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ジャカルタから無人島へ~調査スタッフの日記より(Part6)

モスクからコーランが流れてきて目が覚めた、インドネシア出張2日目。

(インドネシアの)6時半、チェックアウトを済ませて、インドネシアウミガメ研究センターのスタッフが迎えに来るのをホテルの朝食を食べながら待つ。「最悪、遅くても7時には行く」と約束していたが、7時前に来ない。いつも到着30分前にかかってくる「出発したよ〜」の電話も来ず、こちらから電話しても通じなくてだいぶ慌てた。結局7時10分には来たから、あとから考えたら大したことない。
スタッフに頼まれていたので、朝食バイキングからドーナツを5個もらって帰る。日本だとバイキングの持ち帰りはしないけど、インドネシアの場合は問題ない。宿泊人数より多い人数でホテルの朝食を食べに行っても何も言われない。インドネシアでは食べ物をシェアすることが当たり前というか、日本よりも美徳があるように感じる。色んな場所でそんな機会に遭遇する。実際このあと、スタッフにあげたドーナツは、その時たまたま乗り合わせた見ず知らずのタクシー運転手とシェアされていた。

 出発時間わりとぎりぎりに空港についた。入口の荷物検査場でチケットを見せると、「NAM Airはターミナル変わったよ、ここじゃない」と言われる。「えー!何で変わったこと教えてくれないのー?!!」と文句を言いながらも顔は笑っているインドネシアスタッフ。ハプニングに対し、怒るのではなく面白がっている感じ。「ちゃんと調べとけよー!」って私はちょっとイラッとしたけど、小さいことなら笑ってハプニングを乗り越えられるのもいいな、と思った。笑ってハプニングをかわせる回数が増えたら、もっと人生楽しい時間が増えるかもしれない。

 約1時間飛行機に乗って、降りたのが朝9時半頃。そこから車をチャーターして市場に行く。島に滞在中の食料を、調査補助してくれる人の分も合わせて5人分ほど調達し、港に着いたのが昼の12時。
いつもの船着場(桟橋)を通り過ぎたから、「あれ?通り過ぎたよね?」って聞くと、「あそこは壊れてるから」と言われた。「ずっと前から壊れてるじゃんっ!!!!」って思わずツッコミをした。今まで使っていたコンクリートの桟橋はところどころ、ど真ん中にも大きく穴が空いて芯に使われている頼りない鉄の格子が剥き出しになっていても構わずに使われてきた。自分達の荷物を乗せたリヤカーを、その落とし穴をよけながら走り抜ける遊びを見て感心したものだ(落とされていたら笑えない)。
今回利用した新しい桟橋は、木で出来ていた。乗り降りをする先端部分が、潮の干満に合わせられるよう階段状になっているところが、インドネシアにしては工夫されていて感心した(人に優しい作りになってるのが珍しい)。

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船は漁船をチャーターする。手造りの木造船だ。早く到着してほしいと願うだけムダ、目的の島が見えても島にはなかなか到着できないのがこの船の特徴である。
途中で豪雨にあったこと以外は問題なく、目的の島へ到着した。着いたのは夕方の4時前。
浅瀬の島なので、チャーター船は岸まで行けない。島に常駐しているスタッフ、ジェフリーが海を歩いて迎えに来てくれる。「また会えたね!」って心から嬉しそうな顔に、私もとても嬉しくなった。彼と会うのは3回目だ。島にはジェフリーの妻と、妻の父と、知らない夫婦が2人いた。知らない人がいるのはよくあることだから、適当に挨拶だけして荷物を下ろす。
 

 この島はトイレがなくて、トイレに使ってるビーチまで徒歩7分くらい。夜に行きたくないから、ウミガメ産卵巣の偵察がてらビーチに行く。ビーチでのトイレは、漁船が通ることがあるし誰が来るか分からないから、岩場で隠れながらするのが良い。普通にトイレをすませて波打ち際を歩いて帰ろうとすると、大きな足跡に気づいた。島で以前から見るオオトカゲか?!いや、様子が違う。オオトカゲよりでかいし、足跡がない。自分の足幅より大きな、横幅のでかいウネウネした足あと。これはヘビではないのか?!足跡の行き先を見ると、自分がさっきまでいた岩場のあたりに向かってる。岩場のちょっと上の方で植物がガサガサ音をたてている。音の大きさからしても、大きい生き物だ。頭の中にはもうアナコンダしか出てこない。「この目で見てみたい!」という怖いもの見たさと、「アナコンダみたいに攻撃されるかもしれない!」という恐怖が交錯し、ここは皆がいる小屋に帰ることにした。
他のスタッフいわく、大きな茶色いウミヘビらしい。夕方頃上陸して岩場で魚を食べる。数回だけ目撃されていた。
ウミヘビなんてせいぜい大きくて横幅2センチくらいだろうと思っていたけど、こんな大きな種類もいたのかと知った。島にいる間にウミヘビ探しをすることを心に誓って、今日の1日が終わった。

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