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手織り真田紐のこと

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国内唯一技術継承された手織り真田紐職人です。
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#文化継承

手織り真田紐のこと(三)西村幸さん

修司さんの時代には、上皇陛下の立太子の礼のとき 初代滋賀県知事 服部氏より滋賀県から西村家の手織り真田紐が献上されました。知事はじめ町長などが揃ってかがり火を焚いて送り出したそうです。 また、終戦後にマッカーサー氏がアメリカ空軍を退官し帰国される際に 手土産に持ち帰った藤娘人形のガラスケースに西村家の草色の手織り真田紐が掛けられました。 終戦直後は糸がとても貴重でした。 手織り真田紐を生業としていた西村家には特別多く糸の配給があり、 八日市の西陣織の職人さんに分けるなど、

手織り真田紐のこと(四)日本唯一の継承者

西村家の真田紐に触れるうちに、機械織と手織りの違いがわかるようになってきました。  単(ひとえ)織はシンプルな構造ですので、理屈は誰でもわかると思います。けれど、やはり実際には職人織りと素人織りの技術差は出ますね。 手織りですから全ては個性と言えるのですが。  恐れ多くも私も織機に座らせていただきましたが、二織りほどしてあぁ難しい・・と思いました。これは残せないと、直後にそっと解きました。 その体験をさせていただいて、素人と職人の違いがどこに出るかも理解できるようになったと思

手織り真田紐のこと(六)手織りの価値

ここまで来ると、流石に素人の私でも手織り真田紐の価値が それなりにわかるようになって参りましたが、 それでも、わざわざ手織りの紐をオーダーされる方がいらっしゃることに 驚き、その拘りを持つ方に興味がでてきます。 是非お会いたいと操さんにお願いして納品にお伴させていただきました。 納品先は伊賀上野にある能面師の工房でした。 操さんの紐をみるなり、「これですよコレ」と嬉しそうに目を細められます。 しばし、職人同士のあるある談義に耳を傾けて楽しんでおりました。 「何故、お面の紐