私は私で、いていい。
それは仕事での小さな出来事。その人は気付かなかったみたいだけど、その人の価値観を、随分と押し付けられて私はとても窮屈だった。
その人は気付かなかったみたいだけど、それがすべて正しいと、誰かが言ったその言葉を、そのまますべて信じてしまったその事実が、その人にとっては、まるで風に流されて、枝にかかった風船みたいに、子供は泣いてるというのに、哀しいくらいにぴったりと、そのまま引っかかってしまったんだろう。だからといって、その引っかかったものが、私も同じとは限らないというのに。
その人は気付かなかったみたいだけど、私は私であって、決してその人自身じゃない。心も体もまったく違って、また、さらに言えば、育った環境も想い出も、生き方も、歩き方も、大切な人も、すべてにおいて違っているのに、どうしてそんな考え方を、そんなふうに押し付けるんだろう?
時々、そんな人がいる。
私にとっての戸惑わせる人たち。
でも、私も時として、離れた場所からこの私自身を思う。そうしないと私としての、その間違いを見失ってしまいそうだから。私もいつしか同じように、私の価値観を近くの誰かに押し付けているのかもしれないから。
そして、不安に思うのは、私のほうが”おかしいの”だろうか?とそう思うこと。
でも、私が”おかしい”と思うそのことは、他人の行動を”常に正しい”と考えてしまった私の弱い心でしかない。だから今はこう思う。この私を信じると。私を”おかしい”と思うそのことが、私にとっては”おかしい”ことなんだと。
私は私で、いていいんだ。
こんなにも簡単なことのはずなのに、人の心はいろんな出来事にどんどん上書きされてしまい、やがて元の形もわからないほどになってしまう。私って、どんな形だったっけ?こんなに歪んでいたんだっけ?いつしかそれが正しいと信じてしまうほどに。
正しいことなんて、風のように移ろうもの。いつも考えるべきことは、きっと、それを信じるか、信じないか。それはこの心が決めるべきことだろう。
私は私で、いていい。
あなたはあなたで、いていい。
大切なのは、それに気づくこと。
そして、自分を信じるということ。
今はただ、それだけでいい。
最後まで読んで下さってありがとうございます。大切なあなたの時間を使って共有できたこのひとときを、心から感謝いたします。 青木詠一