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『五月大歌舞伎』を(部分的に)観た記

一幕見席などを利用して観てきました。
ほかのお芝居に比べると、チケットの値段設定がお得で、選択肢があり、かつチケットもとりやすいのが、歌舞伎の魅力ですね!(前日にふらっとチケットとりました)

鴛鴦襖恋睦

尾上右近さんの、雑なそぶりの芝居が面白くて、吹き出してしまいました。
湿っぽくない、チャキチャキして芯があり強い女形のお役がよく似合っていいなあ~と。
萬太郎さんは、赤い塗りの勢いがあってちょっと悪いお役がハマる。三月も「菅原伝授手習鑑」で似た系統のお役だったような。

最後、ちゃんと鳥の舞踊になっていたのが、お衣装と振りと演じる役者さんのすごさ!と、楽しみました。
歌舞伎版・白鳥の湖?

毛抜

歌舞伎らしくて面白いけれど、ちょっと今の時代に合わないストーリーの部分・演出もあるような・・・

市川新之助さんに9歳でこれを演らせたと、後から知り、
コンプライアンスや大人が子供に対する教育やモラルとしてどうなんだろう(適切と言えないのではないか)、9歳で主役をはるにしてももっと適切な演目があったのではないか
と、悶々としました。

今回も萬次郎さんが良かった!
まだ歌舞伎ビギナーなのに、萬次郎さんの声が聞こえると安心できる(笑)

伽羅先代萩

伽羅=仙台藩主を連想、先代=仙台、萩=仙台の有名なもの(萩の月とか)と、徹底的に仙台藩を当て擦りしてディスったタイトル!
こういう洒落なのか本気なのかあやうい橋を渡っているところ、歌舞伎の大好きなポイントの一つです。笑

御殿

「まま炊き」が長くて飽きる、というのは(ちょっと)共感。
所作が席の都合上、見えなかったのが残念・・・見えていたらもっと飽きなかったはず。
それでも、お芝居のラストに向けての盛り上がりにかけて、ひきこまれてウルウルしました。
いま平和で食べ物が溢れる良い時勢だからしっくりこないけれど、ちょっと前の時代(戦後とか)を知っていたら、涙で上を向けなかったんじゃないかと・・・

床下

座席の都合上、花道が全く見えずあまり楽しめませんでした。花道が見えないと、8割が目も耳も楽しめない待ち時間です。。。
場面転換の時間が長く、演じている時間より待ち時間の方が長かったのでは?と感じたうえ、仁木弾正は花道から動かず一言も台詞を発さないので、「この幕要る?」と、つい思ってしまいました(笑)
スモークに臭いがついていたので、苦手な人は花道から遠い席の方がよいかも。。

四千両小判梅葉

役者さん誰かに突出することなく(もちろん、演者さんおひとりおひとりが素晴らしいうえで)、1つのお芝居として面白いなあと思ってみました。
松緑さんが聴かせること。
ただやっぱり地味な話だと思います。笑 全体的に照明も暗くて派手さがないので、好みは分かれるかも。。

夜の部は観てよかった!
夜の部全体に空席が目立ち、かつ途中で退席される方も多く見えたけれど・・・どちらもよいお話だと思ったので、残念です。


歌舞伎のことばで「口跡(こうせき)」というのを知りました。
萬次郎さんや松緑さん、彦三郎さんを観たときにいいなあ~と思わせるのはコレか!と。

半年、いろいろな役者さんを観てきて、台詞が明瞭ではなく聞き取れなかったり、十分に響いていなかったりする方も残念ながら少なからずいらしたので、本当発声・セリフというのは難しくて重要な要素なんですね。

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