ただいま…?

福岡の自宅に戻ってきた。

8ヶ月ぶりに自室の扉を開けると3つのことが起こった。
まず、同じ部屋に戻る=日常に戻るという安堵感があった。留学先では寮の部屋で0から部屋を完成させて、退去時には一気に断捨離をする必要があったのでかなりの労力を使った。帰国後に同じ作業をしなくて済んだので、精神的にも肉体的にもとても楽だった。
次に、自室に足を踏み込んで数分と経たないうちにダニ•ハウスダストによるアレルギー症状を発症した。8ヶ月間1度も掃除をしていなかったので、シーツやカーペットに溜まった”何か”に反応して私は目の痒みとくしゃみが止まらなくなってしまった。すでにさっきの安堵感は消えて、部屋の契約を続けていたことを後悔する自分がいた。
最後に、断捨離病を発症した。その部屋は3年前~8ヶ月前の自分が好きだったものでコーディネートされていたのだが、現在の自分の好みと全然マッチしていなかった。いつの間にか私は自室にいるにも関わらず少し不愉快な気持ちになっていた。

歳の離れた先輩にこの話をすると、留学や出会いや別れを経験すると”好みが変わる”のは珍しいことではないらしい(...当たり前のようにも聞こえるが、実際に経験すると自分の変化に本当に驚く)。先輩は、’大人になったからだ’と肯定的な意見も付け加えてくれた。でも私は、留学後に”好みが変わる”体験をしたことに怖さを覚えた。留学前後でめちゃくちゃ成長したかと問われたら、自信たっぷりに’成長したぞ!!’なんて返事はできなくて(経験豊かになったとは思っているが)。自分が大切にしている軸とか価値観が変わったとも思っていなくて。それなのに、留学前の自分が好んで大切にしていた”もの”を受け入れられない自分が居て、葛藤した。キッチンのレンガ風の壁紙も、冷蔵庫のマグネットも、ジャズの楽譜も、集めていたお香も、なんだか気に入らなくて目障りに感じる。タンスを開けてみても、なぜ当時の私はヨレヨレの黄色いニットを、絡まった毛玉も無視して大切に保管していたのかよく分からなかった。

’好みの変化’は誰でもあるかもしれない。けど、私は何歳になるまでこれが続くんだろう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?