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相手を責めても始まらない。そう気づいてから変わった家族のカタチ。~中村嘉訓さん~(後編)

こんにちは。一般社団法人りむすびです。離婚後も両親で子育てする共同養育を実践している女性「共同養育woman」特集、前回初登場となった「共同養育man」の後編を公開します。前回のインタビューでは、相手との面会交流の条件が月4回から1回になってしまった中村さん。現在のお子さんとの関係はどのように変わっていったのでしょうか。

前編はこちら

■プロフィール


お名前:中村嘉訓(なかむら・よしのり)さん

お子さんの年齢・性別:長女:14歳(中学2年生)、次女10歳(小学5年生)

2005年結婚。2013年に調停離婚するも面会交流が行われず、翌年面会交流調停をスタート。月1回2時間の面会交流取り決めを着実に実践したことで、現在は子どもの都合や気持ちを優先した形で面会交流が拡充。調理師として調理師会での食育活動に勤しむ。関西の当事者団体でも離婚・別居に悩む方のサポートをするなど、共同養育がもっと浸透してほしいという想いを抱き活動中。

どんなふうに気持ちの葛藤を下げていかれたんでしょうか。 



ひと月に1回の面会交流では、会った直後は充実感でいっぱいになるのですが、数日経つと会えなかった時と同じ気持ちになり、与えられた理不尽さとの葛藤が高くなっていきました。ひと月がとても長く感じてまた不安になる。しかし、相手を急かしたり責めてもいい方向にはいかない、と自分自身の考えや在り方を変えていきました。

そうした思いで面会を重ねていくことにつれ、回数自体が増えていったり、子どもと連絡をとれるようになったりと状況が改善していくことで、気持ちの葛藤も下がっていったように思います。
また、引越し先がわからない時期のことですが、子どもたちとの面会時に元妻も一緒に食事や買い物にいくということも特別なことではなくなってきた頃に、「帰りに家まで送って」と言われた時には、元妻の変化を感じました。やはり一人で子育てすることは大変だし、私もできることがあれば協力しよう、と思えるようになっていきました。

いつでも会えるようになったことで、理不尽な思いからの葛藤からも解放されていきました。当事者団体などでのイベントにも積極的に参加するようになり、子どもを連れていったこともありました。そういう出会いの中で、自分の状況を客観的に見ることもできるようになりました。拳をあげつづけるのではなく、決められたことで最善を尽くす、ということが大切だと思います。

いま現在、元妻、お子さんたちとどのぐらいの頻度で連絡をとり、お会いされているのでしょうか。

娘たちとは直接連絡を取り合っていて、仕事が早く終わった時には「今日ごはん食べない?」と連絡をして外食をしたり、休みの日には何をするということもなく私の家で過ごすこともあり、私が離婚当初に思い描いていた状況が実現しています。「元ファミ中村家」という家族用のLINEグループもあるのですが、現在は元妻が抜けて別の段階の関係に達したように思います。

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いま現在離婚を考えている方、離婚されてお子さんと会えない方、会わせていない方にメッセージをお願いします。 


私はいま当事者団体で自分の経験を話すこともあるのですが、相手を責める姿勢を貫く人はやはり良い方向にはいっていないと思います。
家族としての信頼関係を積み木で例えるなら、離婚というものは今まで積み上げてきたものがバラバラに崩れてしまった状態で、それを調停で片付け、もう一度ひとつひとつ積み上げていく…月1回2時間の面会は積み木のひとつ。再び崩れ落ちないようにひとつひとつ土台をつくるように積み木を増やしていきましょう。土台が安定したら次の段階に、グラグラしてきたら戻って土台を確かめましょう。周囲の人のアドバイスは、自分では見えない方向からの視点と思って参考にしていきましょう。そこに子どもや元妻が参加して、家族というものをともに作り上げていく…という感じでしょうか。

高かった積み木のことをいつまでも思っていても、崩れた原因を責めたり犯人捜しをしていても、崩れてしまった積み木は崩れたまま。崩れてしまった状況を受け入れて、丁寧に積み上げていくことが大事だと思います。

たとえ離婚して夫婦の関係はなくなったとしても、親子の関係を築き続けられる共同養育が当たり前の社会になっていくことを願っています。共同養育のメリットのひとつとして、別居親側の両親との関係も保たれます。祖父母を含め、子どもと関わる人が減らないことは子どもにとっても支える人が増えるということで、お年玉も増えます(笑)。
今では夏休みなどの長期休暇には、子どもたちだけで私の実家に寝泊まりして、おねだりもしているようです。そんな娘たちを見ていて良かったな、と実感します。

これからしていきたいこと、目標や夢はなんですか。

共同養育の大切さをわかった今だからこそ、全力で子どもたちのサポートをしていきたいと思います。先日、子どもとクルマで出かけた時に、テレビで「世界のこどもの幸福度ランキング」を扱ったニュースが流れてきました。日本の子どもは幸福度がとても低いという内容を聞いた娘が、私に向かってはっきりと「うちらは幸せやんな!」と言ってくれ、とてもうれしく思いました。

つまり、両親が離婚したから子どもは不幸ではないということで、離婚相手に無関心なのもいいし、無理に仲良くする必要もない。それでも、子ども自身が幸せだと離婚した親に話すことができるという状況は、どちらの親からも愛情を感じていることとは決して無関係ではないでしょう。

共同養育をすることで、我が家だけの特別な家族のカタチが生まれました。みなさんにもそれぞれのカタチを見つけていってほしいと思います。そんな私の将来の夢は、孫の面倒を見ることです(笑)。

写真上から:中村さんのご自宅に飾られているお子さんたちの幼少期の絵。調理師の中村パパだからなせる、イベント時にお子さんと共同で作ったフルーツ盛り合わせ。

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企画:一般社団法人りむすび
インタビュー・記事:江島るな子

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