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刺しゅう図案をデジタルで描く事。

デジタルでどうやって図案を描くのですか?と聞かれることが多くなりました。
私もその辺は素人なので、詳しい用語を使って的確に説明・・・は出来ないのですが、
デジタルで描き始めた経緯やその便利さなど、私なりに感じていることを書こうと思います。

○どうしてデジタルで刺しゅう図案?

 刺しゅうを仕事にし始めた頃からずっと、デジタルで図案が描けたら良いなあと思っていました。
「絵」としてのデジタルは、何となく味気ない様な気がして余り好きでないのですが、私の最終作品はあくまでも刺しゅう。その元となる図案は、正確さが大切な仕事です。

例えば同じ形の花びらを放射状に何枚も描く場合。
これはレイジーデイジーステッチで花びらを表現する図案の場合が多いのですが、
以前は、先ず正円を定規で描き、そして花びらの数に応じて中心から円周に向かって線を描き・・・とやっていました。当然時間もかかりますし、フリーハンドゆえ正確さにも欠けます。他には、左右対称の図案にしたい場合や、同じモチーフを均等に配置してパターンにしたい場合・・・など、フリーハンドですと手間も時間もかかり、正確さを期することも難しい。

それから、図案ができて刺しゅうをしていたら、どうしても変更したい箇所が出てきたりします。それも「この葉っぱをもう少し右に移動したい」とか「この花がもうひとまわり小さいといいな」とか・・・。
その度にトレースし、修正し・・・とやっていたので、一つの図案が完成するのに、時には紙を何十枚も使い、時間的にもロスが多かったです。
それでいつかはデジタルに移行したいと考えていました。

けれど、ドロー系のアプリケーションでなかなか良いものが見つからず、かと言ってイラストレータで線を描くのは相当慣れも必要で・・・と二の足を踏んでいたわけです。

○余談 あの時のお勉強が。

余談ですが、大体デジタルが苦手な私。決して詳しい訳ではありません。
けれども、あれは20年ほど前でしょうか?
kid pixという子供向けお絵かきソフトが発売され、子供用にうちのMacにも導入してみたのです。
それまでコンピューターには縁も興味もなかった私ですが、これが面白くて。
今思えば色数も256だし、四角いデジタル丸出しのカクカクした絵しか描けなかったのですが、画面で描いたものが、プリントして同じ色で出てくる!
そんな初歩的なことに感動したりしていました。

そこに端を発して、photoshopに興味をもち、子供達が寝てから夜な夜な教則本片手に習得し、illustratorもその流れで覚えていきました。何か目的があった訳ではありませんが、当時はお店を持つ友人の宣伝チラシなども作らせてもらったりしていました。
今はつくづく、あの時の夜な夜のお勉強が、いつかは役に立つ日が来るもんだなあと思います。

○デジタルで描くメリット

さて、本格的に図案をデジタルで描こうと思ったのは、昨年10月、ipad版のillustratorが発売されたからです。
今まで敷居が高いと思っていたillustratorで線を描くことが、ipad上で、apple pencilでできる!これはタイミングだなと思いました。
パソコン版のillustratorの基本的な操作は慣れていたので、2、3日ほどでほぼ図案は描ける様になりました。

デジタルで描く様になると、その効率の良さに、もうフリーハンドには戻れなくなります。
図案の修正や拡大縮小、バランスを見ながらモチーフの配置変えなども簡単で、むしろフリーハンドよりも感覚的に素早くイメージを出すことができるようになりました。
私の場合、一番大切なのは「刺しゅう」ですから、そこにかける時間も効率的に上がりました。

○具体的な方法

デジタルを使い慣れている方や詳しい方には、素人に毛が生えた程度の知識ですが、
私のやり方少し紹介しますと・・・・・。

まずイメージを出すために下書きします。
これに使うのはprocreatというアプリケーション。


ペイント系のソフトですが、紙に絵を描く感覚で自由に描いていきます。
紙と違って、これの良いところはレイヤーが使えること。
例えば、刺しゅうは、色が付いた生地に刺すことも多々あります。
背景色をその生地に近い色にしておくと、その上のレイヤーで糸の色を重ねることができる。それで配色の様子を確認できるのです。
このアプリで描いたものをラフとして、本を作る際などには出版社に提案する資料としたりしています。

ちなみに先日作った刺しゅうキットのラフはこんな感じ。

ラフが描けたら保存して、今度はillustratorで図案作りの作業。

大きさを決めて枠を作り、そこに先程のラフを配置します。
そして新しいレイヤーを重ねて、一つ一つのモチーフを線に直していきます。
これも以前のillustratorならば、私には出来なかった作業ですが、apple pencilでなぞるだけですので、本当に使い易くなりました。
(先程のラフで描いた図案は、刺しゅうキット用に販売しているので、ここに載せる事は控えます。)

図案が描けたらcloudに保存して、PCのillustratorで少し調整をし、ステッチ名などを入れたら出来上がりです。

デジタルで刺しゅう図案を描く事、まだまだ私も発展途上ですが、図案作りが格段に効率良くなった事は事実です。
簡単な説明ではありましたが、少しでもご参考になりましたら幸いです。

【ラフを挙げた刺しゅうキットはこちら】

https://makabealice.thebase.in/items/46542919

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