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哲学思想日記 2023-W33 — 山月記, 永遠, 英語の授業

2023-08-14/20


宗敎

もし私が1970年代生まれだったら, ほぼ確実にオウム真理教と関わっていたと思う. 集団行動できないからサティアンに入っていたかはわからないけど, 少なくとも本は買ってたと思う. オウム真理教の話を聞くとき, いつも私は « 自分も入信していたかもしれない » という立場で考えている. というか, 統一教会や幸福の科学にしても, 正直に言えば, 私は « 無宗教の普通の日本人 » よりもカルト信者の側に共感を感じる. これは私の中学〜高校時代の無神論時代においてもそうだった. 私は « 敬虔な原理主義的無神論者 » だったから, 迷信深い普通の日本人よりもカルト信者の信念の方に共感していた.

ワイドショーの中の人とか (テレビ見ないからよくわからないけど) って, そういう人生の苦しさとか神とかの問題, 実存的だったり形而上学的だったりする問題を少しでも考えたことがあるのかな ? もちろん考えたことのある人のほうが偉いなんて言わないけれど, 世の中には普通に生きられない人たちがいるということも知っといたほうが « 理解 » はできるんじゃないですかね.

まあ普通に生きられない人が教団の中で生きられるのかはわかりませんが.

性愛

20代のうちに結婚したい.

Image by Tom from Pixabay

エロは « 今, ここ » に集中する価値であって, 何か禅の精神に通じるところがあるのだと思う. 裏を返せば, 将来設計をせざるを得ない結婚には性愛を超えた価値がある. 禅は未来や過去にばかりこだわって « 今, ここ » を見失う危険を訴える傾向にあるが, むしろ計画性を失って今を蕩尽する危険も無視してはなるまい.

初恋っていつなんだろね. だってオレ幼稚園生の頃から好きな女の子いたけど, じゃあそれが初恋かというとなんか青春っぽい通常の語感と離れるような. 幼稚園って甘酢っぱ要素全然ないから.

不純異性交遊って不道徳だと思う. ところで, これの対義語は純粋異性交遊かな ? でも純粋から熟語が始まると I. Kant っぽさが出てきちゃうね. 性は性欲の性ではなく性質の性だと解釈すれば, a priori に異なる性質が交差し遊離する超越論的な付き合いが純粋異性交遊なのかも.

藝術

高校の国語の時間, ‹ 山月記 › を読んで, « 教科書に私が載っている! » と驚いた. 李徴は私だった. 私は臆病な自尊心と尊大な羞恥心を抱えた高校生だった.

一昔前, AI学者が高校教科書に ‹ 山月記 › を載せることの必然性について疑問を呈していたが, 国語の時間に学ぶべきは読解力だけではない. 端的に言って, ‹ 源氏物語 › を1行も読まずに古典日本語 (文語, 古文) が学べようか. もちろん理論上は学べるだろう. それこそ AI に日本語古典文法を学習させて新しい文章を自動生成させればいい.

けれどね, それじゃダメなんです. 国語の時間というのは, 唯に日本語 (+ 古文と漢文訓読) の文法事項や読解方法を学ぶのみならず, 文学史の教養とか, 文学を読む面白さとかを学ぶ時間でもあるんです. 私は高校で ‹ 山月記 › に触れて, 私の物語を知ったんです.

いきなり ‹ 山月記 › の話を書いたのは, 先日これを扱う論文をたまたま見つけて読んだから. けれど, その論文では « なぜ読者が李徴に共感できないのかを暴く » みたいなことがテーマになっていて, しかもどうやら主たる先行研究では « 山月記とは読者が李徴ではなく袁傪に共感する物語である » ということが前提となっているらしく, それを私の経験と照らして少し奇妙に感じたから.

言語

太平洋戦争って英語で Pacific War (平和的戦争) だからものすごい皮肉な名前だね. まあ本当は Pacific Ocean は波の荒くない穏やかな大洋という意味ですけどね.

ポケモンマスターってポケモン修士という意味なのかな ? 確かにオーキド博士はポケモンドクターだもんね.

« 寝かせる » の « か » ってどこから来たんだろう ? いわゆる « 未然形 + す » に分解できない要素があるよね ? 上二段活用の使役 (他動詞化 ?) には « 起こす » « 落とす » など謎のオ段も出てくるし.

哲學

これは哲学ではなく思想かもしれないけれど :

言語の通時的変化は世の無常さを最も痛切に示す. 最近 Platōn を読んで古典ギリシア語を勉強しているのだが, (現代ギリシア語があるとはいえ) この古代ギリシア語という言語はもう話している人がいないんだよなと思うと恐怖と不安を覚える. 流転する万物に溺れそうになる.

なぜ言語の通時的変化が最も痛切に世の無常さを示すのか ? それは私が言語を好んでいるせいかもしれない. 好きなものの無常は悲しいから. あるいは数学に永遠普遍を覚えるのと類比的な言語の本性に由来するのかもしれない.

永遠で普遍的なものって何があるのだろう ? 道徳法則 ? まさか ! 自然法則 ? この世界とそこから到達可能な可能世界において永遠ではありうるかもしれないが, 必然ではない.

神の言葉, 神聖な言語というものがあったら良いのにと思う. ここには価値の問題も関わってくる. 私は学部時代1年間だけナショナリズム論をやってる歴史学ゼミにいたが, そのとき気づいたのは, 言語の価値の絶対的平等であった. 人間の言葉は大体翻訳できてしまうから, ある言語を使わなければならない必然性はない.

現代日本の一般人はナショナリズムと聞くと伝統固執のようなことを連想するかもしれないが, Ernest Gellner によればむしろ逆なのだ. つまりナショナリズムとは近代産業社会の産物であって, 各地の伝統をむしろ破壊しつつ進行する文化の均質化だという. Gellner は産業社会の流動性と文化の同化に注目する. この姿勢は ‹ 想像の共同体 › を書き Gellner の後継的位置にある Benedict Anderson も同様.

付け加えるなら, そもそも言語というのは本質的に等価値で, ある程度確実に翻訳可能だからこそ, そのような同化が可能なのだろう.

論理法則は永遠か ? しかし, 永遠というのは言語の招く錯覚に過ぎないのだろうか ? 言語ゲーム. この世界に生まれて, 言語を学び, その美しさを知っても, やがて言語ゲームのルール自体が変わっていってしまうこと. 家族的類似の概念を知れば, イデア論は消滅する.

永遠とは通時的普遍性であるといえる. ここでいう普遍性とは個物と対比した普遍というよりは, 特称と対比した全称に近い意味. カテゴリーを超えた普遍という意味では超越論的になるのか.

私がニュースを嫌う理由の1つは, それが永遠でも普遍でもないから. 永遠普遍は, 他のいくつかと並んで, 哲学における私の関心の的だ. あとは « 学問とは何か » という問題 (⊃ 学問分類論, 理系文系, 哲学とは何か, 諸学と哲学はいかにして可能か), 宗教哲学の (実存的あるいは特殊形而上学的) 問題, 性愛の問題等.

人生

受験勉強で身につけた外国語読解技術は, 塾で英語の映像授業のときに習った, 名詞句・節と形容詞句・節と副詞句・節をそれぞれ別の形の括弧でくくる習慣. 具体的には名詞節は [], 形容詞節は(), 副詞節は ⟨⟩ でくくる方式. たまにスラッシュを入れる方法を指導する高校教師などがいるが, スラッシュよりも括弧のほうがどこからどこまで何の節なのかが明確になって良いと思う.

この英語方式だと « 前置詞 + 名詞 » は名詞を修飾していたら形容詞節, 動詞修飾なら副詞節になるが, フランス語だと « 間接目的語 » に前置詞が含まれたり, 印欧古典語だと動詞が格変化した名詞 (斜格の名詞) を要求したり, 主語も目的語と同じ項の1つに過ぎないように見えたりして, 英語以外に応用にはちょっと工夫がいるけど, でもちょっと工夫するだけで応用できる.

古典ギリシア語読むときは, 主語や, 動詞を修飾する斜格名詞や, 動詞の要求する (辞書に載っている) 前置詞の付いた斜格名詞は [], 名詞修飾の属格や前置詞付き斜格名詞は (), その他独立的な句は ⟨⟩ に入れるようにしている. あとドイツ語でいう定動詞 (節に1個しかない活用済動詞) は直線で, 不定詞は破線で, 分詞は波線で下線を引いている. 動詞と名詞・形容詞の上には適宜どんな活用・曲用をしているのか (例 : 接続法アオリスト能動態3人称単数; 女性複数対格 etc.) を書いている.

中学生のとき同級生が冬に言っていて妙に面白かったダジャレ : 換気が終わってボク歓喜 !

小学生のとき同級生が日本史の « 渡来人 » を « トライG » と呼んでいて面白かった (当時モンハントライGというゲームがハヤってた).

倉頡輸入法を習得したので読めない漢字を入力したり日本語 IME だと何回もスペースキーを押さないと出てこない漢字をすぐに入力したりできるようになった.

繁体字版なので日本の新字体は出てこないけど, 昔から少しあった新字体に対する抵抗感が蘇ってきたので見出しだけ繁体字にしてみた. 最近まで知らなかったんですけど台湾や香港の繁体字と日本の旧字体ってまた微妙に形が違うんですね. 日本の旧字体は多分 ‹ 康熙字典 › に準拠しているんだけど, 繁体字はそれと違う楷書的な形を採用していることが多い.


2023-08-21
今日の一曲 : Sushiboys, ‹ DRUG ›.

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