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2024年7月前半日経平均相場の振り返り


①    日経平均チャート


7月前半相場を振り返ると、日経平均株価は右肩上がりの急上昇を演じた。
2日の安値39457円から11日の高値42426円まで8営業日で値幅2969円と3月の急上昇を上回るものであった。

②    TOPIX

この間の4日には東証株価指数(TOPIX)が1989年12月18日に付けた2884ポイントを34年半ぶりに上回った。
プライム市場の時価総額は1007兆円と、初めて1000兆円を超えた。
半導体主導だった3月までと異なり、円安を追い風に収益力を高める製造業や、脱デフレによる金利上昇がプラスになる金融などにけん引役が広がった結果である。
11日には日経平均は3日連続で史上最高値を更新し、初めて42000円台に到達した。
ここ最近の相場上昇で感じることは、日中取引時間の上昇幅である。
以前は窓開け(当日始値―前営業日の終値)をして上昇しても日中取引は小動きで終わってしまうケースが多かった。
日中取引の上昇が目立ってきた要因として4つの要素が考えられる。

③    要因1,上海総合指数

景気の底入れ期待から5月半ばまで持ち直し基調だった中国株が足元で再び軟調になっている。企業のガバナンス改革や地政学上の優位性を再評価する流れから海外投資家がアジア時間帯に中国株を売り、日本株を買う流れがある。

④    要因2,上場企業の自社株買い

4~6月に決議された取得枠を数えると、約7.3兆円で前年同期より7割多い。

⑤    要因3,逆張り個人の変調

強い上昇基調が続き、今後も株高期待が強いことから、個人投資家の逆張り投資が減り、利益確定の売りも出にくい。

⑥    要因4,欧州系のパッシブ(指数連動)型運用の機関投資家による機械

的なリバランス観測
4月以降の日本株の相対的な株安や、ドル建てでみた価値縮小により投資比率が低下していた分を埋め戻している可能性高い。

⑦    全員参加型の上昇相場

この様に全員参加型の上昇相場になっている。

⑧    米国CPI

そんな中、12日の東京株式市場で日経平均株価が1033円安(騰落率-2.44%)と大幅に下落した。
これは前日の米国で発表された6月の消費者物価指数(CPI)は前年同期比の上昇率が3.0%となった。
家賃やガソリンの値上がりが弱まり、3.1%の市場予想を下回って3カ月連続で鈍ったことで、対ドルの円相場は一時1ドル=157円台とCPI発表前から4円ほど円高が進んだ。
この円高は米CPIを受けて市場で合理的な動きに乗じて、日本の財務省が介入をしたものであろう。
この円高を受け東京市場では輸出関連株を中心に半導体関連株、ソフトバンクグループや決算発表で良い決算ではあったが市場予想通りで失望されたファーストリテイリングなどが売られた結果である。
この日の日経平均が1000円超の下落した中で驚くべき現象が起きていた。

⑨    東証プライム市場上場銘柄

東証プライム市場上場銘柄数は1644社であるが、値上がり銘柄数が1020社、値下がりが573社、変わらず51社となったのである。
値下がり銘柄数より値上がり銘柄数が多いこと時点で驚きなのに、1000社を超すなんて信じられない現象であり、初めての経験である。
値上がりの中で目立ったのは不動産株だ、金利上昇による利払い負担増の懸念から6月に売り込まれたが、足元で金利の先高観が和らぎ、見直し買いが広がっている。
そして東証スタンダード市場指数、東証グロース市場指数ともに上昇している。
12日の下落は、ほんの一部の銘柄だけの下げだったのである。

⑩    持合い解消

最後に以前から記述している持合い解消について述べよう。
「持合い解消=買い」という流れは未だに健在であるが、足元では売却される側の株価も上昇している銘柄が出てきている、トヨタ自動車系列の部品メーカー、エクセディ株の値動きだ。
エクセディは5月27日、アイシンが保有するエクセディ株(発行済株式の3割)の売却を発表。翌営業日に同社株は一時12%安となった。
だが株価は切り返し、売却発表前の株価を超えている。
今後売られる銘柄にも注目しよう。
12日にアシックスは社が保有する政策株を2024年中にすべて売却すると発表した。
併せて他社が保有するアシックス株の売り出しも決めた。
最大で発行済株式数の11%にあたる8500万株を売り出す。
売り出し価格は今後決まるが、翌営業日の16日も株価は堅調で2625円で61円高である。


 

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