オルガンをネウマ的に弾く?

グレゴリオ聖歌を学んでいると、ネウマが書かれていない曲を歌う時もネウマが浮かんできます。それは音をどうグルーピングするか、という解釈をしていることになります。

先日、櫻井元希さんのルネサンスのポリフォニーの講座を受講した際にも、楽譜には書かれていないネウマを想像して、それを歌い手間で・各パートで共有することが必要という話になり、パレストリーナの曲を使ってネウマをつける、ということをしていたのでした。

その後オルガンの練習をしに行ったのですが、櫻井さんの講座が終わった直後だったせいか、今やっているバッハのオルガン曲でもネウマ的に演奏できるのだろうかとふと思ったのでした。試しにネウマをつけてみたところ、シンプルでカクカクした曲なので、固いぺスやエピゼマつきクリヴィスばかりになりました。同じ音型が続くようなところはニュアンスを変えるようにと言われていたので、そういう箇所は固いペスとやわらかいぺスの組み合わせだったり、下降が続くところは1拍ずつクリマクスになるような気がしました。そしてフーガではテーマのところは同じネウマにしないと、各声部で同じテーマを弾いているように聞こえないのかも、と思いました。

下降するところは「ヤタタタ、ヤタタタ・・・」と緩急をつけて弾くようにとのことだったので、このクリマクスもどきのネウマはあながち間違ってはいないかな?

そして、ネウマをつけて視覚的に分かりやすくなった分、アーティキュレーションをあいまいにしていたところが浮き出てくる感じがして、途端に弾けなくなりました。「発表会の1週間前に何をやっているんだろう」と思いながらも、この曲に隠されたネウマを想像しながら練習を続けました。

本番ですが、合唱を歌ってすぐの出番で、心の準備ができていないまま演奏したので、ネウマも何も、という感じでした。少しミスしながらもなんとか弾ききりました。

オルガンは歌のように繊細な表現はできないのですが、ネウマ的に考えるのは悪くはないように思いました。これからも試行錯誤してみよう。

本番で弾いた曲にはカクカクした足鍵盤のソロがあるのですが、ペダルにはネウマはつけないほうがいいかもしれないです。本番で使うオルガンではペダルのアクションの音が大きく、オルガンから離れるほどアクションの音が響くのです。なので、だらだら弾いてみたり、かかとを使ってみたりしたのですが、修正するのが難しかったです。昨年の発表会で先輩がこの曲を超カッコよく弾いていて、いつか弾いてみたいと密かにペダルソロだけ練習していて、パタパタする癖が抜けなかったのもありますが。このたどたどしいところから、ここまでよくやったよ、私・・・。

初めての8の8 。ペダルソロ練習中。(昨年7月)

今年5月(この時はネウマのことは考えずに弾いていた。次の日に櫻井さんのルネポリの講座を受講した)


【追記】オルガンの先生の指示自体がネウマなようなものなので、指摘されたことを書き留めるだけで、「オルガン的ネウマ」なんだろう。どの楽器(声楽も)でもそう。今後、日本語で書き留めるのが面倒くさいときにネウマで表すかも。櫻井さんが「三善晃の楽譜は指示が多くて現代のネウマだ」と言っていたことに、ものすごく納得しました。