壺の考察
こんにちは、考察界の凍りついたウジムシ、考える金仮面卿です
今回もエルデンリング考察、進めてまいります
<考察の指針>
なお、本考察は体系に矛盾なく、テキストにも
則する範囲で、比較的自由に物語を膨らませて
います
そういう解釈も有りなのか、と楽しみながら
読んでいただけると幸いです☺️
前回は三本指とシャブリリについて考察しました
今回は地味ですが、狭間の過去と現在を繋ぐ上で欠かせない「壺」について理解しておきたいと思います
友なる壺について
友なる壺
かわいいですね
大好きです
壺村の小壺のイベントも、ディアロス共々、味わいのある、けれどふわっとして本編への関わりが明らかでなく、いくつか謎が残るイベントでした
「あるいはそれこそが彼らが作られた理由だろうか」
・このテキストの意味
・小壺たちやアレキサンダーが善人である理由
・壺師の手がすべすべでなければならない理由
・ホスローの兄の装備一式の意味
・ディアロスが稀人のルーンを落とす理由
これらの謎は、DLCにて壺事業が深堀りされたことで解明の手がかりが与えられたと思うので、この辺の壺全般を考察します
ファルムアズラ統治下、影の地での壺漬け事業
まず、時系列的にはもっとも古い、影の地での壺漬け事業について考えます
影の地の時代、ベルラートの牢獄では罪人たちを「善き人」に輪廻転生させるために、生きたまま巨大な壺に閉じ込め、地下の冷たい牢獄に放置する、という儀式が行われていました
牢獄の最奥には祈祷師たちが祈祷を行う祭壇があり、罪人たちの良き人への転生を祈ります。罪人たちは「凍りついた蛆虫」を食べ、飢えをしのぎながら、大壺の中で他の罪人たちと共に死を待ちます
この大壺のことを、便宜上「①基本の大壺漬け」と呼ぶことにします
中身が人肉の壺は次述のように目的に応じて3種類あるので、その区別のためにです
この①基本の大壺漬けの目的は、「罪人を善き人に輪廻転生させるため」です
なお、影の地で作られていた壺の蓋の模様が謎とされています
何かがうねっているような模様
おそらくこれには2つの意味があり
・罪人が中で食べる蛆虫の模様
もう一つは
・この事業の事業主、メーテールを表す「指」の模様
だと思われます
この頃の大いなる意志の使いはメーテール、すなわち五本指です
指は神人と王配よりも偉く彼らを指揮監督する、その国の実質的なトップです
ある意味国家そのものと言ってもいいでしょう
しかるに、刑務所というのは本来国家が運営するものです
国の治安を維持するためですね
私人が勝手に捕まえて刑に処すことは、法治主義……エルデンリングでは、律治主義、とでもいうのでしょうか、その主義に反します
なのでこの壺の蓋の指模様は、「政府公認の証」として刻まれているものだと思います
日本の紙幣に押されている、公式の印みたいなものですね
さて、影の地ではこれの他に、もう一つ、指の印で蓋をされた中くらいのサイズの壺が作られています(このあたりは罪人巫子壺の回で詳述しています)
これは二本指が新たな神人と王配を獲得して国を興さなくてはならなくなったときの新事業です
①基本の大壺漬けと違うのは次の点です
・大人が2〜3人しか入れない中サイズの壺である
・罪人は生きたままではなく、切り刻まれ、しかもいろんな種類の罪人が混ぜられて入れられる
・その罪人も、特に明確な罪を犯していなかったり、ただ存在が黄金樹にとって禁忌とされる者、つまり宵眼の使役する外なる神の神性を宿した者たちである
・具体的には、呪剣士、炎の巨人、蛇人(神肌)、腐敗の神性、誘惑の神性などに魅入られた者たちである
・大壺師はそれらの禁忌に惑わされないように、毛蟲の仮面を被らされる
さらに①基本の大壺漬けと最も異なる点は
・その壺の中に必ず、巫子村からさらって来た無垢な巫子を生きたまま、歯の鞭で傷つけ、それらの罪人肉と混ぜて漬ける
というおぞましいものです
巫子を混ぜる目的は、それらの外なる禁忌の神をはね除ける強い霊性を持つ巫子を選別するためです。そのような巫子こそ神人たるに相応しい
・そしてそれらは、仮に失敗したとしても、死を迎えることも、輪廻転生を祈祷されることもなく、ただ生きたまま肉が混ざり合って、永劫おぞましい姿で苦しみながら、永遠に生き続ける
①の基本の大壺漬けと同じ指の印蓋をされながら、中身がまるきり異なるそれを、②罪人肉巫女壺、と呼ぶことにします
なぜこのような羊頭狗肉な壺を作り出したかというと理由があります
それは、メーテールが壊れた後完全な支配権を握った宵眼の女王の目を盗んで、新たな神人と王の依り代を作らなければならなかったからです
指の印蓋から分かるように、これは宵眼が直接関与しない、指の公営事業だったのでしょう。なので、二本指が介入することができました
おそらく二本指は、黄金の角貨を作って壺作りの関係者に賄賂としてばら撒き、口止めや指示などを出して、この事業の中身を作り変えたのでしょう
<黄金の角貨と白銀の角貨>
ファルム王権下では白銀の角貨というのも流通
しています。これは主に「持てる人々の象徴」(白銀
の角貨テキスト)とされ、例えば角人の豪族や月の
貴人などがほぼ独占していたものと思われます
この白銀の角貨は宵眼が作った正式な貨幣で、
貧しい角人たちはこれを手に入れるのが難しいもの
でした
これに対して、黄金の角貨というのは、実はこっそり
二本指がユビムシたちを使って作らせていた偽貨、
というのが私の考察です
指遺跡のどこかに造幣局を作り、土地神の頭角などを
勝手に盗ってきて(だからほとんど頭がない)、
それに黄金を塗布する
黄金は錬金できるのか、あるいはユビムシたちが川で
砂金採りをしたのか、分かりませんが、とにかく手の数は
いくらでもあるので、なんとかしたのでしょう
そうやって作った偽貨は、悪貨は良貨を駆逐するの理で、
角人の貧しい者たちの間に広まりました
二本指はそれを、ボニ村の大壺師や、ボニ牢獄の祈祷師
など、あるいは人攫いなどにばら撒き、本来輪廻転生用
だった壺漬けの儀式を、神人壺作り実権に書き換えたこ
とは前述しました
現在も蠅の病に冒されたかつてボニの陰惨な壺事業に携
わったであろう者たちは、倒されると黄金の角貨を
ドロップします
巫子村とボニ村の中継点となるモースの街は、こういった人攫いや罪人を捕まえてくる賞金稼ぎなどで栄えたでしょう(後にレラーナの月の魔術で滅ぼされましたが)
かなりの大金が動いたと思います
②罪人肉巫子壺は、無数に作られ、その数と同じだけ見るも無惨な中身肉……肉巫子たちを生み出しました。全て失敗した中で唯一、歯の鞭の痕は微かに残るものの、ほぼ元通りの姿で壺から生還した巫子がいました
それがマリカです
それは壺から出た後は、ある一人の赤髪の男に姿を変えることができました
その男は逞しく、健康でしたが、肌の色はまるで死人を継ぎ合わせたような色でした
名をラダゴンといいます
この②罪人肉巫子壺からマリカとラダゴンが生還した話は、これまで自説では何度もしました(→ 罪人巫女壺の考察回)
それほどキーになる出来事ですね
以上のように、影の地時代には、
①基本の大壺漬け 目的……「罪人を善き人に輪廻転生させるため」
②罪人肉巫子漬け 目的……「神人と王の依り代を製造するため」
の2種類が作られました
それらは目的と中身においてまるきり異なりましたが、共通していた点もいくつかあります
それは
・生きたままの人間を壺に詰める
・罪人を壺に詰める
・指の印の蓋をする
です
マリカ王権下の壺作り事業
さて、壺村の小壺の話に戻ります
・小壺たちやアレキサンダーが善人である理由
・壺師の手がすべすべでなければならない理由
・ホスローの兄の装備一式の意味
・稀人のルーンを落とす理由
残りのこれらの謎を解いていきましょう
・壺師の手がすべすべでなければならない理由
上記の陰惨な事業を当事者として体験し、それを止めさせ、あるいは粛清や蠅の病の呪いによって直接事業にあたっていた角人に罰を下したのはマリカでした(マリカが神人になった後も巫子村に侵入しようとした人買いの残党を、祝祭の名の下で皮を剥ぎ祝祭脂に変えルーンを稼いだのもマリカ主導だと思います。そのときに稼いだルーンはとりわけ「稀人のルーン」として希少な価値を持ちます。そしてこの稀人のルーンは壺に関連して後述のように特殊な意味を持ちます)
そんなマリカは、仮に人肉の壺漬けが自分の王政下で行われるとしても、生きたままの人を漬けたり、あるいはわざわざそのために殺すことは決して許さないでしょう
かつてボニ村での陰惨な事業に関わった大壺師たちの手は血と脂に汚れ、歯の鞭やボニ包丁を握り続けたためゴツゴツしていたはずです
二度とそのような悲劇があってはならない
狭間の地の壺師の手は、穢れていてはならない
そのような趣旨から、手がすべすべでなければならない、という決まり事ができたのですね
これは実質、人を殺めたことがない綺麗な手であることが求められたのでしょう
だからディアロスのような優しい手を持った男が壺師に選ばれたのでしょう
・小壺たちやアレキサンダーが善人である理由
「あるいはそれこそが彼らが作られた理由だろうか」の意味とも繋がります
おそらく狭間の地の壺には、上記のような理由から、既に死体となった戦士や人間の亡骸が詰められていたと考えます
戦士にとって壺に入ることは栄誉で、弔いとしてそのような方法を願う人達もいたはずです
このように生きているうちから壺になりたい人は珍しいかもですが、そうではなく、戦士が戦死した時、死後壺に入ってでも戦死としてより強くなりたい、と願ったり、死後壺として名を残したいと願う猛者たちの魂です。
壺の中でまだ戦死の意志が生きていて、共に強くなることを目指す。そんな埋葬の仕方が壺村で作られる壺たちなのでしょう
<壺が作られたもう一つの理由>
黄金の勢力に対抗する白銀の勢力は、霊力を魔術の
エネルギーに変える霊術を用います。また、遺体を
霊炎で燃やして遺灰にしてそれを戦闘に用いたり、
遺灰を石棺に入れ泥濘化して土壌にしたりなど、
あらゆる方法で死をその力に変えて戦力を増強し
ます
影の地でそのことを学んだ二本指は、彼らに霊や
遺体を扱わせることに警戒します。そこで自前で
霊や遺体を管理するため、還樹という制度を創設
しました
さらに同じ目的で、壺事業は継続し、それを小黄
金樹の肥料にしたり、英雄の魂を壺に封じて戦士
として復活させたりしているのだと考えられます
つまり壺事業は霊や遺体をノクスに利用させずに
自分たちで管理するための事業なのですね
ただ、小壺たちに彼ら戦士の魂がそのまま宿っているかというとそうではなく、アレキサンダーの例のように、誰かの魂一つ入って誕生している思います
では誰の魂でしょうか
思うに、彼らの血肉と、そこに宿る小壺の魂は別で、後者は、
①基本の大壺漬け 目的……「罪人を善き人に輪廻転生させるため」
で漬けられて善人に転生した罪人の魂
それが小壺に宿っていると私は考えます
かつてのベラルートで基本の大壺に漬けられた罪人は、そのような罰を受け罪を償った。故に祈祷で時を超え、現在、狭間の地の壺村で、善人の壺の穏やかな魂として生まれ変わることができた
そう解すると、彼らの死は無駄ではなかったし、「あるいはそれこそが彼らが作られた理由だろうか」の意味が通ります
もともと本来の壺罪人事業は、そのような事業ですから
なお、現在の狭間の地で作られる壺の蓋には、黄金樹の模様が刻印されています
・ホスローの兄の装備一式の意味
小壺を狩人の手から命かけで守ったディアロス
彼は死後、ホスロー家の立派な装備を残します
火山館で手に入る彼の兄、ユーノの装備と比べながら見てみましょう
まず、共通の武器、ホスローの花弁
これは大壺師たちが使ってた歯の鞭によく似ています
また、ユーノとディアロスで兜の形が変わります
ホスロー家はしきりに「名門」を語りますね
弟は「意気地のない」故に「無能」でした
逆をいうとホスロー家では、「残虐で冷酷」なほど「有能」とされることが推察されます
上が当主の兜なので本来のホスローですね
下はそのレプリカで、ディアロス一人のものです
双尾といいますが、蛇の牙に見えなくもないですね
兄ユーノとも火山館で出会いましたし、蛇のアナロジーではないでしょうか
弟の兜には牙がなく、代わりに花が飾られている
主人公と同じように、小壺が花を摘むことを許してくれたのでしょう
武器を振るう兄と、花を飾る弟
おそらく兄の手はゴツゴツしていたでしょう
兄は弟を同じ生業に膿ませたくなかった
だからことさらに無能呼ばわりをし、弟から自信を奪ったのではないでしょうか
そのため弟は武器を持つことなく、清い心のまま大人になることができた
真面目でよく働くディアロスが、無能からおよそ遠い男であることは、プレーヤー皆が思ったことでしょう
彼は有能でしたが、ユーノによって無能と思い込まされていた
「ホスローは血で語る」
どういう意味でしょうか
ディアロスも小壺も憧れて口癖のように使っていましたが、「漢は拳で語る」のような、戦士の心得を説いたかっこいい意味では、本来ないでしょう
もっと邪道の生き方を嘯いた詭弁の言葉であると思われます
そもそもホスローとはどのような家系なのでしょうか
それを最後に考察して終わります
・ディアロスが稀人のルーンを落とす理由
ディアロスはホスロー家の装備の他に、稀人のルーンも残します
稀人。かつて影の地からやってきた巫子の老婆たちを指して狭間の人はそう呼びます
巫子たちは現在もドミヌラで祝祭の儀式を続けながら、祝祭脂という巫子たちの収入源を作っています
この祝祭脂で得たルーンを特に稀人のルーンといってかつての巫子村の特産としていたことは先に少し考察しました
ですがそのような稀人のルーンをなぜ、ディアロスが持っているのでしょうか。そのルーンが巫子村でかつて作られたものだとしたら、おそらくディアロスが生まれるよりもずっと前の話です
そこから、ホスロー家の暗い歴史が垣間見えます
・歯の鞭によく似た、ホスローの花弁
・「名門」は輝かしい功績を残した英雄にだけ与えられる栄誉の称号ではありません。ときに権力者のために汚れ仕事に尽くし、秘密を固く守る、そして名誉を金で買う、そのような一族にも、「名門」の栄誉は与えられます
・そういえば、黄金樹の化身などの近くには、巨大な壺がいくつも置いてありますね。あれは現在一体誰が、どのような目的で作っているんでしょうか。中身には何が
・もし人肉が入っているのならば、たまたま生まれた死体だけでは、あれだけの大きなたくさんの壺はまかないきれないのではないでしょうか
・ときに生きた人を傷つけ、中に放り込むことも。出血の鞭を使って
・そのような陰惨な事業が今なお続いていて、それを担っているのが、かつてファルム王権時代、巫子村から巫子をさらい、高値で売りつけ黄金の角貨に変え、それを使ってノクスの貴族や王家に取り入り、白銀の角貨をたくさん蓄えるまでに上り詰めた「名門」の一族がいたら
・その一族には、巫子を攫っていた当時に一緒に奪った「稀人のルーン」もまた、由縁を失ってなお受け継がれていたら
・そういった「名門」の歴史は決して言葉で語られることはなく、今なお脈々と絶えず、血で語られているとしたら
ディアロスが、その意味も分からず一族の証として持たされていたと考えることもできます
「稀人のルーン」にはそのような隠された意味があるのではないでしょうか
<黄金樹の化身が生まれたとき>
「かつて黄金樹は、永遠にして完全であった
故にその種子は、存在しないとされていた」
(緋色種子のタリスマン)
しかし
「それは、エルデンリングが砕けた時
黄金樹から各地に飛来した
生命が、自らの終末を悟ったかのように」
(黄金の種子テキスト)
それはやがて各地に小黄金樹として芽吹き、同時に
「エルデンリングが砕けた後、現れた化身たちは
滅びゆく黄金樹の、子孫を守る意志であるという」
(化身の儀仗テキスト)
黄金樹の化身を生み出しました
二本指は、そしてラダゴンは護るでしょう
黄金樹の新たな芽吹きを
それらのために必要な肥料、人の血肉
ミケラが自身の血を注いで「聖樹」を黄金樹となそ
うとしたように
小黄金樹の成長にもまた人の血肉が必要なのです
マリカの意を無視して、生きた民を贄に使っても
そしてそのような汚れ仕事は、ノクスの「名門」
にやらせるのが定例のようです
長い秘匿の歴史の中で、そのような名門はいくつか
あるのでしょう
ホスロー家もまた、その一つなのでしょう
以上のように、マリカの狭間の地時代には、
③友なる小壺 目的……「戦士や有志の死者を弔うため。その壺に宿る魂は、ベルラートの罪人が善き人に輪廻転生した結果」
④小黄金樹そばの巨大な壺 目的……「小黄金樹に栄養を与えるため」
の2種類が作られました
アレキサンダーについては、また別の機会に
まとめ
今回は
影の地の、①大きな壺と②中くらいの壺
狭間の地の、③小さな壺と④巨大な壺
そして罪人が贖罪し善き人に転生した、友なる壺
いろんな「壺」を考察しました
次回は本作考察の難関「陰謀の夜」を考察します
他の考察はこちら↓
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