天国
動かなくなってしまった大切なものがゆっくりと私に実感を引き連れてきて、そうして寂しさだけを残していった
この気持ちはじんわりと身体の中を巡って少しずつ大気の中に戻っていく
私が息をする度
痛みが薄れていくのが少し怖くて
違う次元に飛ばされてしまったみたいな浮ついた気持ちが押し寄せては
現実に引き戻される瞬間がどうも酷く冷たいのを知った
思い出せない、
そうじゃない
霞んだ記憶が視界をよぎる度、
思い出せないことを知りたくないんだ
私はずるいな、
あなたが向けた限りない愛が
嬉しくて温かくて漠然と、少し怖かった
きっと無くなってしまうことが、
すごく怖かった
そばで見守ってくれるよと誰かが言ったけど、
あなたはもしかして、今
空中で分裂して私の一部になっているのかしら
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