緑のチェックの巻きスカート風キュロット

緑のチェックの巻きスカート風キュロットを実家の押し入れの奥に見つける。それは小学校4年だか5年生の時のピアノの発表会の時に祖母に買ってもらったキュロットだった。幼い私が手を引かれ、神戸三ノ宮のデパートに連れて行かれたのをかすかに思いだす。祖母は、当時ボーイッシュな私に、できるだけ女の子らしい格好で、かつ嫌がらない服として、緑の巻きスカート風キュロットという複雑なボトムスを買ってくれた。白のブラウスとセットで。恐らく高級な子供服ブランドで奮発してくれたのだ。幼い私は、買うことに迷いがちにうなずいた(たしか記憶がある)にもかかわらず、本番当日になって、どうしても特別な服を着るのが恥ずかしくなって、着るのを拒否した。

結局ピアノの発表会の衣装は普段着のワンピースだった。本当にぐちなんて滅多に言わない祖母がその時だけは、高かったのに、、とつぶやいたのを覚えている。ごめんなさい。そんなことを思い出しながら26歳の私が着てみたら、驚くべきことに本当にぴったりだった。(身体を壊してからやせたのだ。この時はやせたことが素直に嬉しかった。)しかも、リバイバルなのか、キュロットとかショートパンツとか流行ってるらしいし、着れるんじゃないか。そんなこんなで生活を送っていたら、たまたまお誘いいただいてテニスコーツさんのライブにコーラス隊として参加することになった。出番は突然。もちろん、その緑の巻きスカート風キュロットをはいて舞台に立つ。小5のピアノの発表会で果たせなかった緑の巻きスカート風キュロットが使命を、ついに15年ぶりに果たした。

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