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争わず、歩み寄ったことで共同養育を実現したパパからのヒント。

こんにちは。一般社団法人りむすびです。離婚後も両親で子育てする共同養育を実践しているパパママのインタビュー記事「共同養育man&woman」特集。前回「共同養育man」を初公開しましたが、今回も引き続き男性側の気持ちをインタビュー。理不尽なな思いや怒りがあったものの、争いを避けた方がいいと思っていた日下さん。悩んだ際にりむすびの扉をたたいてくれたこともありました。現在では、取り決めなくお子さんとの時間をもてる関係になったそう。その道のりをインタビューしました。

■プロフィール
お名前:日下達也(くさかたつや)さん
お子さんの年齢・性別 長女7歳(小学1年生)、長男5歳(年中)
岡山県出身。2012年結婚するものの、2019年離婚。元妻と別居後、りむすびの扉をたたき“争うよりも歩み寄り”を心がけた結果、現在離婚後も近所に住む元妻、子どもたちといつでも会える環境を実現。

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日下さんに最初にぶつけた質問は、「離婚までの経緯」
ところが、首をかしげ、正直詳細まで覚えていないと言う。どういうことか聞くと、「今では子どもと会える環境が当たり前になり、昔はどうしてあんなに争っていたのか不思議で」、との返答が。
そう笑顔で語ってくれた日下さんだが、いままでの道のりは決して平坦ではありませんでした。

離婚前の夫婦関係はどういったものでしたか?

子どもがふたり生まれて幸せでしたが、夫婦のなかでは小さな価値観の違いが積み重なっていました。ちょっとしたことで意見がぶつかることは多かったと思います。でも、その都度解決していたと自分では思っていたし、結婚ってこういうことの繰り返しなのかな、と。
僕は何があっても夫婦の小さな諍いは積み重ねて乗り越えられると信じていたんですよね。喧嘩の際に「もう離婚だ!」なんて口に出したこともありましたが、もちろん本気じゃなかった。正直、妻の気持ちを察することが自分のなかではできていなかったように思います。
そして、2017年の年末、小さな喧嘩から妻が子どもたちを連れて出て行ってしまったんです。家に帰ってこなくて、でもほとぼりが冷めたら帰ってくるだろうと思っていました。

りむすびにも相談にこられたそうですね。

当初復縁したいという想いはありましたが、とはいえ自分の中に悔しさや怒りがなかったわけではありません。そんなとき、争わない解決法はないものか、葛藤を下げるにはどうしたらいいだろう、と考えて色々と調べていた時に、りむすびを知り、すぐにしばはしさんに連絡をして電話相談をしました。当初は納得がいかない、という話をしていたと思いますが、自分の権利や意見を主張することが得策にはならない、ということや共同養育という道があることを知ると、どこか腑に落ちた感覚がありました。そして、「今までは喧嘩っ早い性分だったけど、歩み寄ることで仮にうまくいかなかったとしても後悔しません」と言い切り、方向性を歩み寄りに切り替えていきました。

その後お子さんとは会えていたのでしょうか。

それからは別居しながらも子どもには会えていたのですが、2018年に妻側と連絡がとれなくなり、ほどなくして離婚の調停を起こされました。そこから子どもたちにも会えなくなり、とても辛かったことを覚えています。
面会では争うつもりはない、ということを妻には伝えていましたし、自分の気持ちを手紙に書いて調停で渡したりもしましたし、最初は自分に弁護士もつけませんでしたが、その後、面会交流の申し立てをしました。自分としてはとにかく復縁したかったので、そのために相手の意見はきちんときくように心がけていましたが、やっぱり辛かったです。

なんで?とか、会えない間は子どもはどうしているんだろう、という不安や怒りが入り混じったような感覚で、自分としてどう在るべきか悩みました。その結果、ようやく5カ月以上経った頃に、裁判所から試行的面会をするよう促されたんです。
面会は裁判所で1時間程度。妻の弁護士、調査官、保育士、看護師も立ち会い、危険だと感じるとすぐに終了するという約束でようやく一度だけチャンスをもらいました。その時、僕にはDV、虐待の疑いもかかっていたのですが、のちの調査官調査では、僕が最初から争う姿勢を見せなかったことや子どもとの触れ合いを見たなかで問題ないと判断されたようです。印象としてはよかったと思います。

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お子さんやお相手、またご自身に変化はありましたか?

僕の弁護士の事務所で試行面会をしたこともありましたが、幸い子どもたちも小さかったこともあってか面会時は今までどおりでした。そんなある時、調停の際に妻が「子どもとの面会時にごはんぐらい一緒に食べてもいい」と話してくれたみたいで、だんだん面会時間が拡充していきました。その後、離婚が成立しました。
一方で子どもたちと会う時間は今まで通り、父親としてできることをしました。そしてほどなくして、なんと、元妻が近所に戻ってきてくれたんです。これには驚きました。

子どもたちとは僕の家でゲームをしたりごはんを食べたり、その結果、相手との夫婦関係は一旦解消となりましたが、連絡は普通にとれるようになっていきました。夫婦ではなく親としての役割がよりクリアになったのかもしれません。
僕自身もいままでのことを振り返って、相手の気持ちをより理解するようになっていったので、面会の後は「子どもたちと会わせてくれてありがとう」とメールしたりもしましたね。

現在、どのように共同養育をされていますか?

いまは特に取り決めはあってないようなものです。週に1回程度、僕の家に子どもたちがきています。そこは自由にしています。僕の家に元妻がくることもあります。「お風呂入れてから子ども達を送ってきて」、なんていわれることも(笑)。ちなみに僕は絶対元妻の家には入らないって決めています。そこは離婚したケジメです。
元妻とはいまになって、あの時は……なんて話もしたりしますが、正直、どうしてあんな葛藤を抱えていたのかな、と思うこともありますね。

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現在調停中などで理不尽な想いをしている方、そして同居親として不安を感じられている方へ、メッセージをお願いします。

歩み寄ることは容易いことではないと思います。親権争いをされている方も多くいらっしゃいますが、やはりそこに縛られているといい方向にはいっていない方が多いのではないでしょうか。僕は完全にいまでも元妻の尻に敷かれています(笑)。そのぐらいがちょうどいいのかもしれません。
そして妻側の立場の方には、もっともっと夫に頼っていい、ということを伝えたいですね。本当に男は言われないと気づかない生き物なんです。そこを察してほしい、と言われてもなかなか気づかないのですが、そのストレスをためてしまうといつか爆発してしまいます。でも言ってもらえると意外と、そういうことか、と腑に落ちることもしばしば。
なので、諦めず、爆発する前にため込まないで話してほしいと思います。僕はいまでも元妻にはもっと頼っていい、という想いをもっています。

写真上から:お子さんが元気に遊ぶ後ろ姿、日下さん、お子さんとのショット、まだ文字を書き間違えてしまう可愛らしいお子さんが書いたものを記念に撮影。

企画:一般社団法人りむすび
インタビュー・記事:江島るな子(共同養育コンサルタント)

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