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てくてくにっき

急に思い立ち旅に出た。

日常から離れた場所を直感で選び、何があるでも、何をするでも特別なく、ただただフラフラする為に。ぼんやりするために。

私という人間は何も日常から離れなくたってぼんやりしているし、フラフラしているからあえてわざわざそんな時間を作ることもない気もするが…
それとこれとは別の話だと思い込んで。

寒そうなところがいいだろうと思いわざわざ標高の高いところを選んだ。

昼過ぎに都会を離れる。だんだん景色が変わり、ビルの多さよりも木々や空の割合が多くなっていく。暮れなずむ田舎の何もない駅に降り立った頃は都会で厚着のはずのパーカーが薄手の服へと変わっていた。

寒過ぎて痛い

チェックインまで時間があるし、駅からホテルまで30分程度ほぼ一本道という事もあり、街灯もまばら過ぎる農道みたいなところをてくてく歩く。
刻一刻と夕陽は山の彼方へ沈み、月が輝き出す。夕焼けの茜色と夜の藍色が混じり合うあたりの時間帯は一瞬で、山の輪郭が綺麗に縁取られている。山の空気が澄んでいるせいもあり、あたりは静かで冷たい。通る車もまばらで本当にひとりぼっちな気持ちになる。
寂しさと、ワクワクするような相反する気持ちが渦巻く。

今日は星が綺麗にみえそうだ。

だんだん暗くなる空にキラキラ輝く星が姿をあらわす。観たことないほどの夜空の星を眺めながら都会の街の明かりを思い出したりする。

誰かと一緒に居たいけど1人で居たい事もある。1人になりたくて1人になったけど、誰かと居たいなぁって思ったりする。ややこしくめんどくさいなぁって思うけどそれが私なんだから大事にしなきゃなとも思った誰にも会えない夜。ネットでリアルタイムで繋がることが簡単に出来るのに、実際スマホの向こうには誰か居てくれるのに、なんで余計に寂しくなるんだろう。1人きりの食事も、1人きりの星空鑑賞も寂しいくないと言ったら嘘にはなるけど、たまにはこういう時間も大事なのかもな。慣れてないだけだけど。

山のビールは高いなぁ。でもそれはそれでなんだか有り難くて美味しい。寒くて凍りそうだけど、やっぱりビールは美味しいんだなぁ。

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