世界の終わり #1-13 プレミア
「ほぉら、行こう。一緒に行こうね。足元に気をつけて。一緒に一階まで降りようねェ」
ねちねちした声で耳の奥を舐め回されている。ぼくは身体を引き摺られて、二階の廊下を進んでいる。息が――鼻が。肺が。視界を男の背中で塞がれた。身体が宙に浮く。眼前に男の髪。油で固まった男の髪が顔に絡みついてきた。嫌だ。嫌だ嫌だ嫌だお願いだからおろして。頼むから床におろして、床に、床のうえに。それなのに――
「よかった。本当によかった。嬉しいなぁあ。ほぉら、もう少し。もう少しで到着だよお。ふふ。んふ