正義について(パワプロクンポケット7)

主人公:ねぇ博士、正義や悪ってなんなんでしょう?
レッドが悪い奴だと思うから野球で勝負して追い出したんです。
でもあいつのおかげでチームは強くなったし甲子園にも行けるようになった。
俺のやったことは正義なのか、それとも悪なんでしょうか?

黒野博士:
ああ、そりゃ簡単なことじゃ。
“正義”の反対はなんじゃな?

主人公:
悪じゃないんですか?

黒野博士:
悪の反対は善、善の反対は悪じゃ。正義の反対は、別の“正義”あるいは“慈悲・寛容”なんじゃ。
正義とは、人の従わねばならん道理を言う。”正義を行う”となれば、道理を守らせることにもなる。

主人公:
それはいいことなんですか?

黒野博士:
それは必要なことじゃが、問題は道理が一つでないことじゃ。
“殺すな・奪うな”までは殆どの思想で共通じゃが、その先はバラバラじゃ。
“男女は平等”かもしれんし、“女性は守るべきもの”かもしれん。
“どんな命令にも従う”が正義なら、“悪い命令に逆らう”のもまた正義。

主人公:
じゃあ、なにが正しいんですか?

黒野博士:
みんな正しいんじゃよ。道理に関する限り、正しい事は一つと限らないんじゃ。

主人公:
でも、それじゃ困りますよ。なにが正しいのかわからない!

黒野博士:
だから”法”がある。なにをしてはいかんかの約束じゃ。
・・・これも正しいとは限らんがね。
じゃから、結局のところはその時ごとになにが正しいのかよく考える必要があるじゃろうな。
結局のところ、みんなにとって最も良い事を探して選択するのが”善”なんじゃろう。
じゃから、正義は善と限らん。ともすれば自分の信じる道理を他人に押し付けることになるからな。

主人公:
・・・よくわかりません。

黒野博士:
じゃあ、最初の質問に戻ろう。
やらなきゃならんと思ったからやったんじゃろう?
本当にそれが正しかったのか、最善のやり方だったのか、ときどき反省してみるんじゃな。
いずれ、自分で納得できる時が来る。

主人公:
・・・はぁ。
じゃあ、悪って何なんです?

黒野博士:
一般的な定義から言うと、世の中のルールを破って他に迷惑をかける行為じゃな。

主人公:
でも、博士は”悪”なんですよね?
どうしてわざわざそんなものをやってるんですか?

黒野博士:
わははは、一般的と言ったじゃろ?
ワシにとって、悪はロマンなんじゃよ。ロマン。
わかるか?
ルールにとらわれないことじゃ!
希望、生命力、突破点、新しいもの。
幸せになりたいという欲望!
昔は、”科学”も”自由”も”人権”も”平等”もみーんな”世の中の平和をみだす悪”じゃったんじゃよ。

主人公:まさか!

黒野博士:
なーに、ちょこっと歴史の本を読めばわかることじゃよ。
それじゃあな、少年! 若いうちは悩んでおけよ!

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