書評『ぼくが真実を口にすると 吉本隆明88語』

今回の本はまた吉本である。しかし著者は吉本ではない。勢古浩爾という吉本フリークの作家である。吉本フリークはたくさんいるが、ひと味違うのは、吉本の本業(文芸評論、社会論)に興味を示さないことだ。彼にとって吉本は生活思想家であるらしい。吉本は常に大衆の原像を失わなかった。大衆の原像とは、私の解釈で言えば、余計な…

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