたしは忘れてしまっていた 産んだはずの我が子を
怖かった
生きていてほしくて、一生懸命ミルクをあげようとした
でもかさかさになった赤子の唇はミルクを弾くこともなくただ湿った 呼吸はなく、吸い込むこともなく、ただ色のない唇から粉でつくったミルクがこぼれていった
かなしかった 死んでいた 受け入れられなかった

あるときの夢ではリュックサックから赤子の死体が出てきた また私は産んだはずの我が子を忘れてしまっていた
かさかさになった我が子を抱いて、生きていると思うしかなくて、抱いて歩いた
赤子の固体としての重さが腕に残って目が覚めた

最近のゆめでは、お腹のエコーを見た
お医者さんは「この子は死んでいる」と言っていた
生まれる前から死んでしまっていた
触ることもできない、影として映されるだけの我が子はみずいろをしていた
生まれたら赤くてあったかくて眠ったり起きたりするから赤子なんだと思う
その子は赤子になれなかった
ごめんね 


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