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ALPS処理水の生物濃縮はどれくらいあり得るか(※9月30日9時40分頃修正あり)

※1 9月30日9時40分頃に一部計算ミスの発見がありました。具体的には最後のそれ以外の検討の部分です。ここで10^-9としていましたが、じっさいは10^-6の誤りで結論の部分が一部変更になりました。


 福島の原発処理水が放出されて数ケ月が経ちました。処理水の危険性は今もなお危険であると言うことが主張されています。

生物濃縮とは



 そんな中で個人的に検証してみようと思うのは生物濃縮である。生物濃縮とは食物連鎖を通じて摂取量が大きくなる事である。具体的にはプラクトンなどの小さい生物時点では少ないものの、それを小魚が食べる事で一匹辺りの物質量が増えて、更にその小魚を食べる中魚がその小魚を大量に食べる事で中魚の一匹当たりの物質量が増えていって、最初こそ問題無い量だったのが最終的には人間が食する物頃には問題ある量になっていく現象である。
 今回は実際はどれくらいの量になるのか推論をした。

どうやって検証するか?

 マイクロプラスチックから推定する。年間のプラスチックの廃棄量とそれを海中の魚がどれだけ食してるかを調べた後に、その数字を今度は原発処理水に置き換えて検証する。

以下こんな流れ
1.一匹当たり魚はどれくらい所持する可能性があるか
→廃棄するプラスチック量と魚が一匹当たりどれくらい持っているかから類推する。

2.ある地点での魚がほぼ全て処理水を吸収した時に魚一匹当たりの食事量からどれくらい濃縮するかを考える
→魚一匹が生まれて成長してからどれくらい食べるかを推定して人間に食べられるまでから推測する。

3.ベクレルとシーベルトから考える
→放射性物質は量も重要だが量以上に物質の性質や接種方法によって異なりまずはトリチウムのみを検討する。

4.それ以外の検討
→他の物質の公表が小さすぎるから無いとの事なので生物濃縮でどれだけ倍化したかで判断する。

1.一匹当たり魚はどれくらい所持する可能性があるか

マイクロプラスチックの量は
https://www.nature.com/articles/srep34351?WT.feed_name=subjects_ocean-sciences 
によれば、カタチイワシの8割が2.3個ほどのマイクロプラスチックを持っていた。そして破片の最長の長さは150〜6830 μm(平均783 μm ± 1020)の範囲であり幅は68〜1880 μm(平均345 μm ± 272)の範囲でした。

ポリプロピレン (PP) とポリエチレン (PE)で52%で43.3%と占めていました。

よって以下のように想定します。長さ0.783μmで幅0.345μmで厚さは仮に1μmと想定して密度は両物質の平均密度から0.93g/cm^3とします。結果は5.72ナノグラムになります。
 年間でどれくらい放出してるかのデータはなく、代わりに本文中でかかれた。現在、少なくとも 5.25 × 1012 個のプラスチック粒子(重さ 2.7 × 105 トン)が世界中で流れていると仮定して人口密度や東京湾の面積から概算して1.134~6.912トンと開きが大きいので今回は大まかな概算で4トンと想定します。

トリチウムに限って計算すると、
17日間で200トン排出されてこの時に放出されたのは1.1兆ベクレルでした。1日当たりで200トン排出されて最終的には最大で500トンを排出するのを30年間続けるので、ここでは
1.1➗17✖️2.5✖️365✖️30
となり、1771.324兆ベクレルとなります。ここで上記の式と合わせると

結果


約2.558ベクレルになり、カタチイワシの重さは45gなので仮に重さに比例したベクレルを所持するならば、魚は1g辺り0.0568ベクレル所持していると推定出来ます。


2.ある地点での魚がほぼ全て処理水を吸収した時に魚一匹当たりの食事量からどれくらい濃縮するかを考える

コレを考えるに当たって用いようと考えてるのが
増肉係数である。

増肉係数とは魚の養殖において、体重を1kg増加させるのに必要なエサの量を表す。

https://www.jstage.jst.go.jp/article/aquaculturesci/57/1/57_149/_pdf

の中で
マダイの増肉係数の全国平均は4.19
ブリはは5.56

マグロに至ってはなんと15前後と高い値を示しました。それぞれの元の体重と合わせると、

マダイは3~4.5kgとあったので4kg
ぶりは5~8kgとあったので6.5kg
マグロは150~200kgとあったので175kgで計算しました。
マダイは1172.9,ぶりは2422,マグロは159040と他二匹を圧倒しました。

しかしながら、魚一匹をマルマル食べるわけではないので、実際は可食部の部分があって、その部分だけを食べるケースや、1人前程度しか食べないケースもあります。マダイは4割以下しか可食部がなく、近年はバイオテクノロジーで可食部を増やしたマダイを売っているとか・・・他の魚は5割とマダイに比べて食べれるとことが多い

また、日本人が1年間で食べる(2)水産物消費の状況:水産庁 (maff.go.jp)の令和二年によれば23.8kgとなっています。
かりに1年間上記の魚を1人前分を食べまくった場合どうなるのか
マダイならば7016ベクレルに対して、ぶりは8868ベクレルでマグロは21629となっています。
一人前で見るとマダイは59.0でぶりは29.8でマグロは90.9となる。
 マダイとぶりが逆転してますが、これは1人前になるとマダイはほぼ一匹食べる状態なのに対して中型魚以上のは可食部等によっては逆にかえって高い値になるという興味深い結果となりました。

結果

 


 基本的には当然だが魚の大きさに比例してベクレルを摂取しやすいが、食べれる量とかしだいでは変化する可能性があるといえよう。割合としても5〜10倍前後に濃縮される結果であった。
 出来るだけ取りたくないという方は中型丸ごと一匹でなく中型の切り身をベースに食べるといいでしょう。とはいえ魚ごとによってこの数字は大きく異なっているので一概には言えないが・・・
 ちなみに増肉係数は飼育方法とかで異なり、栄養調整がしっかりしてる養殖業になると話はまた変わってこれよりも低い値になります。加えて養殖業ならそもそも生エサという形で渡さない事もあるので更に低い値になります。なので、不安な人は養殖の魚を選んでもいいかもしれませんね。

3.ベクレルとシーベルトから考える

 シーベルトとは、放射性物質の人体の影響を表す値である。ベクレルは放射量を表すが、実際の健康被害はこの値に更に特殊な値をかけて判明します。つまり、被曝方法や物質によって健康被害が変わるというわけである。
 例えばトリチウムを成人が飲料水して摂取した場合は0.0002 μSv/Bq(2 × 10^-7 Sv/Bq)であるがセシウム137の場合はおおよそ 1.3 × 10^-2 Sv/Bqと65万倍も差があります。これは放出するものがベーター線からガンマ線になった事や半減期が後者が長い事が要因です。
 このようなシーベルトですが100msvを超えるとガンの死亡リスクが上がり、500msvで白血球が減り1000msvで自覚症状が出ます。環境庁の緊急時の基準では20msv、一人当たりの年間の当たる量が2.4msvとなっています。
 (半減期・・・・放射性物質は一定期間経つと減る。それが半分になる時期である。)
 https://www.kangenkon.org/houshasen/health02.html


ではトリチウムの場合というと
トリチウムの摂取係数は、おおよそ (2.0 \10^{-11} (Sv/Bq)となります。半減期は12.3年となっています。

10年間 マダイを食べた場合は
 約1.4302マイクロシーベルト(μSv)となり1msvと比べても0.014%となっています。
あるいはマグロの場合だと約4.326マイクロシーベルト(μSv)となります。0.042%となります。
 半減期を考慮しなくても通常の日本人の400万倍〜1400万倍近く毎年魚を食べて10年後にようやく何か影響が出るかもという量です。
 これは静岡県の人口が363万人で福岡県が513万人で東京都が1400万人となっていますので、大きな県レベル消費して達成する数字です。
 半減期を元の物体は同じ量だが、受け取った物体が半減期するという計算では0.681倍になり、元も半減期するのだと0.594倍と0.6〜0.7倍と571万倍〜2333万倍と複数の県が合体しないと無理な値をにまで発展します……

結果

 トリニチウムは極端に摂らないと異常を示さない。がその値は複数の県民が1年間で食べる魚を一人で食べて何か起こる可能性があるかもレベルであるので、トリニチウムに関しては生物濃縮の影響は考慮しなくて良いだろう。

4.それ以外の検討
 

 トリチウム以外の数字は検出限界以下と表記されているのが多く、その値をいくらと定義してるという資料がなかなか見当たらなかった。


2023年9月28日 3時40分 烏賀陽弘道さん

しかし、烏賀陽弘道さんのツイートにて、1リットル辺り2.1ベクレルの1/100以下とある。なので、同一の条件で流すと、上限いっぱいで4200万ベクレルである。上限一杯で4,200ベクレルである。

前者のトリウムとは3.81 ✖️ 10^{-9}と圧倒的に少なく、物質によって摂取係数が異なるが、それでも同一条件下で9桁の差を埋められるほどの物質はほとんど存在しないと某chat先生は答えました。
前者のトリウムとは3.81×10^(-6)と少ないものの、物質によっては容易に肩を並べれる可能性があり、少なくともトリチウム並みのリスクはあると考えられるケースが出ることになる。
ただ、仮にそれを埋め合わせても今度は数百万から数千万倍と更に6〜7桁多くあってようやくなので、他の物質は人間が食する事による生物濃縮による悪影響は無いと言えるだろう。
 因みに半減期はバラバラで万単位のもあるから半減期を考慮に入れてもほぼ減少しないので、トリチウムが10年後前後には半数になるのと異なり、他の物質は最初の頃よりかは殆ど減らさ無いので半減期を踏まえた計算はしません。


 


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