見出し画像

富澤さん

台風が何号も発生し、午前中から溶けるほど暑いと思いきや長袖着ても凍えるほど寒い夜がきた平成最後の夏、皆様いかがお過ごしですか?

「平成最後の」というワードをつければ何でも特別に感じて、何でも許される気がしてやたらつけてしまう。パワーワード。

そんなことはどうでもいいのよ
何が話したかったかと言うと
最近の私は、電車が私を試しているのではないかと思うほどに、電車で珍出来事と出くわすことが多い。
まず、電車に乗ると目の前に友達が座っていたり(しかも全然地元の駅ではない)、これはバスのエピソードだけれどなかなか会えず恋しく思っていた友達と同じバスに乗り合わせていたり、電車に乗り座っていたら上からボトッボトボトッと雨漏り的なものに出くわし「!?!?」となっていたところ隣の男性が「大丈夫ですか?どうぞ」とティッシュを差し出してくれたり、わらしべ長者の世界を目の当たりにしたり、本当に最近はなにかしら起こる。

友達に遭遇エピソードに関しては2度とも本当に私の友達か確信が得られず勇気が出ず声をかけられなかった。無念。二度あることは三度あるというから、次は絶対に声をかける。よし。

今日は、その中のわらしべ長者の世界を目の当たりにしたお話をします。ほっこりエピソードをお届け。

ある日、うまく自分のなかで消化しきれない事があってもやもやもやもやしていたの。
「家に帰ろう」と電車に乗ったのね。
満員電車の中おそらく仕事帰りのサラリーマンが私の隣でつり革つかまって立っていて(サンドウィッチマンの富澤さんにそっくりだった)(そこは重要じゃない)
そして、次の駅に着くと私の前の席が空いたの。
サラリーマンの疲労は並大抵のものじゃないと、日頃の父を見てそう感じているのだけれど、この方もきっとそうだろうと思って空いた瞬間「どうぞ~」と言ったわけさ。
その富澤さん似の方は、すっごく優しい笑顔で「え、いいの?ありがとうございます。」と座ってくれました。

それだけで私の心はじわぁっとあたたかくなりましたよ。
けど、これだけじゃないの。

そのまた次の駅で、小さな子供ちゃんとお母さんが電車に乗ってきて富澤さんの前で立っていたの。すると富澤さんは、サッと立って「どうぞ~」とそのキッズに席を譲ったの。私はハッとした。彼の表情と言動があまりにも自然すぎて。お母さんは「ありがとうございます~」と。キッズはトコトコ席について、富澤さんは私の隣に立った。

なんとも言えぬこのあたたかさ…!
まるでわらしべ長者のようだ…!

心がほろほろほどけてじわぁじわぁっとあたたかくなりました。笑みがこぼれて仕方がない。

キッズとお母さんはすぐまた違う駅で降りて、その席には富澤さんがまた座り、その富澤さんの隣の席も空いたので私も座り、電車は進んでいきました。

私は目的地に着いて電車を降りました。
富澤さんを乗せた電車は進んでいきました。

遠ざかる富澤さんを乗せた電車を眺めながら、目的地が遠かろうと、自分が疲れていようと、子供のことを考える、他人のことを考えられる、そういうことは富澤さんにとっては何ともない事だったのかもしれない。それでも私には富澤さんの優しさが胸の奥の奥の奥まで染みた。

霧が晴れたようにさっきまで抱えていたもやもやがスーっと消えていった。

あれ、なんか自分大したことないかも。と思えた。

自分に余裕が無い時に周りを見れる人ってそういないと思うんだ。
余裕がないからこそ一旦自分から離れて冷静になって客観的に見てみるとか、周りをみることが大切だと分かっていてもなかなかできない。

ささいな出来事に大きく救われた瞬間でした。

肝心なことは意外と身近なところに転がっているらしいと気づいた。
何かの歌にありそうだけれど、本当らしい。


こんな大人になりたいなぁ。

富澤さーーん!
ありがとーーーう!!!



Emily


(写真:打上花火)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?