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バウワーマンTCが大事にしていること

オレゴン世界陸上の3コーナーからのコンコースはレースを間近でみながら、ほどよく日陰もあって立ち話ができるエリア。実際に目の前にいる選手をみながら「あの選手はね」と話も聞けることもあって、期間中はずっと3コーナーに。

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目の前で活躍する活躍するバウワーマンTCの選手たちをみながら、日本と彼らの橋渡し役でもある、代理人の柳原元さんに「バウワーマンのトレーニングメニューって何か秘訣みたいなものがあるんですか?」と聞いてみると「いや、これが驚くほど普通なんだよ」という。

なんかこう、NIKEの資本力もあって、オレゴンプロジェクトのような超科学的な内容を取り入れているイメージもあるけど?と水を向けると、「いや、これが全くオレゴンプロジェクトと逆。彼らがやっていることは、驚くほどに普通のこと。ただし、質がむちゃくちゃ高い。ある日本人選手は『ここに来て、これまで自分のトレーニングが恥ずかしく思えました』と明かしたほどに、やっていることは普通なんだけど、その質が驚くほど高い。」

「ある日本人選手」とは陸上ファンなら誰もが名前は知るような選手。しかも、ストイックに練習を積み上げるイメージが「ある日本人選手」の印象であるのだけど。元さんは続けます。「当然、その質の高さには最初はついていけない選手が多い。遠藤日向もずっとそうだったから、本人は大変だったと思う。だって、英語が得意なわけでもないのに、一人でアメリカに渡ったんだから。チームメイトとのコミュニケーションもうまくとれない時期は寂しかったと思うよ。」

「たぶん、日本人選手たちに限らずバウワーマンTCに来て、最初に選手たちが戸惑うのは、練習メニューがその日、集合時間に言い渡されるんだよ。その日、どういう練習をするかっていうのは、その日にならないとわからない。」それって、香港映画の撮影で内容が流出することを恐れて、撮影当日にしか台本が渡されないやつみたいじゃないですか?「そう。だからトップ選手も新人も集合時間までにアップをしてコーチのジェリー・シューマッカーがやってくるのを待つんだよ。ロングインターバル系だと思ってたら、ショート系と言われることもあるし、インターバルだと身構えていたら、テンポラン系になることもある。しかもジェリーが遅れてくるなんてこともある。スタート直前までわからないんですよ。」練習強度が強いか弱いかは直前までわからないから、選手たちは常に万全の準備をして練習にのぞんでくるってことでもありますね?「大きく種目別でメニューに違いが出ることもあるけど、基本みんな一緒の練習をする。日本みたいに選手個別のメニューをたてるってこともしない」聞けば聞くほど意外です。とはいえ、個人競技である陸上競技で、日本よりも個人主義社会であるアメリカで彼らがよりどころにする考えや哲学てなんなんでしょうか?

「彼らがそれをテーマにかかげているわけではないけれども、ずっと横で見てて感じるのはファミリーであることを大事にしてるもしれない。みんなで同じ練習をするでしょう?だから、最初はついていけないような選手もいるわけです。でも、みんなで声をかけあって質の高い練習を最後までやり切る。それの繰り返し。そこが馴染めなくてやめていく選手もいるけどね。だから、あのチームの強さの秘訣はファミリーだと思う。」

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