Self direction portraits:02
東京、お前が私を壊した
山手線に飛び乗って半周、私はずっと泣いていた
乗り換えた電車の中でも、真っ暗な家のトイレでも、声を殺して泣いた
冷酷にも有難いことに、声をかける人などいなかった
この白い便器に、私は何度吐瀉物をぶちまけただろう
吐く度に思う、どうしてこんなに涙が流れるのか
眼球の裏の血管が、ブチブチ音を立てて切れるように痛む
そろそろ目玉が飛び出てくるのではと思う頃、レバーをひねってトイレから出た
涙と鼻水と唾液でぐちゃぐちゃになった顔は、これから先も絶対に、誰にも見られたくない
そしてそんなことはまるで無かったかのように、私は気丈な振りをして、東京の街を歩く
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