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想定外の始まり [出産当日]

ちょうど1週間前。
順調に35週の妊婦をしていた私に降りかかった嵐のような1日の振り返り。
その日は9時半から妊婦検診の予定だった。

当時は深夜に1回目覚め、明け方にもう1回目覚める、という眠りの浅い日々だった。いつものように深夜に目覚め、一度クーラーを入れた。

6:20
明け方、再度ウトウトと目覚める。

自分からなんか生暖かいものが・・・え、おもらし??
いや、でもそういう量じゃない、止まらない。
寝ぼけてよくわからないまま、とりあえず夫を起こし、「何か出てる、とりあえずトイレ行ってくる」といってトイレに。

その間も、流れ続ける私の得体の知らない水分。。。もしや、これは破水???一気に目が覚める。
奇跡的に母が上京しており(その日の新幹線で帰宅予定だった)、母も起こし、「破水かもしれない」と騒ぎ出す私。

私「とりあえず病院に電話しよ!」
母「でも、今日検診やろ?そんな焦らんでもその時に言えば大丈夫やろ。今行っても帰されるんちゃう」

そもそも破水というのがどういう状態なのかも、何を意味するのかもよくわからないまま、とにかく不安だったので母の言うことを聞かず、まずは病院に電話することに。

6:30
いざ電話をしようとするも、病院の番号がわからない。大代表にかけても…と思いながら、とりあえずかける。
後から知ったけど、35週の検診以降で、何かあった時の連絡先を教えてもらう仕組みだったらしい。なんとか、産科に繋いでもらうと、優しそうな看護師さんらしき人の声。

看護師「破水したら、基本的には入院になります。入院バックの準備はできていますか?」
私「え・・・そのまま入院ですか!?入院バックはまだ準備できてません・・・」
看護師「とりあえず最低限のものだけ持って、すぐ病院に来てください」

そこからドタバタ。入院用に買ったはずの前開きのパジャマはちょうどその時着ていて、水浸しだし、ほかに持っているものはない。ほかにも色々、ない。動くと体に悪そうだから自分は動けず夫と母に「○○にあるあれ取って!」「それじゃない!」みたいなやり取りを結局30分くらい繰り返し、7時過ぎにタクシーを呼んでもらって家を出る。陣痛タクシーも、もちろん未登録。

7:00頃 
やっとタクシーに乗る。夫と母も一緒に来てくれた。タクシーの中ではひたすら不安。

私「羊水がなくなったら赤ちゃんが危険じゃない?大丈夫かな…涙。今日産まれてきたらどうしよう」
母「ないない、それはない。先生に診てもらったらまたすぐ帰れるやろ」

どこまでも呑気な母・・・

7:30頃 
病院に着く。妊婦検診とは違う待合室に通され、先生を待つ。そして、先生登場。

先生「あーこれは完全に破水してるね。子宮口も1cm開いてるね。一般的に35週過ぎていたら、破水が起きて陣痛が来たら止めることはしません」
私「え、これから産むってことですか???」
先生「うーん、破水が来たら50%くらいは24時間以内にお産になるね。でも、大丈夫だよ。ここだと、35週だったらちょっと早かったね、くらいで済むから大船に乗ったつもりでいてもらっていいから。」
私「ということは、このまま出産まで入院なんですか?」
先生「そうだね。破水したら感染の危険もあるから、病院に居てもらわないとね。」

8:00頃

あれよあれよと私の入院準備が進められ、安静レベルなんとか、と言って車椅子での移動しかだめ、と言われながらベットに寝かせられ、いろんな針をさされ、おなかにはベルト。(多分これがNST・・・結局NSTを検診で経験せずその日を迎えた)そこから1時間弱、様子見。面会は13時からなので、いったん家族は帰宅。

看護師「今、おなかが張ったのわかりましたか?」
私 「いや・・・わかりません」
看護師「痛くなったタイミングでいつでも言ってくださいね」
私 「数分前、なんとなく、重い感じはありましたけど、痛い感じではないです」

その後、ちょっと痛いです、くらいのを2回くらい伝えた。後から知ったけど、9時頃から実は陣痛が始まっていたらしい。

9:40

再び診察。子宮口が4cm開いているといわれ、LDR室に移動することに。ちなみに、この時点ではたいした痛みはなく、「4cmって結構来てるやつだ…でも痛くない」なんて、冷静に思ったりしていた。LDRは立ち合いができるとのことで、夫を呼んでいいよと言われる。

看護師「バースプランは書いてますか?」
私「まだ書いてないです」
看護師「立ち合い同意書はありますか?」
私「多分、そのファイルに挟まってます…でもまだ書いてません」
看護師「麻酔同意書ありますか?」
私「まだです、まだ説明も受けてません…。カンガルーケアの同意書もまだです」
看護師「今回は、赤ちゃんが未熟児で産まれるから、自分で呼吸できるか、わからないからすぐに先生に診てもらうことになるからカンガルーケアは難しいんですよ・・・」
私「そうですか。。。涙」

ありとあらゆるものが、準備されていない。でも、その時点で、右手には自動で測る血圧計が、左手には抗生物質の点滴が刺さっており、もはや身動きが取れない私。髪の毛を結びたくても結べない。(本当は出産前にばさっといく予定だったのに・・・)あぁ、せめてバースプランくらいは書いておきたかった。

10:30

たまに、痛みの波がくるようになった頃、麻酔の説明を受ける。メリットデメリット、リスクについて聞く。麻酔をすると、お産が長引く可能性があるとのこと。もともと、麻酔を望んでこの産院を選んでいるくらい無痛を求めていたのに、いざとなると、リスクが気になる。赤ちゃんのためにはもしや自然分娩の方がよいのでは…とも思いながら、やっぱり麻酔をうってもらうことに。

麻酔科医「じゃあ麻酔の準備しますね」
私「え、もう打つんですか。まだ痛みそんなにないので、もう少しあとでもいいかと」
麻酔科医「お産が一気に進む可能性があるので、今、打っておいた方がいいですよ」
私「そうですか…じゃあお願いします」

麻酔はまず、表面麻酔をしてから、硬膜外麻酔を打つ。相当ビクビクしていたけど、正直全然いたくなかった。点滴用の太い針の方が10倍痛かったくらい(しかも、うまく入らず3回やり直しされて悶絶した)。

もともと、陣痛の痛みもわからなかったくらいなので、麻酔が効いてくる感覚も特になく、でもその後、痛みを感じることもなく、ひたすら待つ。

11:30

夫、到着。到着するなり、会社から電話がかかってきて退室。何故かその間に、いろんな機材が部屋に運ばれ始め、準備がはじまる。一気に不安が押し寄せて怖くなる。

そこからは夫と過ごす。何を話していたか、どう過ごしていたかあまり覚えていない・・・でも夫がいて、とても平和な気持ちだった(ちなみにこの時、母は入院準備品の調達をしてくれていた)

12:45

麻酔は、コントローラーを渡され、自分で量を追加できる仕組みになっており、この頃、初めて痛みから麻酔を追加した。これが陣痛だ!と思い、超今更ながら、陣痛アプリを夫にDLしてもらう(結局このアプリは全く役に立たず)

13:00

内診。まさかの子宮口9cm開いている、とのこと。これは、夕方までには産まれますね。と言われ、母にLINEでその旨を伝える。

その後が急展開。何か合図があったわけでもないと思うけど、一気に人が集まってきて、ベッドが分娩台に変身。ベビーの保育器から色々運び込まれて、LDR室の人口密度が一気に高まる。

そして始まる私のお産。陣痛の波に合わせて「お腹に力いれてーーー!!」と言われ、言われるがままにイキム私。ちなみに、この時、興奮状態だったこともあり、痛みはほとんどない。

13:29

赤ちゃん誕生!!!
すぐに、新生児科の先生にバトンタッチ。一瞬だけ顔を見せてもらったけど、もちろん抱っこもできず。。。夫に、必死で「赤ちゃんの写真とってーー涙」と頼み込む。

多分、いきんだのは5~6回。子宮口9cmと言われてからが早かった。
麻酔を打ってなかったら、もっと早かったかもらしい。ベビーは早く出てきたかったのね。

その後、胎盤を出してもらい、先生も赤ちゃんもいなくなり、LDR室に一気に静けさが戻る。感動も冷めやらぬ中、急に寒気がしてきて震える。なんか、死ぬ前ってこんな感じかもしれない、なんて夫に話したのだけは覚えている。

その後、熱が39度近くまであがり、意識が朦朧とする中、LDR室で2時間過ごし、入院病棟へ移動。

赤ちゃんの無事がただただ気になる。でも、身体は重いし、立てない(歩行禁止)し、おなかは痛いし、オマタもいたい。とにかくひたすら耐える・待つ。それだけ。

16:30

夫がNICUに呼ばれ、Babyの説明を受ける。早産で未熟児だけど、大きな問題はないとのこと。とにかく、良かった。一気に力が抜ける。

18:00

車椅子でNICUに連れて行ってもらい、初めてBabyと対面。
小さい。めっちゃ小さい。でも、この子が私の中に入っていたと思うと、とても大きく感じる。
なんか、いろんな感情が押し寄せてくるような、でも無心なような、ただただ、目の前の赤ちゃんを見つめていた。
ついさっきまで、私のおなかの中にいたのに・・・。私の妊婦生活が終わったんだなぁと。この子が会いに来てくれたことにただただ感謝しつつ、また痛みとの戦いに戻る私。

あまりに想定外すぎて、我がゴトではないような、どこかふわふわした感じで、でも痛みと目の前の赤ちゃんは本物で・・・当日は、母になったのだ、という実感よりも、赤ちゃんが出てきた、みたいな感覚の方が大きかった。

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記憶が新しいうちに、まずは出産の日の記録。
こう書いてみると、本当にあっという間の出来事。でも確実に人生に残る忘れられない一日。

月並みな言葉だけど、無事産まれてきてくれて、本当に心から嬉しい。

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