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2022福岡ソフトバンクホークス ぼくがかんがえた最強のプロテクトリスト

 こんにちは。えむらです。
 今回は普段の初心者によるカジュアルなMTG記事ではなく、ホークスが近藤を獲得したことに伴い、人生27年のうちホークスファンとして19年を過ごした私がガチでプロテクトリストを考えたので発表したいという記事になります。

 極力無難な表現を心がけていますが、当落線上の選手についての記述では一部批判的な見解を示すこともあるので、苦手な方はブラウザバックを推奨いたします。

 なお、あくまで1ファン個人の見解になので、独断や偏見に基づき、贔屓が含まれていないとは言えないこと、怪我で離脱して以降二軍でも出場のない選手の回復具合等把握し切れていない部分があることはご了承ください。

プロテクトリスト

 今回、筆者の独断と偏見で作成したプロテクトリストはこちら。

+嶺井博希をプロテクト

基本方針

 前提となる基本的な方針として、今回作成したプロテクトリストは契約にプロテクトリストに関する条項を盛り込んでいる可能性等、ファンの立場からは見えず推測も困難な事情は考慮していない。
 また、今回はファイターズの球団事情よりもホークスの球団事情を重視している。これは思考停止というわけではなく、理由があってそうしている。

 今回人的補償で選手を選択するファイターズは、2022年シーズンで5位と9ゲーム差の最下位に沈み、その上でWAR4.0の近藤が退団する。来季は育成の年にする可能性が高いと見ているが、人的補償でプロスペクトや比較的若めの即戦力を選択することが濃厚ではあっても断言はできないのがファイターズである。

 ファイターズの人的補償といえば、2017年の大野奨太の移籍に伴い、不可解な動きがあったことは記憶に新しい。中日からのプロテクトリストを受け取った当初は好意的な反応であったが、最終的には金銭補償を選択した、というものである。これには様々な憶測が飛び交い、その中の一説が、ある新聞社が報じた「岩瀬を選択すると決めていたが、諸事情により断念した」というものである。諸事情については「日ハム 岩瀬」で調べるとすぐに到達できるので、各自で確認願いたい。筆者は本件を一社の憶測、信用に値しないと考えていたが、昨年、元中日ドラゴンズ選手で現解説者兼YouTuberの川上憲伸氏が本件に触れた(動画テロップで「噂です」としており、あやふやな話という断りも入れていたが)ことで、信用に値しないとも言い切れないという思いが生じた。仮に真実であれば、ベテランだから選択されないだろうという考えはファイターズには通用しないことになる(当然ファイターズの権利なのでそこにはまったく非はない)。加えて新球場のエスコンフィールドHOKKAIDO開業の年ということもあり、名前の売れているベテランを選択する可能性も捨てきれない。

 長々とファイターズと人的補償について述べたが、要するに「ファイターズが何を重視して人的補償を選択するか読めないのだから、素直にホークスの球団事情で選択されたら困る選手をプロテクトするのが正しい」ということである。

 ただし、以上を踏まえても一つだけファイターズの球団事情で考慮すべき点が存在するため、「リスト外特記選手」の項目にて述べる。

セイバー視点で作るFA選手格付け。DELTA選出FAランキング2022(DELTA編集部 2022.10.29)

【総額6億】又吉FAの人的補償 ソフトバンク推し選手は◯◯!岩瀬さんプロテクト漏れの噂は本当?(川上憲伸 カットボールチャンネル 2021.12.17)

 そしてホークスの球団事情であるが、来季は3年ぶりの優勝を懸けた勝負の年と見て間違いないだろう。今オフはファイターズから近藤、ロッテからオスナ、タイガースからガンケル、ベイスターズから嶺井と、久々の大型補強を行っている。ここまでの大型補強はサファテ、李大浩、スタンリッジ、ウルフ、鶴岡、中田賢一を獲得した2013オフ以来か。勝負の年ということは、替えの効かない戦力を流出させることは許されない。

 そこで、ホークスにとってどのポジションが最も替えが効かないのかを考える。筆者が考える現時点でのベストオーダーは以下の通り。
※日本でのプレー歴がない新外国人は考慮しない

捕手:甲斐
一塁:野村勇
二塁:三森
三塁:栗原
遊撃:今宮
左翼:正木
中堅:牧原
右翼:近藤
DH:柳田

先発ローテーション
東浜-石川-ガンケル-板東-藤井-和田→大関
※和田は体力的に短いイニングを投げることが予想されるため、第二先発として、先発・リリーフともに経験がある大関に繋ぐことを前提とした。

リード時6回以降リリーフ
松本-又吉-モイネロ-オスナ

続いて、ベストオーダーの各選手が離脱した場合の入れ替わりを想定する。

まずは野手陣から。
※入れ替わり先がスタメン選手の場合は、その選手が離脱した場合の入れ替わりがそこへ続く。
例)野村勇→①一塁:正木のケース
この後に正木が離脱した場合の入れ替わりが続くため、
一塁:正木 左翼:近藤 右翼:上林or周東
となる。

甲斐→捕手:嶺井
野村勇→①一塁:正木
    ②一塁:リチャードor中村晃
三森→①二塁:野村勇
   ②二塁:周東
   ③二塁:牧原
栗原→①三塁:野村勇
   ②三塁:周東
   ③三塁:牧原
今宮→①遊撃:野村勇
   ②遊撃:周東
   ③遊撃:牧原
正木→左翼:近藤 右翼:上林or周東
牧原→中堅:周東or上林
近藤→右翼:上林or周東
柳田→DH:近藤or正木

至るポジションで周東と野村勇、牧原の名前が出ている。この3人がいればある程度のアクシデントには対応できるということになり、それ以外の選手はある程度将来性でリストを作成しても問題ない。
上林は外野全てのポジションで名前が出ているが、今季アキレス腱断裂の大怪我をしているため、前3人ほど優先度は高くなく、怪我の回復状態によってはリスト外の可能性もあるだろう。たとえ上林が選択されたとしても柳町は残るので、左翼と右翼は周東と合わせて2人以上のサブを用意できると思われる。ただし、中堅は柳町に任せるには現状不安があるため、上林が選択されると層が薄くなってしまう。

次に投手陣。投手陣は基本的に誰が離脱したとしても次点の選手が穴埋めをすることになるため、シミュレーションは必要なく、次点の選手が誰かだけを考えればよい。

先発
(大関)・武田・田上・高橋礼・杉山・笠谷

リリーフ
森・甲斐野・津森・泉
大関は和田の第二先発としても名前を挙げているため括弧書き。

 昨季から先発投手陣の整備は課題であったが、さらに千賀が退団。ガンケルの獲得が濃厚であるが、それだけでは千賀の穴は埋まらないだろう。また、先発ローテーションには昨季途中から先発転向の板東、来季から先発転向の藤井と、力は確かだが1年間を計算するには不透明な選手が入っている。次点候補の武田・田上は今季の登板試合は好投したもののその数自体が少なく、以降の選手は近年の成績が振るわない。プロテクトを厚めにかけ、戦力の頭数を確保する必要があることを示している。

プロテクト枠内訳

 「プロテクト確定」「プロテクトすべき」「当落線上」に区分している。

プロテクト確定選手

 プロテクト確定(ファン視点で確定も何もないといえばその通りだが)選手は以下の10人。

・柳田悠岐
・栗原陵矢
・東浜巨
・今宮健太
・石川柊太
・和田毅
・藤井皓哉
・三森大貴
・野村勇
・甲斐拓也

 意見が分かれるとすれば和田毅・石川柊太・甲斐拓也だろうか。

・和田毅
 Twitterで上のリストをツイートした際に、和田を外して他の選手を入れるべきという意見もあった。ホークスの来季の課題は千賀のメジャー挑戦により穴が空く先発陣の整備であるため、今季16先発、防御率2.78の和田は必要戦力である。加えて、先述の岩瀬の件があるため、ファイターズがベテランを選択しないとは限らない。よって、リスト外とする余地はないと考える。

・石川柊太
 私のツイートに対する意見はなかったが、Twitter上にちらほらと外れているリスト予想が見られるため触れておく。和田と同じ理由で今季23先発で防御率3.37の石川は必要戦力である。

・甲斐拓也
 今季の成績は振るわなかったが、昨季までの甲斐は捕手として平均以上の打撃とコントロールに難がある選手も多いホークスの投手陣を支える安定した壁性能、そして「甲斐キャノン」と称される驚異的な肩力を持つ、日本代表常連の優秀な選手(と筆者は考えている。様々な意見があるのは承知)。
 来季も今季と同じような成績だった場合は流石に考えものであるが、不調の原因は従来の覆いかぶさるような独特の打撃フォームを変更したことにあると思われ、秋季・春季キャンプで適応するなり、元に戻すなりで開幕までに改善されることを信じている。

プロテクトすべき選手

 プロテクトすべき(ファン視点ですべきも何も略)選手は以下の15人。
・大関友久
・松本裕樹
・牧原大成
・周東佑京
・板東湧梧
・嘉弥真新也
・正木智也
・又吉克樹
・リチャード
・井上朋也
・甲斐野央
・渡邉陸
・津森宥紀
・風間球打
・嶺井博希

 意見が分かれるとすれば風間球打・井上朋也・リチャードだろうか。

・風間球打
 今季は三軍で基礎作りをしており、実力が見えてこない選手ではあるが、流石に高卒ドラ1を1年でプロテクト外はありえないと考える。たとえ文●に何かをすっぱ抜かれていたとしても。

articles/-/55715
何とは言わんが

・井上朋也
 風間同様、高卒ドラ1を2年でプロテクト外はありえないと考える。これがもし4年以上なら話は違ってくるが…

・リチャード
 プロテクト予想ではリストから外れていることが少なくない選手だが、右の長距離打者候補は現在のホークスでは貴重であり、今季は二軍でリーグ本塁打記録を樹立した。来季は一軍で少し我慢をしてでも試す価値がある選手だと思う。

当落線上の選手

ここまでは内容が薄かったが、ここからが本題。当落線上の(ファン視点で略)選手は以下の8人。
・上林誠知
・武田翔太
・田上奏大(ここまでリスト入り)
・高橋礼
・田中正義
・笠谷俊介
・川瀬晃
・杉山一樹
・泉圭輔

 ここに挙げた選手は全員、意見が分かれてもおかしくないと感じている。筆者としても期待している選手たちで、この中から6人もリスト外とするのは非常に忍びない。

・上林誠知
2022年の主な打撃成績
打率.301(93-28)本塁打1 出塁率.337 長打率.409 OPS.745
 当落線上の一人目は上林とした。
 今季はアキレス腱断裂の大怪我で以降出場なしだが、離脱前のOPSは.745と良好。走塁と守備の良さは一軍で活躍していた頃から衰えておらず、先の離脱者シミュレーションでも多く名前が挙がった。安定して復調すれば走攻守で優秀な選手であり、レギュラー復帰も見えてくる。参考程度の情報であるが、現ファイターズGMの稲葉氏は日本代表監督として2017年の強化試合で上林を選出、評価の高さを口にしており、リストから外れれば怪我を承知で選択される可能性は低くないと思われる。
 以上より個人的にはリスト入りだが、怪我の状況により復帰後に走塁と守備のレベルが大幅に落ちてしまうことが濃厚なのであれば外れる可能性はある。怪我の状況はファンからは見えてこないため、リストに入っていたとしても外れていたとしても、現場の見る目を信じたいと思う。

・武田翔太
2022年の主な投手成績
10試合(4先発)28回 防御率2.87 奪三振率10.83 WHIP1.43
 かつてのエース候補も今季は怪我で離脱してそのまま登板なし。高年俸もあり指名のリスクは低いように思えるが、離脱前は防御率2.57、奪三振率10.93と上々。来季は千賀がメジャー挑戦で退団するため、一軍戦力になる可能性のある先発候補は万が一に備え厚めにプロテクトしたい。

・田上奏大
2022年の主な投手成績
2試合(2先発) 7.1回 防御率2.45 奪三振率2.45 WHIP1.36
 20歳の若さでプエルトリコのウィンターリーグへと派遣されていることから、首脳陣の期待が窺える。ウィンターリーグでの成績は確認できないが、ソフトバンクホークス公式サイトの記事で確認できる限りでは2回無失点、5回1失点と順調であるように見える。有望な先発候補であり、将来への期待も込めてリスト入り。

・高橋礼
2022年の主な投手成績
4試合 3.1回 防御率13.50 奪三振率5.40 WHIP2.70
 2019年に143回を投げて12勝、防御率3.34を挙げて新人王に輝くも、一軍で最後に活躍したのは2020年、今季はファームでも防御率3点台と近年振るわない印象。一方、フェニックスリーグでは復調の兆しを見せた。
 プロテクトリスト作成当初は高橋礼も先発候補として最後の枠でリスト入りするつもりでいたが、プロテクトリスト作成サイトでは今オフに獲得した嶺井が反映されておらず、嶺井も選択対象であることが判明した。復調の兆しがあるだけに苦肉の策となるが、今回はリスト外とした。上林の回復具合次第では入れ替えも考えられる。

・田中正義
2022年の主な投手成績
5試合 5回 防御率0.00 奪三振率10.80 WHIP0.40
 今季一軍で5登板とはいえ防御率0.00、奪三振率10.80と覚醒を予感させる内容であったことは間違いない。今回作成したリストからこの選手を外したのは、積極的に田中正義を外すべきという意見を持っているのではなく、チーム事情や個人的な期待・見解から他の当落線上の選手たちをこれまで挙げた理由でリスト入りさせたかったことに尽きる。28人という制限がある以上、期待している選手も外れてしまうのはやむを得ない。

・笠谷俊介
2022年の主な投手成績
16試合 17回 防御率6.35 奪三振率7.41 WHIP1.65
 2020年に20試合(11先発)で57回を投げ、防御率2.84、奪三振率10.58を記録してプロスペクトとして名を馳せた。しかし今季は16試合で先発なし、防御率は6.35と伸び悩んでいる。一皮剥ければエースになる可能性を秘めている選手ではあるが、28人の枠からは外れてしまうと考える。

・川瀬晃
2022年の主な打撃成績
打率.278(90-25) 本塁打0 出塁率.327 長打率.333 OPS.660
 内野をどこでも守れるユーティリティプレイヤーで、今季は主に新型コロナウイルスで選手が大量に離脱した際に活躍し、キャリアハイの成績を残した。仮に昨季にこの成績を残し、昨季のプロテクトリストを考えるのであればもしかしたらリスト入りしていたかもしれないが、今季は非常に多くのユーティリティプレイヤーが台頭、復調した。新型コロナウイルスの影響でいつ誰が離脱するか分からない状況下、ユーティリティプレイヤーはありがたい存在であることは間違いないが、リスト入りするにはもう一押し足りない印象。

・泉圭輔
2022年の主な投手成績
30試合 29回 防御率3.72 奪三振率7.76 WHIP1.14
 今季は防御率で見るとキャリアワーストの成績となり、本調子でないシーズンだったといえる。2021年は防御率2.73、2020年は防御率2.08と昨季以前は優秀な数字を残しており、Full-Countの記事を含む多くのプロテクト予想でリスト入りしている選手であるが、今回リスト外にしたのには理由がある。
 泉がキャリアで登板数をイニング数が超えたのは2019年のみ、それも14試合(1先発)18.1イニングと、起用法が定まっていない頃の記録である。以降は中継ぎの1イニング以下オンリー、過去も現在も勝ちパターンに入っていないというのが実情である。先発候補の選手たちと比べると優先度が落ちることは否めない。
 世論とは逆の意見となるため外す理由を並べることになったが、昨季以前の貢献は忘れていない。これ以上にリストに入れたい選手が28人いるだけで、泉を外すのに惜しい気持ちは当然あることは書き添えておく。WHIPは2021年や2020年よりも良い数字が残っており、今季は成績が下振れしたという見方も可能。リスト入りの予想をする意図も理解できる。

鷹のプロテクト28人を“大胆予想” 実績組漏れる投手陣…リリーフ不足のハムが狙う?(Full-Count 2022.12.13)

・杉山一樹
2022年の主な投手成績
10試合(9先発) 42.1回 防御率6.80 奪三振率 7.87 WHIP1.68
 今季は藤本監督の期待を背負って9試合に先発も、それに応えたとは言い難い成績となった。特に、このイニング数で与四死球27はいただけない。193センチの長身とそこから投げ下ろす速球は魅力だが、現状では上林・武田・田上・高橋礼と3枠を争う力はないと考える。

リスト外特記選手

 中村晃や森唯斗については、今回のリストでは当落線上としても検討しておらず、最初から外すことを決めていた。この2人には選手個人のファンがいることは把握しており、その方々はこれを見て怒るかもしれないが、あくまで筆者の独断と偏見ということで容赦願いたい。

 基本方針の項で「一つだけファイターズの球団事情でリスト作成時に考慮すべき点が存在する」と述べた。それは昨オフのノンテンダー騒動である。騒動の概要については、以下の記事で分かりやすくまとまっている。
【解説】日本ハムが選択 西川遥輝、秋吉、大田の「ノンテンダー」とは?(日刊スポーツ 2021.11.16)

 ノンテンダー騒動から見えてくるのは、ファイターズが持つ「お金と能力」のコストパフォーマンス意識の高さである。これは西川遥輝のような長年の功労者に対しても適用される。以上を踏まえて、中村晃、森唯斗の2人をリスト外とした理由を述べる。

・中村晃
2022年の主な打撃成績
打率.253(379-96) 7本塁打 出塁率.334 長打率.351 OPS.685
 キャリアハイの出塁率は4割を超え、今季終了時点の通算安打数は1247と、選球眼とバットコントロールを兼ね備えた選手。選手会長を務める等、チーム内の信頼も厚いと推測できる。
 それでもリスト外としたのは、昨オフに球界に衝撃が走った西川遥輝へのノンテンダーが最大の理由である。

 中村の今季の推定年俸は2.4億円(来季年俸は執筆時点では契約未締結のため不明)、西川がノンテンダーで放出された時点での推定年俸も2.4億円であり、今季の中村と同額である。

 筆者は、西川と中村晃の選手としてのタイプは近く、どちらかというと西川が上と捉えている。
 両者選球眼が良い巧打タイプで、全盛期のOPSは.8前後、指標は足が速い分西川有利といったところ。年齢は中村が33歳、西川が30歳と西川の方が若く、最後にOPS.800を超えたのも中村が2018年、西川は2020年と西川の方が近い。
 また、ノンテンダー騒動当時の西川は2016年の日本一に大きく貢献した生え抜きの功労者であり、ルックスの良さも相まって高い人気を博していた。
 それでも昨オフに西川をノンテンダーで放出したファイターズが、中村を人的補償に選ぶとは思えない。

※追記:執筆中の12/14に中村が1.5億円×2年の契約をしたことが報じられた。2022年にノンテンダーで移籍した西川の楽天での年俸は8500万円であり、当時、仮に楽天から声がかからずファイターズと再契約することになったとしてもそれ以上の提示をする気がなかったであろうことを考慮すると、やはりこの理屈は変わらない。

ソフトバンク中村晃が4年契約、2.4億円スタートの変動制「びっくりした」(Full-Count 2022.12.22)

【日本ハム】西川遥輝、2億4000万円で1年契約…米挑戦かなわず「実力のなさ痛感した」(スポーツ報知 2021.1.22)

【ソフトバンク】中村晃、異例の“2・5年契約”でサイン 年俸変動なしの1・5億+出来高 代理人の北村弁護士が同席(スポーツ報知 2022.12.14)

 ホークスの主観で球団事情を考えても、来季レギュラーの座が安泰と言えるのは柳田、近藤、(復帰次第)栗原の3人のみで、他のポジションは全てレギュラー争いが生じる。その状況で現在の中村を考えると、「今季OPS.685の33歳一塁手」となる。もちろんベテランとして若手への指導の役割を担っていたりもするのだろうが、それを踏まえても他にプロテクトすべき選手はいると考える。

・森唯斗
2022年の主な投手成績
29試合(2先発)34.1回 防御率2.62 奪三振率7.08 WHIP1.22
 昨季の不調から復活を遂げた元守護神。今季はショートスターターではあるが先発も経験し、新たな道を開いた。
 千賀がメジャー挑戦で抜ける来季は、ショートスターターも含めた投手運用が必要になってくると思われる。今季それを経験している森は間違いなく必要戦力であるが、なぜリスト外にするのか。それは、単年あたり4.6億円+出来高という高額の推定年俸である。

 先に述べたように、ファイターズは「お金と能力」に高いコストパフォーマンス意識を持っている。一方のホークスは功労者に対して、直近の成績や現在持っている能力だけでなく、過去の功労分を大いに考慮した年俸査定を行う節がある。
 森は2014年以降のホークス黄金期を支え続けた選手であり、この推定年俸には功労分も含まれていると見て間違いない。つまり、ファイターズの主観に立つと、年俸と能力が釣り合っていないのだ。万が一人的補償に選択されると痛い選手ではあるが、その可能性は低く、リストに入れる必要はないと判断した。

森、現状維持4・6億円で更改「自分の中で最悪の年だった」 漁業関連への寄付も(西日本スポーツ 2021.12.23)

終わりに─近藤健介の獲得は正解だったのか?

 28人というプロテクトリストの制限がある以上、どうしても放出するには惜しい人材もリスト外とせざるを得ない。本記事をここまで読んでいただいた方には、それが十分伝わったと思う。
それでもなお、FAで人的補償が必要な近藤を獲得したのは正解だったのだろうか。

 筆者は大正解であったと考えている。近藤は柳田、栗原とともに打線の中軸を担える選手で、人的補償のリスクを考慮してもしっかりとお釣りが来る実力を備えている。

 そして、近藤争奪戦で最後まで争った相手は、今季優勝チームのオリックス・バファローズである。オリックスは今オフ、主砲の吉田がメジャー挑戦で退団したが、西武ライオンズから森友哉をFAで獲得している。
 一方、今季首位と同勝率、直接対決の結果で2位に終わったホークスもエース千賀がメジャー挑戦で退団したが、ロッテからクローザーのオスナ、阪神から先発のガンケルを獲得しており、加えて今季シーズンの大部分をリハビリに費やした栗原が復帰予定だ。

西武 森友哉がオリックスに移籍へ 国内FA権行使 球団が発表(NHK NEWS WEB 2022.11.16)

ソフトバンク ロッテで今季好成績残したオスナと元阪神・ガンケルの2投手を獲得へ(スポニチ 2022.12.13)

 最後の最後まで優勝を争った両球団ともにチームの看板とも言える選手がメジャー挑戦により退団し、有力な選手を補強。近藤の去就で戦力バランスが左右される状況といっても過言ではなく、近藤獲得はオリックスへの入団阻止という側面での価値も大きい。全球団万全の体制という前提であれば、ホークスの開幕前時点の戦力は一歩抜け出したと見てよいだろう。
 とはいえ、近年は開幕前にホークスが優勝候補筆頭と評価されながら、怪我人が続出して優勝を逃した年が何度もあり、加えて新型コロナウイルスの影響でいつ誰が離脱するか分からない状況である。順位が確定するまでどうなるか分からないのがプロ野球の面白さでもあるので、来季は優勝へ大いに期待しつつも、熱くなりすぎず落ち着いて観戦したいと思う。

ソフトバンクがFA近藤健介の獲得を発表 背番号は3に(西日本スポーツ 2022.12.12)

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