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私の傷を弦に見立てて押さえるあなたが、狂おしいほど愛おしく、殺したかった

こんなに細い身体を、一体どうやって抱いたの?
骨が軋む音がする
内臓が掻き回されて、見えない血が飛び散った
どれだけ乱暴に抱いたっていいよ
ただお願い、あんまり痛くしないで
涙も、傷も、便器にぶち撒けた胃液も、
見えない命を殺したって、
愛と信じたくて、愛と呼んだ
大切にされていないなんて、まさかね
そんなの知ったら、私死んじゃうよ
綺麗に並んだ錠剤が、ゆらゆらと燃えていた
声を殺して泣くなら駅のトイレ
自傷をするなら見えないところに
こんなことには慣れているの
相手が私でよかったし、悪かったね
だけどどうして、抱いた母性と憎しみが絡まって、ほどけそうにない
なんで綺麗にして去ってくれなかったのよ
私こんなにボロボロのままだよ
分かってくれましたか?
あなたが抱いたのは、少女で、娼婦だったこと
私、きっとこんな顔をしていたでしょう
隣の寝息からそっと抜け出して、這うように私は私のもとへ
これが私が捧げて、手に入れた夜明け
めくったページ、どうか忘れないで

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