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【絵本レビュー】すずちゃんののうみそ

今日は、初めて絵本のレビューを書いてみます。
自閉症スペクトラム(ASD)への啓発絵本に苦手意識があった私が、自分の子どものことで啓発する必要がなくなりつつあるこのタイミングで出会った絵本です。

すずちゃんののうみそ

自閉症スペクトラム(ASD)のすずちゃんの、ママからのおてがみ
文 竹山美奈子 絵 三木葉苗 監修 宇野洋太

「ジャケ買い」という言葉があるほどに、絵本の表紙は手に取るか否かを左右すると思っています。
この絵本の表紙を見て、
「自閉症スペクトラムの子どもの表情だな」
と分かりました。
ASDの子どもの表情は、ASDの子どもを育てたことがある人にはピンとくるものがあります。
キラキラしているのに涼やかな目。
口、頬や鼻の下の表情筋の感じ。
作画を担当されたイラストレーターの三木葉苗さんは、ご家族に自閉症の方がいらっしゃるそうです。
この微妙なニュアンスが表現できるのは、ご家族ならではであると思います。

そして、サブタイトルである~自閉症スペクトラムのすずちゃんの、ママからのおてがみ~という言葉がぴったりな絵本でした。
育てているの人目線で、すずちゃんのお友達へいっしょうけんめいに伝えたおてがみ。
ASDの子どもの特性について、丁寧に描かれています。
どうか、どうか、伝わってほしい。ごめんね。っという気持ちが痛いほどに分かりました。
15年もASDの子どもを育てていて、もうへっちゃらだと思っているのに、涙が出ました。
保護者としては、共感しかありませんでした。

でも、保護者としては癒されたけど、私自身が子どものお友達に読むことができたかな…?
それは、もう必要なくなった今でも、まだ、自信がありません。
それだけ、「知ってほしい、分かってほしい」ということが我儘であるような気持ちが捨てきれないからかもしれませんし
これまでに保護者として傷ついてきた歴史があるからなのかもしれません。

絵本を購入したあとに、「すずちゃん」はよくSNSで拝見している「すずちゃん」であることが分かりました。
そして、違う視点ですが、
作画を担当された三木さんは、きょうだい児さんである中で
きっとこれまでに様々な体験や葛藤があられたと思います。
このように絵本の作画を担当されたり、障がいのあるごきょうだいと一緒に創作活動もなさっているとのことです。

こちらにもまた、保護者として尊敬と感謝の気持ちでいっぱいになりました。
いつか第三者の視点で子どもたちの前で読める自分になりたいと思う絵本です。

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