里見香奈の挑戦

里見香奈女流五冠の棋士編入試験が始まった。
彼女が晴れて棋士になったら、それは画期的な歴史的な事だ。史上初の女性棋士の誕生。それは将棋界だけでなく、将棋界を超えた大事件だ。つまり「女は知能で男に負けてない」事の証明になるからだ。

この試験について妙な噂が飛び交っている。藤井聡太五冠のお陰で空前のブームに浮かれる将棋界は、里見香奈棋士の誕生でさらに爆発的な大大ブームが到来し、里見香奈は林葉直子以来の絶頂アイドル棋士、日本将棋連盟はもうバブル期イザナミ景気ジュリアナ時代豪華絢爛酒池肉林どんなもんだいぼーくドラえもん状態を迎えるだろう。
そんな一世一代のチャンスに、まさか彼女を試験で落とすなんて野暮な事は言わないよね。試験官、分かってるよね。君たちは彼女に負けて失うものは何もないが、彼女に勝ってしまったら失うものはあまりにも大きく、場合によっては日本に住めない事もあり得る。という圧力がかかっているとかいないとか。

問題はそれだけじゃない。彼女が棋士編入試験に合格した場合、大変な事が起こってしまうかも知れない。それは、プロ棋士としての対局が忙しくて、スケジュール的体力的にとてもとても女流との両立はできない。彼女は純粋に「高みを目指す」ためにプロ棋士になったのだから、女流は引退する事になる。トップのいない女流将棋界は脱け殻になってしまうって事だ。西山朋佳と加藤桃子がタイトルを分け合って将棋指しているのを誰が見たい? 里見香奈のいない女流にはスポンサーもつかなくなる。女流将棋界は「二軍」になってしまうかも知れない