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WACK合同オーディション2021

今年もこの季節が来てしまった。一年が過ぎ去ってゆくのはなんと早いことか。「WACK合同オーディション」である。簡単に言うとアイドルになるためのオーディションなのだが、合宿として行われ24時間(睡眠中も)生配信されるという特殊なものだ。

 2016年(初回)の3泊4日から年をおうごとに合宿期間も長くなり、今では6泊7日の長期間の戦いになっている。もちろんオーディションなので脱落してしまえば、その場で終わりという残酷なもの(しかし翌日の早朝に救済措置がある)。歌唱審査、パフォーマンス審査、面談に、マラソン(上位の者は、なぜか折り返し地点でパンや炭酸を完食しなければならない)、デスソース入りの食事、学力テスト、コント・・・と書いていて芸人の番組か?と思ってしまうが、正真正銘アイドルのオーディションなのだ。

 放送はニコニコ生放送にて行われ、ニコ生の特徴でもある視聴者によるコメントが常に画面を占領し、視聴者たち同士の会話を見るのも面白みの一つ。1日の視聴者数が何十万人にものぼる怪物企画になっている。コロナ渦になる前は合宿を見学するツアーも組まれ高額ながらもはるばる九州の合宿地まで出向く猛者も沢山いた。

 なぜこんなにも熱狂的な信者を生み出しているのか。それはこの合宿が、少女たちの成長の記録そのものであり、必死で勝ち残ろうとする彼女らの死に物狂いの姿に心を打たれるからだろう。合宿を視聴するようになって3年程経つが、いつも合宿中に感動し涙してしまいそうになる。もがく姿、必死に努力する姿に、感情移入してしまうのだ。先ほども合宿3日目の昼にして、パフォーマンス審査を見ながら初泣きを完了したところだ。(このWACKオーディションを見る前は、誰かがパフォーマンスする姿で泣くなんて思ってもいなかった。)

 ニコニコ生放送にはプレミアム会員という有料のサービスがあって、それに登録をすると今回の合宿を24時間まるまる見ることができる(就寝中の寝室も暗室カメラで生配信という徹底ぶり)。だが、私は一般会員なのでいわゆる「布団監視」は出来ない。それはそれで全然良いのだが、人気が沸騰するあまり視聴者が増え、回線が混み合い、視聴から弾かれてしまうことがある(プレミアムだとそれがない)。初日は日曜日だったこともあって視聴者数が爆発し、ほぼ弾かれてしまった(平日も夜は大事なところで弾かれたりする)。それが悲しくもあり、悔しかったのだが、今年はそれでもいいのかなと思うことにした。

 例年、この合宿期間中の1週間は画面にかぶりつきの状態になってしまう(それはそれで楽しいのだが)。候補者や現役のアイドル(この合宿には先輩となる事務所所属アイドルたちも参加する)の姿に感動し、心動かされ、自分も頑張るぞという気持ちになるが、その熱い心を持続させることが難しく何となく1年を繰り返してしまう。もういい加減、この変われない自分の殻を破る時だ、という思いもあるので、視聴はそこそこに(適度な距離を保ちつつ)、自分も候補者になったつもりでやるべきことを死に物狂いでやる週間にしたいと思ったのである。

 と、思ったのは良いものの、もう3日目である。光陰矢の如しすぎる。ほぼ折り返し地点は過ぎようとしている。この合宿の早朝マラソンで言えば、パンであったり、炭酸であったり、アイスであったり、お米であったり、何かしらの試練が与えられる時だ。気を引き締め直して、もっと頑張りたい。(だけどやっぱり画面から目も耳も話せないでいるのだった。)

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