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014 〈アーティストトーク 金サジ「はたむんとからだはいま」〉を開催しました

2024年1月20日(土)14:30-16:00、〈アーティストトーク 金サジ「はたむんとからだはいま」〉を開催しました。
2023年秋、「芭蕉布の里」として知られる大宜味村・喜如嘉に長期間滞在しながら作品を撮影した写真家・金サジさんを中心に据えてのトークイベント。東アジアの現代美術や工芸を含む文化的エコシステムにおける協働、プロデュース、キュレーションの実践的研究をおこなう金島隆弘さん(金沢美術工芸大学 准教授)と私が登壇しました。

アーティストトークの様子

過去から現在へ、芭蕉布を通じた人と人との関係性をテーマとした作品づくりのきっかけや、4年ぶりに開催された喜如嘉地区の豊年祭「喜如嘉まつり」に向けて準備する住民たちと過ごした3週間に及ぶ期間のエピソードなどをお話いただきました。

2022年に出版された写真集『物語』の重厚に作り込まれた雰囲気とは異なり、大半の時間は「おばあとゆんたくしていました」と語るように、本展では被写体をほぐしにほぐして表情や仕草を自然に引き出しています。営業妨害(?)なのかもしれませんが、普段のサジさんはニコニコと嬉しそうな顔で相手の懐に入っていき話を投げかけつつ話を引き出していくという卓越したコミュニケーション能力をお持ちです(かくいう私もすっかり乗せられてしまっていますので身をもって実証済み)。

本展では、喜如嘉の人たちが親から子へと手渡されていった芭蕉布で作った着物をめぐって、その記憶を呼び起こし、長い時を超えて再現してもらうというものです。その表情や仕草はなんともリアル。そして時間を感じさせるものとなっています。

今回は、廃園となった大宜味村喜如嘉保育所で展示を行なっていますが、当初は異なる場所での展示を構想されていたそうです。その折には取材したテキストも共に展示すると考えておられたようなのですが、展示空間との兼ね合いで断念されたそうです。いつか、その構想を実現させてもらえたらと思っています。

そして、まだ足りないということで地元での支援をおこなっていた大宜味村観光協会の大崎さんを通じて、さらなる取材を試みておられます。また、続編の展示が行われるのでしょう。
さらには、大宜味村からの移民の方々(主として南米)にも目を向けて、芭蕉布をめぐる物語を探したいとのお話もされました。

実は、サジさんの展示をアーカイブして本にする予定なのですが、どこで区切ればいいのやらと思案しているところです。地球を半周する前に、一区切りするのがいいのでしょうか。
ともあれ、サジさんとのアーティストトークで空間と時間の素敵な旅に連れていっていただき、まだまだ旅が続くと思うと胸が高まります。

展示は〈やんばるアートフェスティバル〉の大宜味村喜如嘉保育所にて2月25日まで開催されています。ぜひご覧ください。

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