新しい内戦

岸田首相が襲撃された件、安倍元首相の事件の延長線上にあるだろうことは容易に想定されるわけだが、ふと思ったことがあるので短く書き残しておく。

この2つの事件は、「内戦」の新たな形なんではないか。

安倍元首相はカルト宗教団体との癒着が、岸田首相に関しては犯人の動機がまだわからないのでなんとも言えないが、仮に政策に対する不満が動機だった場合、簡単に一括りにすれば「政治権力に対する不満の噴出」としてこれらの事件は起きたことになる。

過去に遡って考えると、悪政に対して「単身」斬り込むタイプの反抗というのはあまり例がないはずで、なぜなら「勝ち目がない」からである。一揆、打ち壊し、暴動、革命、デモ等、時の権力に対峙するには、対抗勢力としてある程度の規模の集団を形成してから挑むというのが普通だった。しかしこの類似した2つの事件では、どうも単独犯が勝てないことを前提にしながら攻撃に踏み切っている。勝ち目もなく、己に利のない行動に駆られてしまうのは何故か。対抗勢力を形成できる土壌すらこの社会には残っていないから、ではないか。

個人個人が分断され、何と戦うにしても「個」として勝ち目のない戦いになる。そして負け続ける。どうせ負け続けるのであれば身を挺してせめて一太刀。そしてそれを止める「仲間」すら身の回りにいない。ましてや共闘してくれる仲間など作れるわけがない。

そんなことを考えていたら無性に悲しくなった。内戦すらマトモに組織立って戦えないのに、二大政党制だの政権交代だのマトモな民主主義だのが機能するわけがない。戦後の民主主義なんか幻想だったのだ。我々はずっと、昔も今も全体主義の国で生きている。

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