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TrackTown Jobs

TrackTown Jobsとは陸上選手専用のリクナビみたいなもの。実際にはそんなものはない。あればいいなあと思ったのだ。日本インカレ800mで筆者が勝手に「松純」と呼んでいる法政大学の松本純弥選手が日本インカレ2年ぶり3度目の優勝を果たしたあとの勝利者インタビュー。

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アナウンサーの「今後に向けての意気込みを?」という問いに彼はこう答えました。

所属先が見つかれば、まだ(競技を)続けようと思っているので、
続けることができれば、
またもっと上のレベルを目指して頑張りたいと思っています。

(Youtube映像4時間1分あたりより)

日本インカレで在学中に3度も優勝した、(優勝を逃した年も2位だ)種目を代表する選手が9月の時点で進路が決まっていない。これほどまでの逸材。関係者も所属先を見つけるために奔走していることだろう。

中距離選手にも長い距離向き、短い距離向きという特性がある。松本選手はマイルリレーに出るほどの選手だから、どちらかというと短い距離向きなのだろう。だからこそ、ラストのスパートが光る選手だ。

なんとか、所属先が決まってほしいと念ずる一方で駅伝という選択がない800mという中距離は受け皿がとても厳しいのはわかる。ここ数年はコロナ禍で日本人選手たちが、なかなか出国できずに、海外でアピールする機会が失われたことも大きい。世界陸上には届かなくとも、アジアでは日本人選手はまだまだ戦える。国際試合でポイントを積み重ねて世界陸上にたどり着くことも可能だったからだ。

一観客のお前が進路まで。と思うむきもあるかもしれない。ただ、一観客だからこそ思うのだ。「もう少し続けさせてほしい」と。どんなに天賦の才をもった選手でも世界と戦うには、時間がかかる。あの遠藤日向であっても、世界陸上にたどり着いたのはようやく今年だ。年齢にして大卒2年目。だからこそ、大学を卒業して、少なくともあと2年は競技を続けるチャンスがほしいと思う。中距離だけでなく、他の種目も同様だろう。「あと2年続けられる環境があれば」。停滞していた、その種目の前にはだかった壁が大きく崩れるような気がするのです。

とまあ、こういうことを、知り合いの就職や転職といった人材ビジネスに詳しいうえに筑波大陸上部出身である成瀬さんに送りつけては「なんかできないっすかねえ」と話しているところです。

いま、ぼんやりと思い浮かんでいるのは、実業団の陸上選手という枠組みでなくてもいいのではないか?ということ。今回のコロナで仕事のリモート化がすすみ、これまで通勤の往復で費やされていた時間も練習に当てられるし、合宿地にいたとしても、仕事をすることができる。出社義務が薄くなった時代こそ競技と仕事の両立がしやすくなったのではないか?そして、多くの実業団のようにたまに会社にいって、事務作業の手伝いをするみたいな関わり方とは違い、本当にビジネススキルを身につけながら、競技を続けていくことが可能になってきたんじゃないか?そして、就職という手段じゃなくても、海外の大学院、つまりアメリカの陸上強豪校に留学して奨学金を得ながら競技を続けていくということも世界へつながる道筋になるのではないか?

そして、TrackTown Jobsとは、働き手と雇用のマッチングサービスというよりは、選手に新たな選択肢を与えるようなものになるんじゃないか。ってなことを考えていたりします。お手伝いできそうな方はEKIDEN NEWSか成瀬さんにご連絡を。

とはいえ、法政大の松本選手、明日のMDC東京も走ります。みんなで競技だけじゃなく進路も応援したいですね!


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