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14年連続日本人がイグノーベル賞受賞!

一週間ぶりのnoteとなってしまいました。気分がすぐれずPCの画面に向かうのがしんどかったのですが、「これだけは記事にまとめておきたい!」という話題を書きました。

人々を笑わせ、考えさせた業績に対して贈られる「イグ・ノーベル賞」。ユーモアのセンスが溢れている研究がたくさん有って、「科学って楽しい!」と思わせてくれるので、「ノーベル賞」の発表よりも楽しみにしているのです。

2020年の「イグ・ノーベル賞」の発表が9月17日に行われました。ワニにヘリウムガスを吸わせた研究で京都大学霊長類研究所の西村剛先生のグループが受賞したとのこと!おめでとうございます。

さて、ワニにヘリウムを吸わせた研究でなぜ「イグ・ノーベル賞」を受賞したのでしょうか?「イグ・ノーベル賞」についてと受賞した研究概要についてまとめてみようと思います。

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「イグ・ノーベル賞」のイグって何?

イグ・ノーベル賞は1991年に「人々を笑わせ、そして考えさせてくれる業績」に対して与えられるノーベル賞のパロディーの位置付けで創設されました。

「イグ」は「Ig」で否定を表す接頭辞。「Nobel」と組み合わせて、「ignoble(不名誉な)」にかけた造語になっています。

「イグ・ノーベル賞」の目的は、面白いが埋もれた研究業績を広め、並外れたものや想像力を称賛し、科学・機械・テクノロジーへの関心を刺激するため。

毎年9月〜10月に風変わりな研究・社会的事件などを起こした10の個人・グループに対して笑いや称賛、ときには皮肉を込めて授与されます。

過去にはカラオケやたまごっち、バウリンガルなどの商品発明に対して賞が贈られることもあります。

「イグ・ノーベル賞」は授賞式が非常に特徴的で、ハーバード大学のサンダーズ・シアターで行われます。まず、イグ・ノーベル賞ではスウェーデン風ミートボールに敬意を払うところから始まるのです。(本家のノーベル賞はスウェーデン王室に敬意を払います)

受賞者の旅費と滞在費は自己負担。授賞式の講演では聴衆から笑いを取ることが必要とされます。観客は紙飛行機を作り投げ続け、掃除のモップ係はハーバード大学物理学の教授。(ロイ・グラウバーが務めていたが、2018年に亡き人に...)受賞者は一本の長いロープにつかまって一列になって壇上に登場する。講演には60秒の制限時間が設けられ、それを過ぎると8歳の少女に罵倒されるという風習があります(イグ・ノーベル賞を受賞した研究に基づく)。

2020年、日本人が受賞した研究内容とは?

今回日本人が受賞したのは「Acoustics Prize(音響賞)」。スウェーデン・オーストリア・日本・アメリカ・スイスのグループの合同受賞です。

研究内容はヘリウムで満たされた密閉された部屋の中にヨウスコウワニを入れて声が変わるかどうかの研究。2015年にJournal of Experimental Biologyに報告されています。(論文の全文読めます!)

この研究、どこがすごいんでしょう?そもそもワニをはじめとする爬虫類は打楽器を叩くような「カチッカチッ」という音を出すそうです。私たち人間をはじめとする哺乳類は、喉から口まで続く「声道」という空間の中で、共鳴させて音を出しているんだそう。

ワニの詳しい発声の仕組みがわからなかったので、西村先生たちはワニにヘリウムガスを吸わせてみることにしました。もしワニが私たちと同じように共鳴させて音を出しているとしたらヘリウムガスを吸わせたら声が変わる、打楽器のように直接空気を振動させて声を出している場合はヘリウムがすでも声が変わらないという仮定のもと実験を実施。

ヘリウムガスを入れた水槽で鳴いたワニは通常よりも声が高くなっているという結果に!私たちと同じように「声道」を振るわせて声を出しているということがわかりました。

で、この実験ワニにヘリウムガスを吸わせて鳴かせること自体面白いのですが、どこが考えさせるポイントなのでしょう?

この論文のディスカッションの最後には、ワニは鳥類とともに恐竜の祖先であることが示唆されているので、ワニの発声が恐竜の鳴き方も同じだったのかもしれないということがチラッと書かれています。またワニのこの発声方法が果たす生物的役割(かっこいい音を出すオスの方がモテるなど)に関する研究にもつながっていくとのことでした。

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西村先生、受賞おめでとうございます。今年はリモートでの式典開催となったようですが...

私もいつか、「面白い!けど考えさせられる」研究をしてみたいものです。

それでは、また!

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