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労・働・物・ 語

そういえばnoteってありましたね
と毎回思ってしまうくらい更新頻度が低い僕のアカウントですが

自分が長いこと更新していなかった間、色々と新機能がついたり、周りの芸人さんがnoteを始めていました

一番の目玉は「投げ銭」(サポートする)というシステムが導入されたことで、自分の知り合いの芸人さんはこの投げ銭で得たお金で競走馬を買えたとか買えなかったとか。

差し入れをしたいけど何を買えばいいか分からない、小麦粉のお菓子を差し入れて後でツイッターでうんざりされたら怖い…とか、地方住みでなかなかライブを観に行けないけど何かしらの形で応援したい!というようなファンの方々にはいいシステムだな、と思いました。

もちろん僕は芸人ではありませんが、お金が余って余ってしょうがない、靴を探すときにお札に火をつけて「どうだ 明るくなったろう」なんて言っている金持ちおじさんがいたら是非投げ銭お願いします。

競走馬は買えなくともちょっといい居酒屋で馬刺しを注文したいと思います。

早いもので大学を卒業して一年半
川崎市ラジオネームエレファントかさ増しから杉並区ラジオネームエレファントかさ増しに変わったばかりの頃の話を少ししたいと思います


大学の友達がパリッとしたスーツを着てジェルで髪をガチッと固めて社会人一年生をスタートさせていた4月、どうせなら金貰えなくてもお笑いに携わりてェなぁ⁉︎と就活をロクにしなかった僕は家でタウンページ中野・杉並版をパラパラとめくっていました

4月末に払う家賃の目処も立っていなかったのでこれはマズイと思い、「カンタン軽作業♪翌日払い!」という今思えば絶対罠だろというワードに誘われてあるパン工場の夜勤バイトに応募しました


自転車で通えるし、最悪徒歩でも行ける距離だったのでこりゃあいいと思いながら毎晩21時から翌朝5時〜6時まで働きました

通勤時にはよくシャ乱Qの「上・京・物・語」を聴いていたのを思い出します
川崎から杉並に引っ越しただけなのに。
そんな上京してないのに。

むしろ大学進学時の方が上京感はあったな、なんて思ったり。思わなかったり。じょうきょうものがたり。


いざバイトが始まるとパンの入ったカートを押して各店舗に配送するためのカゴに配分していくというまぁまぁの単純作業だった

ただ、カゴがだんだん積み上がって自分の身長より高くなってくると結構辛い

仕事をすることを「社会の歯車になる」なんて言うけど
この作業は比喩でもなんでもなく工場の中のシステムの一部になることで、オートメーション化できるところを安い賃金で人間の手を使ってまかなっているという感じだった


日付が変わる頃にはトラックがやって来て、配分し終わったカゴを荷台に積み込む
これが結構な重労働で、全然「カンタン♪軽作業!」じゃなかった

なんだよ「カンタン♪」って
カタカナで書いてあるのもムカつくし♪もムカつく

「キカタン女優」のキカタンはカタカナの方がポップさが出てていいけどカンタンはだめ。


何より辛かったのが脳みそが暇になるということ
そこまであれこれ考えるほど頭を使わないので、手を動かしながらも脳みそは向かいにコンビニができてしまった酒屋のような暇さで、せめてラジオを聴きながら作業させてくれ!と思った

伊集院さんが昔ラジオで
単純作業系の仕事にはラジオなり音楽なりを聴いてもいい許可を出したらいいのに。その代わりミスをしたらそれなりのペナルティが付くようにしてさ、
みたいことを話していた。

そりゃあいいと思ったけどたまに自分もミスをするのでやっぱりこのままでいいか、という結論に達した


「みたいことを話していた」って脱字じゃない?
「みたいなことを話していた」でしょ?

と思った貴方は深夜の馬鹿力リスナーではありませんね
しっかりと伊集院さんの喋り口調を勉強しておくこと。



荷台に積み込む作業が終わると45分間の休憩
休憩室にはパンが置いてあって、自由に食べていいことになっている

最初はありがたいと思いながら美味しく頂いていたが、3日もすれば飽きてくる

置いてある菓子パンが甘いやつばかりなのだ
クリームパン、メロンパン、アンパン、ランチパック小倉マーガリン…


それでも食べ物がそれしかないし、お腹は空いているのでそれを食べながらTVerで勇者ああああとバクモン学園を観る
こんな日々が続いた

ある日の休憩、ふと棚を見ると焼きそばパンとコロッケパンがあった
数も少ないので急いで取る

しょっぱくて美味しい
労働の後は本能的に塩分を求めているのか、深夜の時間帯に惣菜パンを三つも食べてしまった


その後も惣菜パンが並ぶ日は何日かおきにあって、その度に喜んでいたけれど
俺、めちゃくちゃ調教されてるな…と思っていつからかそこのパンに手を出すことはなくなった



今でもコンビニやスーパーで菓子パンに手を出すことはない


休憩室にはお茶と水が無料でのめる機械が置いてあって、それはありがたかった

自販機もあるのだけれど、ヤ◯ザキの自販機だった
見たことあります?ヤマ◯キの自販機。
全然知らんお茶とかスポーツドリンクがラインナップされてた
スポーツドリンクのラベルに「スポーツドリンク」って大きく書いてあった

◯マザキの工場で働いて得たお金を
ヤマザ◯の自販機で使ったらあいつら全く損してへんやんけ!
これはカイジの帝愛の地下労働施設のやり方だ!と思ってその自販機では飲み物を一切買わなかった


バイトを三ヶ月くらい続けたが、社員がやるような作業を任されそうになったのでそのタイミングでやめた


この三ヶ月間は全然楽しくなかった
夜勤明けで2時間だけ寝てファミレスとか行って芸人さんとネタ作りとかしてたけど、その時だけはめっちゃ楽しかった

でもその後帰って来てまた夜勤だと思うと目から全粒粉が流れ出た

休憩室には自販機がもう一つあって、
それがカップラーメンの自販機だった

パンに飽きたら夜食にはそればっかたべていて、それが密かな楽しみにもなっていた

最後の夜勤を終え帰宅
日清の工場バイトはないかとタウンページをまためくった。



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