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【読】 キャッチコピー力の基本

■書名 キャッチコピー力の基本 ひと言で気持ちをとらえて、離さない77のテクニック
■著者 川上徹也さん
■発行 株式会社日本実業出版社
    2012年5月1日
■本書を読んだ理由
書くメシ主催のライティング勉強会で、講師として立たれていた豊田里美さんが良書としてお薦めされていたため。
■本書の概要
一瞬で受け手の心に刺さり、気持ちをつかむワンフレーズを生み出す能力を「キャッチコピー力」と定義。今や、普通のビジネスパーソンにこそ一番必要なスキルになったキャッチコピー力。その基本を、どんな人でも身に付けることができるよう、77のテクニックとして、実例を示しながら、優しく分かりやすく解説してあります。


■■印象に残った内容■■

「自分に関係がある」と思わなければ、人の心は動かない。キャッチコピー力の基本は全てそこに集約される。
■例 仕事の整理術➡︎気がつくと机がぐちゃぐちゃになっているあなたへ

人間は、自分が常識と思っていること、今まで深く考えていなかったことに対して問いを投げかけられると「なんで?どうして?」という気持ちが湧いて、逆に気になってしまう。
■例 傷はぜったい消毒するな 千円札は拾うな さおだけ屋はなぜ潰れないのか? なぜ、エグゼクティブはゴルフをするのか?

発信者の強い気持ちが込もっているストレートなフレーズは、人の心を動かす。特に、普通は建て前の言葉を使用することが多いシチュエーションで、思わぬ効果を生むことがある。
■例 怪我を乗り越えての優勝、本当におめでとうございます➡︎痛みに耐えてよく頑張った!感動した!おめでとう!(大相撲の2001年5月場所で、全治2ヶ月の重症に負けず優勝した貴乃花に、当時の小泉純一郎首相が内閣総理大臣杯を授与したときの言葉)

受け手の具体的なメリットが書かれてあると「これは自分に関係がある!」と思ってもらえる可能性が高くなる。
■例 腰に無理な負担がかからないように設計した座椅子➡︎「長時間座りづめでも腰が疲れにくい」と、腰痛持ちから10年以上も支持され続けている座椅子

1995年に流行語になった「私、脱いでもすごいんです」 非常に巧みで、広告主であるエステ会社の技術が光るCMのキャッチコピーである。

スティーブ・ジョブズが、1983年当時、ペプシコーラの事業担当社長をしていたジョン・スカリーを引き抜くときに使った口説き文句。「このまま一生砂糖水を売り続ける気か?それより世界を変えてみたくないか?」

ターゲットを絞れば絞るほど、それに当てはまる受け手は「自分のことだ!」と思い関心を寄せてくれる傾向が強くなる。そして「ターゲットを絞っているようで絞っていない」手法が存在する。
■自動車保険のセールスレターの例 すべてのドライバーの皆さん➡︎自動車保険代を節約したいドライバーの皆さん➡︎自動車保険代を節約したい、週末しか運転しないドライバーの皆さん➡︎自動車保険代を節約したい、週末しか運転しない、30代以上。この3つの条件に当てはまるドライバーの皆さんにグッドニュース!

何かを発信するとき、ハードルを下げておくと、受け手は「自分でもできるかもしれない」と参加しやすくなる。まずハードルを下げて、利用してもらうこと。
■例 ガソリンスタンドの看板「洗車だけでもお気軽にお立ち寄り下さい」 店構えが入りにくそうなレストランの看板「コーヒー1杯でもお気軽に」 現在急拡大を続けている酒屋チェーン「カクヤス」のキャッチフレーズは「東京23区らビール1本から配送料無料」

正直に伝える。正直に欠点や弱点を伝え、そのあとに、弱点を上回るメリットがあることを強調する。
■例 おいしいキュウリです➡︎見た目は不細工、でも味はピカイチ!

このままでは未来は暗い、変わらなきゃ!と思わせる。
■例 あなたの机の上は片付いていますか?➡︎机の上の醜態がかなたの人生そのものだor机の上の惨状に、あなたの人生が凝縮されている

ランキング1位であることは大きなアドバンテージになるが、現実的に1位を取ることはハードルが高い場合が多い。そこで「範囲を絞ったり、限定したりして、基準を変えることで1位になる」という手法を使う。
■例 大学生協でもよく読まれています!➡︎東大・京大で一番読まれた本(東大・京大の生協という限定された条件下でのナンバー1をうまく活用した例)

多くの人が意識していないことに視点を向け「希少性」をアピールする手法。
■例 今年のクリスマスは一生に一度しかありません

影響力の武器(ロバート・B・チャルディーニ著)の中で、以下のような「武器」が人間を反射的な行動に向かわせると記されている。「返報性」「コミットメントと一貫性」「社会的証明」「好意」「権威」「希少性」。逆に自分が受け手の立場になったときには、反射的な行動をしていないか気を付ける必要がある。

シズル(sizzle)とは、ステーキを焼くときの「ジュージュー」という音のこと。広告業界では、生理的に感覚的に五感に訴えてくるもの全てをシズルと呼び、「シズル感がある」のように使われる。

土用の丑の日にウナギを食べるという風習は、エレキテルなどの発明家としても知られる、江戸時代の引札文案作家(今でいうコピーライター)の平賀源内がルーツだと言われている。そのやり口が面白い。

「うまい、はやい、やすい」は吉野家。「清く、正しく、美しく」は宝塚歌劇団。「友情、努力、勝利」は週刊少年ジャンプのキャッチフレーズ。

韻を踏む手法、押韻。韻を踏むために、語尾が同じ言葉を探そうとする際には『日本語逆引き辞典』が便利。
■例 インテル入ってる  セブンイレブン、いい気分

対句の手法。
■例 母としてのSEX、夫としてのSEX ドラッグやめますか?人間やめますか? 寿司を握るな、喜びを握れ。 NO MUSIC NO LIFE(NO PAIN, NO GAINより) 事件は会議室で起きてるんじゃない。現場で起きているんだ。

言葉(コピー)の力は、時として歴史を変えてしまう。受け手になった場合には、マインドコントロールされないよう気を付ける必要がある。
■例 第二次世界大戦中に戦意を高揚させるために政府が発進したスローガン。「欲しがりません、勝つまでは」「進め一億火の玉だ」「産めよ殖やせよ国のため」「鬼畜米英」

話がうまい人は、往々にして比喩やたとえ話も上手である。比喩やたとえ話を使うと、発言に説得力が出る。
■例 王や長嶋が太陽の下で咲くヒマワリなら、オレは夜にひっそり咲く月見草のようなもの(野村克也さん) 監督というものは、常に何がうまくいっていないのかを探さないといけない。私はブラシのようなもの。常にホコリをはらうことをしないといけないのだ(イビチャ・オシムさん)

コピーライターの眞木準さんの代表的なキャッチコピー。「でっかいどお。北海道。」「おぉきぃなぁワッ。」 眞木さんは隠喩(メタファー)の達人でもある。
■例 トースト娘ができあがる 裸一貫マックロネシア人  高気圧ガール、はりきる  タキシード・ボディ流行  帰ったら、白いシャツ(いずれも全日空の沖縄キャンペーンのキャッチフレーズ)

グルメリポーターの彦摩呂さんが使うメタファー。少しくらい強引になって言い切ってしまうと、強いフレーズになる。
■例 この海鮮丼は、海の宝石箱や〜  このおでんは、具材の健康ランドや〜  これはスープのできちゃった結婚や〜

擬物法の手法。
■例 聴衆・観客をかぼちゃだと思って本番に臨め。 休日のお父さん!「粗大ゴミ」から「貴重な資源」になって下さい!

同じ感覚を表す場合でも、いろいろな言葉を知っている方が、表現がより豊かになる。
■例 まずい➡︎不思議な味/好きな人にはたまらない/インパクトが強い/くせになりそうな  劣っている➡︎粗削りな/若々しい/可能性を秘めた/これからが楽しみな/個性的な  古い➡︎伝統がある/どこか懐かしい/レトロな/ストーリーがある  新しい➡︎フレッシュな/流行の/新鮮な/時代にマッチした/これまでにない/最先端の  高い➡︎一生ものの/どこに出しても恥ずかしくない/自信が持てる/オーラがある  安い➡︎リーズナブルな/掘り出し物/お買い得/家計にやさしい

ストーリー全体が象徴的もしくは寓意的ない意味合いを持つ「アレゴリー」という比喩の手法。
■例 鎖につながれた象  徐々に茹でられるカエル  箱に入れられたノミ  エスキモーに氷を売る話

古くから語り継がれてきた「名言」は、人の心を動かす強い力を持っている。名言を利用するポイントは、名言をそのまま、誰が言ったかということも含めて引用すること。
■例 人間にとって、その人生は作品である(作家の司馬遼太郎) 賢いとは、多くのことを知っている人ではなく、大事なことを知っている人を言うのだ(ギリシャの劇作家のアイスキュロス) 為せば成る 為さねば成らぬ何事も 成らぬは人の為さぬなりけり(米沢藩藩主の上杉鷹山) ある事を真剣に3時間考えて、自分の結論が正しいと思ったら、3年掛かって考えてみたところでその結論は変わらないだろう(アメリカ大統領のフランクリン・ルーズベルト) 人を知る者は智なり、自ら知る者は明なり(老子)

有名な映画・小説・曲のタイトルをもじる手法。
■例 ヘンゼルとグレーテル➡︎ヘッテルとフエーテル 1984➡︎1Q84 吾輩は猫である➡︎宅配はネコである

人は権威・有名人・肩書きなどに弱く、このことは心理学的にも「ハロー(後光)効果」と呼ばれ実証されている(ミルグラムのアイヒマン実験)。権威や有名人の力を借りられない場合は、専門家を仕立て上げ、権威にしてしまえばよい。
■例 店長オススメ!➡︎年間200本の映画を観るバイトの山口が、今年一番泣いたオススメの1本です

四文字熟語の一部を変えて、新しい意味の四文字熟語をつくるという手法。
■例 文武両道➡︎文武両脳(教育雑誌eduが提唱している造語)

造語から造語をつくり二匹目のどじょうを狙う手法。
■例 アラサー➡︎アラフォー/アラフィフ/アラカン 婚活➡︎朝活/休活

戦後日本の草分け的な存在として知られる大宅壮一さんは、いろいろな名言や造語を残している。
■例 男の顔は履歴書である  口コミ  一億総白痴化

ストーリーの黄金律で人の心を動かす。すなわち①欠落した、もしくは欠落させられた主人公が②遠く険しい目標に向かって③いろいろな障害や葛藤、また敵対するものに立ち向かっていくストーリー。
■例 2000〜2005年までNHKで放映されて人気を呼んだ『プロジェクトX〜挑戦者たち〜』の番組タイトル

ザイガニック効果(中断効果)を利用したコピーライティング。
■例 もう夏休みのプランは決めちゃった⁉︎ だったらこれから先はもう読まないでください。あなたを悔しがらせるだけですから。

78番目の禁断のテクニック。それは、Hな連想をさせること。
■例 長持ちするヤツか、遠くまで飛ぶヤツか、今夜はどっちのキンチョールがええんや(豊川悦司さんが出演していたキンチョールのCM)    何年か前まで、水着の女性がビールジョッキを持つポスターを居酒屋などでよく見掛けたものです。これも同じ原理です。ビールと水着の女性には何の関係もありません。しかし、そのポスターを見て心が高ぶると、ビールが欲しいと感じているように思ってしまうのです。

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こんな見出し見ちゃうと、ついつい開いちゃいますよね。

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