子猫を保護した話

子猫を保護した話


6月21日金曜日

道路沿いの縁石でうずくまる子猫を保護した。


その日は翌日に予定していた税理士事務所への訪問があるので、駐車場や住所の確認のために下見に行っていた。


その帰り道、一日を通してかなり交通量の多い県道を走行中、路肩に動く小さきものを見つけた。


「あれ子猫だよなー。轢かれたのかなー。

でも動いてたし…。」


見てしまった以上、見ない振りする方が後々気になって仕方ない性分なので、Uターンして戻る事に。


その場に戻ると、やっぱり小さな子猫だ。


縁石の隅に身をピッタリとつけて、時折頭を持ち上げたりしていた。



車が怖くて動けないのかな。


そう思って子猫を抱き上げ、歩道に降ろす。



するとびっくりした子猫は車の下へ。




ちょっと待てよー。



車の下に入った子猫は、ロアアームをよじ登り、ストラットの陰に。


ハンドルを切って挟まれたらいけないから、フェンダーとタイヤの狭いスキマから手をいれて救出を試みます。


助け出した子猫は生後2ヶ月とかだろうか。


まんまるな目を見開いて私を見ている。



とりあえず、車にあった段ボールにいれて、釣りの時に手を拭く用の、まだ使ってないタオルがあったのでそれでくるんであげた。


幸い段ボールの中では大人しく、じっとこちらを見あげている。


道路から救出できたので、車に轢かれる心配は無くなったけど、この子の処遇をどうするか。


轢かれてはなかったみたいだけど、全然元気がない。


チュールあげてみたけど食べない。



保護猫に詳しい識者にアドバイスをもらってみる。


親猫がいるかもしれないから、元いた場所の近くで放すかな? 


「親猫がいなかったら間違いなく死ぬ」


餌やりさんの来る公園に放つのは無責任かな?


「無責任かと言われると無責任ではあるけど、どうにかしないとなー

ナワバリとかあるからそこでやっていけるかもわからない」


「放すにしても、避妊手術してからじゃないとその子もあと半年もしたら子を産む」


里親探すにも、元気じゃないと厳しいよね?


「出来れば朝になったら動物病院に連れて行ってほしい」


そうだよねー。朝イチ病院連れていくようスケジュールを確認。



試しに、地域猫が集まる秘密の猫スポットに寄って子猫を会わせてみた。


噛まれたり威嚇されるようならすぐ引き離せるようにスタンバイして。




そうしたら、




周りの地域猫たちも警戒してるし、子猫の方が威嚇しだした。


あれ?しかも下半身がうまく動かせないみたい。


さっき車の下に潜ったのは必死に前足だけで移動したのか。


こりゃ元気になったらどころではない。



下痢もしてるみたいだし。



再び段ボールにいれて車に収納。


これは夜間の病院に連れて行ったほうが良さげだな。


識者に相談したら、無理やり口のなかにチュールを押し込めないかと。


それでもやっぱり食べない。



どうしたんだろう。




この時すでに22時30分。


18時頃に保護して4時間以上経過していた。


そこから夜間動物病院に到着したのが23時過ぎ。



順番を待って先生に診てもらうが、子猫は弱っていく一方。




診察の結果は…




下痢のしすぎて脱腸していて、しかもそこが壊死している。

おそらく餌がとれなくて、砂を食べていたみたいで、下痢の中に砂が混ざっている。


脱水症状に低体温に栄養失調。




頑張って生きていたんだな。




先生どうしたら治りますか?



治すとなると長期の入院となりますが、

善意の治療で高額になる治療費をどこまでみれますか?



ごもっとも…。



我が家は後期高齢者で猫アレルギーで猫嫌いの父親の介護もある。



うちでは飼えない。


しかし治療が済んでからじゃないと里親募集もできない。



ここでは入院できないので、翌日昼の動物病院に行って、どうしたらいいか保護団体に聞いてみよう。



とにかく、いま少しでもこの子が元気になるように、つらくないようにしてください。



背中から点滴をいれてもらう。



もう注射針を痛がる反応もない。




朝まで頑張ってくれ…。




無責任に保護した私には、

この子を幸せに導く責任がうまれたようなきがした。


出会ってしまった以上はなんとかしたい。



その夜は、タオルで包んで、ホッカイロを子猫から少し離れた所に設置してガレージで過ごしてもらった。




翌朝。



動物病院が開く時間に到着できる時間ように家を出た。



一晩この子も頑張ってくれたが、より衰弱しているようだ。



頑張って。もうすぐ病院いくからね。




車で病院に行く途中、子猫が3回鳴いた。



保護して初めて鳴いた。



元気出たのかな??

もうすぐだぞ。



病院について段ボールを開けると、





まったくうごかない。



目も見開いたまま。



すぐ受付に。




事情を話すと、他の順番待ちの患者さんより先に診てくれた。



夜間動物病院からの紹介状をみて、

瞳孔をみてくれたり、

心臓マッサージをしてくれたり。



でも、ダメだった。



朝までもってくれて、3回鳴いたのは、私にお礼を言ってくれてたのだろうか。



ごめんね。助けてあげられなくて。










子猫の遺体の処分については、市の然るべきところに連絡を入れた。



飼い猫や手渡しだと引き取れないそうで、回収業者にわかるところに置いていてください。と言われた。




なんて無慈悲。


手渡しは出来なくても、回収業者がくるまで、ずっと側で待っていた。






縁もゆかりも無い子猫だけど、出会ってしまった以上はなんとかしたかった。



業者さんに火葬をお願いして、もうしてあげられることは無くなった。







無責任に保護するものじゃないとわかっていても、見てない振りをする後悔よりやるだけやれた後悔の方がマシな気がする。






餌がとれなくて衰弱する子猫。

車に轢かれてしまう猫。

野生の猫は無限に増えてしまうから、そんな不幸な猫を増やさない活動があります。




さくらねこ活動。



TNR(捕獲、避妊、解放)という活動があり、私も幾度か少しばかり寄付してきた。




この活動に寄付するのはもちろんだが、こんな活動があるよっていう事を広めていく事も、私に出来ることかなと考えた。




少しでも不幸な猫が生まれないためにも。








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