専門知識の収益化はたいへんだねぇ

「EMANの物理学」サイトのこれまでの収益化の努力の歴史について、そろそろ知らない人も増えてきた気がするので語っておいほうがいいのかなぁ。アンダーマイニング効果が自分にとって予想もしなかった不利益になっちゃったんだよねぇ。やっとそこから離れつつあるわけだけどさ。

自分がショックだったのは、アドセンスを使い始めた途端に、それまで投げ銭で1ヶ月でやっと入ってくるような額がたった1日で入ってくるようになってしまって、投げ銭をもらったときの感謝や高揚感や、応援に応えてがんばるぞーーといった気持ちが失われてしまったことである。

これがさっき言った典型的なアンダーマイニング効果であり、儲かること以外はしたくないという、自分でも信じられないことが我が身にも起きてしまったのである。私もまたみんなと同じ精神構造を持つ、人間だったのだということが分かった。

途中を飛ばしすぎたかな。アドセンス広告で貰いすぎたとは思っていない。ギリギリ生活を維持できるくらいになったので、もう少し頑張れば基本的人権が保てるくらいになるんじゃないかと考えて、収益を伸ばす方向へ努力を切り替えたのである。これが決定的に私を変えてしまった。そのお陰でこれまで生き延びて来られたのだけれど。

で、実際に、アクセス数では初期の目標を達成した! 2倍だ。これは自慢してもいい! よく頑張った! 自分でも偉いと思う。ところが収益は半分に下がった。うちにアクセスしに来る人たちの購買意欲の無さをグーグルAIに見抜かれて、広告単価が下げられたのだ。

広告主にしてみればあまり買い物をしない人たちが集まるサイトに広告を載せるのに高い金を払わされたらたまったものじゃないだろう? 当然の理屈だ。

さらにはその後、アクセス数も下がってしまった。あんなに頑張ったのに! グーグルが完全にビジネスに舵を切ったためであろう。検索順位が下げられたのだ。物理解説サイトへ来る人達の購買力を考慮してのことだろうと思っている。儲けにつながる人たちをビジネス目的のサイトへと誘導することがグーグルの使命になっていた。

そこでだ。物理学の知識を商品として扱って、この経済的な論理で動くレッドオーシャンの世界に乗せるべきかどうかという話だ。戦う相手は、商売として記事を量産してくるスピリチュアル方面の方々ということになるだろうけれども。

作り手の努力だけでなく読者の購買力も必要なのだ。読者に購入を呼びかけてもあまり効果はなく、売れるための努力をしなくてはならない。たとえば、大衆ウケの良い記事を書くとかだ。

この話はこれくらいにしておこう。もう一つ、そろそろ忘れられそうになってると思うからアドセンスを導入する前の話も書いておかなくてはならない気がする。

もうEMAN物理のサイトに広告のある状況しか知らない人も多くなってきたのではないだろうか。周りのサイトが広告だらけになる中、時代遅れの孤軍奮闘を続けていたなんて、想像も付かないだろう。

当時の周囲のブログなんかはほとんど消滅して自分が生き残りになってしまったわけだけれど。広告だらけのブログなら今もあるって? ああ、いや、今の状況とはちょっと違うんだ。グーグルにウケのいい、アフィリエイト目的のサイトだらけに変わったんだよ。

とにかく、当時の自分はアドセンス広告の導入に抵抗を続けていた。だけど当時の世間的には「寄付を募るなんて鬱陶しい時代遅れの努力はやめてアドセンスで手っ取り早く稼げよ」という風潮になっていたのである。

こんな訳で、最近のツイッターで「知識が無料ではないことを主張するために投げ銭や寄付を募る努力くらいは見せてはどうか」という議論が盛り上がるのを見ると「時代が一巡して揺り戻しが来たのかな」と少々困惑するような、かつての自分の努力の方向性がやっと認められたのか、それとも忘れられてしまったのか、そんな複雑な気分になるのでした。

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マネタイズについて今でも模索中です。

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