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教会巡り13: 日本の「ツバメの巣」オルガン

東京八王子にあるロゴス教会のオルガンは、スイスのシオンのヴァレール教会の「ツバメの巣」と呼ばれるオルガンを忠実に再現しています。「ツバメの巣」オルガンは1435年頃(中世)に製作され、世界最古のオルガンと言われています。(こちらの記事では音色も聞けます)

オルガンビルダーの土屋さんは、「仕事の傍ら、アマチュアが作ったんですよ」と謙遜されていましたが、何度もシオンに足を運び、専門家の指導を受けながら、オルガンを作り上げました。何から何まで手作りで、パイプも自作です。鍵盤とパイプをつなげるのは繊細で手間と時間がかかる作業ですし、調律もミーントーンという当時の調律に合わせています。「ツバメの巣」が好きなだけではやり遂げることはできないことだと思いますので、本当にすごいことです。

なにより素晴らしいのは、学校の不要になった木の下駄箱を再利用していて、地域に貢献していること。オルガンケースの製作や装飾は教会員にも手伝ってもらい、多くの人から愛されているオルガンなのです。

手鍵盤は一段、足鍵盤は1オクターブ半くらいです(普通は2オクターブと少しあります)。

土屋さんはオルガネットも製作しているのです。そして、八ヶ岳の教会から依頼されて、オルガンを1台製作中とのことでした。

先日、中村会子さん率いるViatgerの新旧メンバーによる中世古楽の演奏会がロゴス教会で行われました。オルガンもオルガネットも使われて、「中世の音楽に中世のオルガンが使われるなんて・・・あの当時の響きなんだなあ」と土屋さんは感無量のようでした。現代の楽器では出せない中世当時の響きを楽しむことができました。

この演奏会では、中村さんのワークショップで学んだ方々も加わり、ヒルデガルトや聖母マリアのカンティガを披露しました。ヒルデガルトでは祈りながら歌っていることが伝わってきました。カンティガは「お肉がどこか行ってしまったから、見つかるようマリア様にお願いしよう!」という内容で、ちょっとした踊りもあり、賑やかで楽しい音楽でした。

あと、藤川星さんのアルメニアの笛を真正面で聞けてうれしかったです。藤川さんがシュビで演奏する「アラブのマリア讃歌」を聞きたくて、土砂降りの寒い中、3時間かけて行ったと言っても過言ではありません。Viatgerはいつもは3人で演奏していますが、人数が増えてますます藤川さんの魅力が際立つように思いました。(どんな音楽に触れて育ってきたのだろうと、いつも不思議に思っています)

土屋さんに「オルガンを弾きに来てください」と、連絡先を頂いたので、近々行ってみようと思います。もっとお話を伺いたいし、製作途中のオルガンもじっくり見たいです。国内外のプロのオルガニストからの問い合わせも多いのに、こんな初心者にも親切にしてくださりありがとうございます。ほぼ高尾山な場所なので、オルガンを弾いた後は高尾山に登ってこようと思います!