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【読】 新しい文章力の教室

■書名 新しい文章力の教室 苦手を得意に変えるナタリー式トレーニング
■著者 唐木元さん
■発行 株式会社インプレス
    2015年8月11日
■本書を読んだ理由
書くメシ主催のライティング勉強会で、講師として立たれていた豊田里美さんが良書としてお薦めされていたため。
■本書の概要
ニュースサイトナタリーで7年に渡り編集長を務めてきた著者が、もうひとつの主業務として担ってきた新人研修。その研修『唐木ゼミ』がそのまま参考書として書き起こされたかのような内容です。
以下本文から抜粋。この本では唐木ゼミで伝えてきたことをベースに、書ける人にとっては当たり前すぎて誰も説明してくれない基本、「歩くときは右足の次に左足を前に出す」というようなプロセスを言語化し、誰でも順を追って身に付けられるようにしました。


■■印象に残った内容■■

文章の骨子は「要素・順番・軽重」、もしくは「何を、どれから、どれくらい」であるが、いちばん思案に時間がかかるのが「順番」である。著者が8割がたの記事に適用しているのが「サビ頭」。文章をおしまいまで読みたくなるような、魅力的な一段落を最初に持ってくるということ。冒頭で読者の興味をグイっと引きつけ、関心をキープしたまま、目標である「完読」までこぎ付ける。

事実・ロジック・言葉づかいによる作文の完成度はロングテール。事実とロジックが7割。そこさえしっかりしていれば、それだけで70点くらいの文章にはなる。そこから先は言葉に磨きをかけていく作業となるが、推敲が進めば進むほど、クオリティを上げていく作業は高度になっていく。

文章は意味・字面・語呂の3つの見地で読み返す。意味=ミーニング=脳。字面=ビジュアル=目。語呂=オーディオ=耳。「内容さえ良ければ読まれるはず」という独りよがりは捨てて、ルックスの良さや、心地よい読み味を追求するサービス精神を発揮すべき。

実用的な作文は、創作や芸術ではなく、サービス業だと考えるべき。すなわち読者に頭を使わせず負担を与えず、伝えたいことをすんなり最後まで飲み込んでもらえるように提供すること。伝えたいことが伝わることが第一義と思い出し、書き手の気持ちよさや表現欲求は二の次、三の次に回す、大人の書き手になろう。

余計な単語を削る。接続詞、重複、代名詞、修飾語を削って文章をタイトに締める。また、文頭一語目の直後には読点を打たないほうが、多くの場合スマートに感じられる。

「など」「といった」「ほか」「ら」などの濁し言葉を取る勇気を持つ。何かを切り捨て焦点を絞るには覚悟が必要。よくないのは、不安や配慮に押し切られ、玉虫色の表現に陥ること。

固有名詞はくどくなるギリギリまで繰り返したほうがいい。そうすることで、文章から具体性が失われず、読み手に固有名詞が浸透していく。また、文章のタイトルや書き出しは、人物名にすると目を引きやすい傾向がある。同じ固有名詞でも、ヒト、コト、モノの順に注目される度合いが高まる。

モヤっとしたら即検索。「たぶんこうじゃない?知らんけど」は絶対ダメ。モヤモヤに対する感受性を落とさないこと。

書き手の思想、感想は一切書かず、起きたことをカメラのように写し取っているだけの文章。こうした事実の積み重ねが、臨場感を生み、それがそのまま読者の興味を引く、オリジナルな文章になっている。思いは客観的事実の中に宿るもの。主観の押し付けは読者を白けさせる。

業界用語などの閉じた言葉は極力避けるべきだが、「aikoの屋外ライブに参加してみては➡︎aikoと夏の星座にぶら下がってみては。」のように、閉じた言葉を敢えて使うことで、特定の読者との距離感をピンポイントで縮めることができる(一種の共犯関係を仕掛けることができる)。

映画は掛かる、コーヒー紅茶は淹れる、抹茶は点てる、将棋は指す、辞書は繰る、のように、名詞と呼応する動詞を用いたほうがこなれた表現になる傾向がある。

インタビューの基本は「同意」と「深掘り」。こちらの意見をぶつける場でも、言ってほしいことを言わせる場でも、相手が隠していることを暴く場でもない。相手の話したいことを、より豊かに聞き出すことがインタビューの本質である。

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