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新小岩北口駐輪場

わたしがいつも使っている新小岩北口駐輪場は、文字どおり新小岩駅の北口にある駐輪場だ。自転車の利用者が多い新小岩において、駐輪場は10箇所あるけれど、常に1年待ちとか、2年待ちの駐輪場が多い。わたしは1年待って、新小岩駅北口駐輪場の2階の定期をゲットした。その駐輪場は、シニアのおじいちゃん達が運営している。

駐輪場の入り口にはいつもふたりのおじいちゃんが立っている。グリーンのつなぎにおそろいの帽子を被って、いつも「はいこんにちは」と声をかけてくれる。

「定期です」というと「じゃあ好きなとこに停めて」といわれる。そこにはいろんなおじいちゃんがいる。

1. 体操おじいちゃん
(一時利用の利用者を待ってるときに体操している。元気がいい。)

2. たそがれおじいちゃん
(夕方、窓に腕をついて外の景色を眺めている。春になって増えてきた。)


3. 歌うおじいちゃん
(自転車を整理しているときに歌っている。何を歌ってるのかはわからない)


4. おしゃべりおじいちゃん
(忙しい朝はふたり体制。でも朝のピークが終わってお昼近くになると、おしゃべりしてる。もちろんわたしが行くと自転車をあずかってくれる。)

たいてい「いってらっしゃい」と声をかけてくれるおじいちゃんたち。
「いってきます」と小さな声で毎回言っているけど、届いていたら嬉しい。
利用料金は定期で3ヶ月で3,700円くらい。ドロップインなら1回100円だ。
定期を買うときは、Suicaみたいなカードとお金を機械に入れて、出てきたシールを自転車に貼るのだけれど。定期を更新に行くと、待ってましたとばかりにおじいちゃんが話しかけてくれる。
「定期?」
「はい」
「じゃあこっちで、カード出してね」
自分ひとりでも、機械にカードを入れられるし、お金も入れられるのだけど、なぜかおじいちゃんはわたしからカードを受け取って機械に入れてくれる。
出てきたシールもおじいちゃんが機械から取ってわたしにくれる。機械の扱いなら、わたしたちスマホ世代の方がたぶん得意だ。でもなんだか新鮮で、ちょっと愛おしいので、いつもやってもらっている。

ここのおじいちゃんたちが私は好きだ。いろんなおじいちゃんたちを観察してると面白いし、今日は何を話してるのか、どんな関係性がそこにあるのか、興味深い。

そんな駐輪場の定期を買い続けて、今月でちょうど1年。桜が咲いた。駐輪場から見える桜を、花粉症で鼻水を垂らしながら、ああ綺麗だなと思って見つめる。春はいつも花粉症のせいで鼻と肌の調子が最悪だけど、桜は本当に綺麗だと思う。

この春わたしは社会人になる。
明日から株式会社に勤める。変な感じで、ドキドキして緊張する。爆音の目覚まし時計を買ったから朝は起きられると思う。でも緊張する。でも、明日からもおじいちゃんたちに自転車をあずけられたなら、ちょっと頑張れそうな気がする。


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