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ヨーガの教えを切り取らない

ヨーガ(ヨガ)は数珠繋ぎのように連綿と続く教えなので、
その中の情報だけをバスッと切り取って提示すると途端に真意とずれてエライことになる。

どういうことかというと。

例えば、「ヨーガは心と体をつなぐもの」という一文。
これ実際どういうことですか?
ちゃんと理解できている人も多いと思うけど、
字面だけ見て自分の今まである解釈でどうにか理解しようとすると、
心と体をつなげて心の赴くままに体を動かそう!というような文脈になってしまう恐れがあると思う。
私の心が喜べばいいの!心が嫌がることは行動しない!的な。
それ・・・ただのわがままになっちゃいそう。感情のままに体を動かすんだから。
万が一そうやってヨーガの教えを自分の解釈で歪めてしまったら、そりゃエライことになるのは容易に想像できますよね。

ヨーガは【心の作用と私自身にスペースを作るもの/考え】。
(※学んでる人向け:ここでは特にアンタッカラナシュッディの側面で言ってます)

そりゃ心が落ち着けば自然と体も落ち着くから、そして体が落ち着けば心も落ち着くから、どっちかにアプローチをしてどっちかを安定させるということはある。
前者は瞑想、後者はアーサナ、そして呼吸を通して行う。瞑想・アーサナ・呼吸、どれもがヨーガの中に含まれるものだけど、それだけがヨーガではない。

心や体は海の中の波のようなもの。時にさざ波、また時には荒波のように揺れ動くから、いつもはその海には底があることが見えない。だから【まずは】心と体を穏やかにすると、初めて自分の存在(ここでの例えだと海のこと)に目を向けることができるようになる。そうか!波しか見えてなかったけど、波が落ち着くと海底が見えるじゃん!!という感じで。
まるで一つ一つの波(揺れ動く心)が私だと思っていたけれど、私は波ではなくて海そのものだったんだ、ということに。

だから心の作用は止めなくていいんだよね。
波を止めても海にとって別にいいことないでしょ?いろんな波があるから豊かな海になる。波を止めるんじゃなくて、私は海で、波が心。という認識が私と心の作用の間にスペースを作る。心は動いていい。でも心の波に巻き込まれない。

もうちょっと直接的にいうと「私=心」ではないんだよね。

どういうことか少し掘り下げてみましょう。
アーサナ(ポーズ)をとることからヨーガを始めた人は多いと思うんだけど(その限りではもちろんないですが)、そういう人は最初の頃を思い出してみてください。

あれ?私のイメージでは先生とおんなじくらい脚開いているはずなんだけど、鏡に映っている私まるでテディベアみたいやん!とか、自分のこの手が右手かどうかすらわからなくなっちゃったんですけど!とか。
そんな経験ありませんでした?私はバリバリありましたよ。

思った以上に自分が体をコントロールできていないことを悟る。そしてそこからアーサナの探求が始まる。そして「私」という存在が「体」という道具を上手に使えるようになればなるほど私と体がつながっていく気がする。

ある程度体が使えるようになってくると。今度は動き回る「心」が気になってくる。「心」を客観視できるようになってくる。
私は私自身を見る事は出来ない。目は目自身を見ることができないよね?鏡を使って(頼って)推測することはできても直接は無理。これと同様にもし私が心だったら、心を見ることは叶わない。逆に私が心を客観視(見ることが)できるということは、心は「私ではない」ことがわかる。

つまり、心も体と同様に実は私の道具だってことがわかるわけ。

体は私自身ではないとわかっている人も、心も道具ですよなんて言われたら憤慨しちゃうかも?
でも心も道具です。だからこそいくらでも磨けるんだけど。今からでも遅くない。

ヨーガという言葉は確かに「つなぐ」という意の語源からできているけど、別に実際につなぐわけじゃない。まるで私とあなたと世界はバラバラの存在に見えていたけれど、本当は全て同じ存在で分かれていなかった、そもそもつなぐ必要すらなかったんだっていう認識を新たにすること。それがヨーガの「つなぐ」の真意。


ヨーガは何回も繰り返し先生の言葉を聞いて継続的に学んでいくものだから、書いていてなんですがこれを読んで100%理解してほしいわけじゃありません。伝えたいのは、ヨーガの教えを自分の都合のいいように切り取って解釈すると、間違った方向に行っちゃうこともあるからお互い気を付けましょうねという話。
最初に出てきた「ヨーガは心と体をつなぐもの」の文章も間違っているというわけではなくて、少しずつ真意を理解していくもの。もっと前のめりにじゃあ結局「心」ってなんなのさ?「ヨーガ」ってなんなのさ?って思うきっかけの一つにしてもらえたらうれしいです。

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