カモンカモン
先日観たマイク・ミルズ監督の映画『カモン カモン』。ポスターを観た時から好きな映画だろうと分かって封切りと共に観に行った。誰かに感動したとか泣いたとか言われたら萎えるから。
結果、今年一番の作品どころか今まで見た中でも屈指の作品。大好きな作品になった。
母の介護で軋轢が生じて疎遠だった妹から、息子の面倒を見てほしいと頼まれたフォアキン・フェニックス。
彼とものすごくかわいい甥っ子のクレイマークレイマーな生活。言葉と音をとても大事にした作品で、大人の不安と子供の不安は何も変わらない。沢山の時間と、思い合える人が1人だけ側にいればどんな傷も少しずつ癒えていく。
ここ最近の「ドライブマイカー」や「ちょっと思い出しただけ」「さがす」など、不可逆な痛みを描かれることが多くて、それはここ10年の取り返しのつかない時間を経験した誰しもが感じている事。
変えられないものを変えようとしないで、となりのあなたを抱きしめようとする作品。
カモンカモンの劇中には沢山の本からの言葉、そして子供達のインタビューがあり、映画を見終わる頃には「カモンカモン」という言葉に抱きしめられて眠りから覚めた気分になる。
なるようにしかならないなら、目の前の続きからはじめよう。
歴史的な名作ではないかも知れないけど、僕の人生には最重要な作品でした。
今日は緩やかな1日で、ひとつあきらめた。
まだあたたかい夕方に、犬と帰宅した。
彼女の心臓には少しの雑音が混ざっていると、獣医が言った。
急に終幕を匂わされて、不安な気持ちだけど
彼女はどこ吹く風、何も変わらず眠っている。
カモンカモン。次はどうなるんだい?
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