奪われた家/天国の扉(フリオ・コルタサル 著/寺尾隆吉訳)

たたみかけてくる言葉のリズム、色鮮やかな表現。まるで初めて食べる異国の料理のように新鮮です。このスパイスの組み合わせは記憶にありません。経験したことのない新しい味に脳が一瞬混乱し、そして複雑な重層の虜になりました。我々は夢と同じ成分でできているとシェイクスピアが語ったように、幻想と現実の、生と死の境界は限りなく曖昧な事を確認させられます。表題作の一つ「天国の扉」には頭の芯が痺れました。

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