お股

会陰切開の跡が痛い。

出産後、通常は4泊5日の入院だけど体調が心配だったから自治体の制度を利用して12000円課金し2泊延長した。里帰り出産などの親の援助を受けられなかったり、夫が育休を取れない人が使える制度だそうです。

入院中は母子別室の個室という恵まれた環境だった。
1番過酷なのは大部屋で他の患者さん&他の新生児&自分の赤ちゃんと一緒に過ごす母子同室で、赤ちゃんが泣くと他の人の迷惑になるため、昼夜問わずすぐに泣き止ませなければならず結構大変らしい。

体力に自信がないため、妊娠中から色々口コミを見て母子別室で個室の産院にしていた。


入院中は、朝6時〜夜20時半までは3時間おきにナースコールが入ると授乳しに新生児室へ出向き、母乳(仮)とミルクを与える。

初産婦の場合、産後すぐにはほとんどの人が母乳は出ないけど、出ない乳を吸わせることにより脳から色々分泌され、運が良ければそのうち母乳が出るようになるらしい。
空の乳を20分ほど吸わせた後にミルクを与えるので、3時間おきに合計40〜50分赤ちゃんを抱いて椅子に座らなければならない。

他には毎日3食決まった時間に食堂へ行くのと、健診や退院後の育児の指導、オムツ替えや沐浴指導、乳のプロの婆さんによる乳マッサージ、meijiの社員からのミルク売込み営業プレゼンなどがあり意外とアクティブに院内を動いていた。

お股がすごく痛いため、初日から食事のときや授乳のときに座るのがかなりキツかったが、
ネットで検索してみると産後2〜3日が痛みのピークで4日目以降はだんだんマシになり1週間で結構大丈夫!という意見が多かったので産後3日目まではポパイみたいな顔で歯を食いしばりシーシー息を吐きながら座っていた。

この顔

しかし産後4日目に焼け付くような痛みが強まり、12錠しか貰えないロキソニンを全て飲んでもバリバリ痛くて傷に触れると腫れていたので、悪化してる!?と思い、食堂のおばさんに頼んで部屋に食事を運んでもらって寝ながら食べることにした。

赤ちゃんの免疫を高めるため母乳が出るよう努力をしなければいけないので、新生児室には頑張って行くと、助産師さんに「部屋で食事したの?部屋で食事するなら授乳も無しになるよ」という産院の独自ルールを聞かされる。

お股めっちゃ痛いんで、じゃあ授乳もやめますわ😅‼️とは言えず、母子別室でただでさえ楽させてもらってるのに…母としての責任…といった真面目な考えが降りてきて「じゃあ食堂で食べて授乳も頑張ります(涙)」と回答してしまった。

翌日食堂へ行くも痛くて座れず、立ったまま食事をしているとドーナツクッションに座るよう勧められるがふわふわドーナツの輪っかで逆に傷が広がる感じで痛い。
バスタオルをUの字に細く折るネットで見たやり方を試してみるも痛くて座れないし、もうロキソニンも無くなってしまい、その日は日曜日で薬局に薬剤師がいなくて夫に買ってきてもらうこともできなくて悲しくなった。

食堂で、ポパイの顔でシーシー言いながら立って目玉焼きをかじっていると、私の翌日に2人目を出産した先輩ママが「私のロキソニンあげようか?」と神の手を差し伸べてくれた。先輩ママは2時間で素早く産み、2人目で切開も少しだけだったようで別に痛くもなんともないらしい。強靭な肉体。

ロキソニン4錠横流しのお礼に食堂に設置されているオフィスグリコで100円のオレオを買って先輩ママに渡したけど、あのとき3300円くらいまでなら出したと思う。

産後4日目のすごく痛かった日に退院健診があり、抜糸をすることもできたが怖くて断ってしまった。
その後「抜糸すればひきつれ感が楽になるのにね〜」と18回くらい言われたけど、タイムマシンで産後4日目に戻ったとしても、カーテンの向こう側で燃えるように痛む傷をいじくられる恐怖に勝てる気がしないので抜糸はしないと思う。

ちなみに溶ける糸なので抜糸しなくてもいいらしい。溶けると言っても加水分解で溶けるのに約1ヶ月かかるそうです。加水分解といえば長年放置したスニーカーのソールが勝手にベロベロになるやつやん、長い…


話が逸れたけど、食堂でロキソニンをもらった後に自室に戻り、そもそも休息のために課金して延泊してるのに無理に座ってお股を圧迫し、傷を悪化させるのは違うのでは…という考えが湧いてきた。

勇気を出して助産師さんに「傷が痛いので授乳お休みして食事も部屋にしたい」と甘ったれたお願いしてみると「ハァ…困ったねえ…」とチクチク言葉を言われる。
しかしこちらも生半可な気持ちではなく、真剣にお股が痛いので「はい!すみませんがお願いします」と圧に負けず意志を貫いた。

今までの社会人経験で、休息は与えられるものではなく勝ち取りにいくものだと理解しているため、ちょっとのチクチク言葉では休みたい意志はブレない。

助産師さんは24時間体制で新生児を見ていてシフト制で複数人いるせいか、授乳を休みたいというのが全員に伝わっていなくて、その後何回もナースコールで授乳に来るよう連絡きた。

数回断っていると1人の助産師さんが、部屋で立ったまま授乳してみるのはどうかと提案してくれ、試してみると座るよりは断然楽で、退院まで立ちスタイルでさせてくれて本当に助かった。

シフト制なのでその後も色んな助産師さんが部屋まで赤ちゃんを連れてきてくれて、その度に「あなた初日はあんなに頑張ってたのにねぇ〜」と言われる。

私は下のきょうだいが5人いるせいか赤ちゃんに慣れがあり「どちたの⁉︎悲しかったねぇ〜チュッ😘賢いちゃんだね〜」みたいに話しかけていたのが初産婦にしては珍しかったようで目立ってしまったのか、初日ハリキリモードから失速しちゃった子というイメージになったようだった。初日から燃える股を隠して赤ちゃん言葉を話していたとも知らずに。


出産を通して学んだことは、痛みに耐えるときは歯を食いしばるのではなく深呼吸して全身の力を抜き、さらにスマホゲームや少女漫画を見て気を散らすと良いということです。ポパイ顔をしても痛みは和らぎません。

私があまりにも痛がるため、最終日に助産師さんに傷を確認してもらったが「全然大したことない!もっと腫れてる人いるよ〜」と言われた。
ヤバいことになっているわけでなく単に私が痛みに弱いだけだった。

今は眠る赤子を見ながら日記を書いています。呼吸が心配なのと、時折ビクッと動いてマリオのジャンプ音みたいな声を出すから気になってしまう。

以前、育児中の友達がディズニーツムツムで桁違いの高得点を出し常にトップを走り続けているのをスゲーやってんな〜と思っていたけど、赤子に危険が無いか監視しながら片手間で静かに何かやりたい感じだったんだなと理解できた。

現在は退院して3日が経ち、帰宅後一度も座っていないおかげか痛みは最大時100%とすると76%くらいに減っている。
立つ、仰向け、膝立ち、四つん這い以外の体勢が取れなくてかなり不便だけどもう少し頑張ります。

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