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成長企業 11の条件

これまで様々な企業とのお付き合いを通して、勝ち組とされる企業をその目で見てきた。
国内外問わず、そのような企業の経営体質を①~⑪に纏めてみた。そのような企業は、該当する項目が四つから五つ以上ある。

① 技術・開発投資を純利益から5%は確実に行っている企業。

成長する企業は、技術・開発投資を毎年、行っておりその投資内容は、基礎研究から設備投資、新開発拠点の建設に至るまで多岐に渡る。米Intel、韓 Samsungが良い事例。開発投資は、先駆者利益をもたらすと同時に業界のトップランナーの位置を確保するもの。技術の衰退=企業の衰退を招き兼ねない。但し、汎用性の高い分野でも、確固たる地位を確立しているメーカーには適用しない。ただ、いつまでも同じことをやっていれば、何れ他国の企業にコピーされ、価格で負けて衰退してしまう。DRAMメモリーが良い事例であろう。

米国 (Micron, etc.)から始まり、日本メーカー(東芝、日立、三菱等)が挙って参入し、ブレークしたが、韓国のSamsungやSK Hynixに主権を奪われてしまった。コピーされ、価格勝負で負けた形の典型である。今、それが新たな局面を迎えており、中国企業が*DRAM投資に積極的であり、韓国のDRAMメーカーを猛スピードで追い上げている。韓国メーカーの技術力が2,3年進んでいても、先ずは、汎用DRAM分野を食われ、その後、ハイエンドの技術を身につけられ、価格勝負となる。韓国が民間の財閥系に対して、中国のメモリー企業には、国営の資金が入っており、半官半民である。その投資額は、民間企業の比ではない。
技術は、先端装置と共に、競合企業の技術者のヘッドハントで追いつくことも容易である。
愛社精神も大切だが、数億円単位の契約金を積まれた場合、あなたならどうしますか?
会社に残って、開発に従事して活躍しても、精々、昇進して収入が年間50万から100万円アップするのみ。これも大きな事ではあるが、数億円とは比較にならない。優秀な技術者は、2,3億円で引き抜かれ、生活面や福利厚生もしっかり面倒を見て頂ける。技術を出し切ったら、社内に人脈を構築していない場合は、契約を打ち切られるが、限られた期間に2,3億円を稼ぎ、その間の生活固定費が殆どかからない生活を送れ貯蓄も十分できる。
契約を打ち切られたとしても、また、その企業に勤務した経歴が 自身のキャリアとなり、再就職にも有利である。ヘッドハントも企業の開発投資なのである。

② IPを多々、保有している企業。

製法、基本設計、基本構造、基本成分、若しくは、ゲームやアニメの肖像権・著作権等を保有している企業は、とにかく強い。高い技術力や想像力を保有している企業であり、IPの利益だけでも経営が成り立つものである。ソフトバンクの資本配下となった英ARMは、携帯電話の*アプリケーションプロセッサーの基本設計に特許を保有しており、ガラ系には、100%採用されていた。スマホでもAndroid系では、ほぼ100%である。携帯端末1台毎に10円の利益を得ることができる。それが、年間15億台は出る携帯市場の中で使用されている訳である。過去、米国 Motorolaが開発したBGA (Ball Grid Array)も同様であり、この半導体は、それまでのリードフレームを使用した半導体を、有機材を使用することで、大きく変えたことで知られている。他社が1個BGAを生産するごとに3%の特許料が売価に対して発生する。半導体パッケージの売価であり、基板に対する売価ではない。その為、爆発的な利益を生んだ。アニメやキャラクターもその知名度によっては、ロイヤリテイーが高く、それだけで食っていける企業もある。ある企業は、それだけで50億円以上の利益を上げている。

IPを保有するということは、使用料に対する報酬以外に、対抗企業に対して、技術的に有利であり、開発に対する抑止効果を発揮する。対抗企業はどうやって、IPを免れるか試行錯誤することになり、その分野で一歩、出遅れてしまう。

日本では、開発者に対して、企業より微々たる奨励金が、若しくは、昇進に向けての査定となるものだが、外資系企業は、開発者に対して、その価値によっては、膨大な奨励金を支払っている。開発は一人で出来るものではない為、それに従事したチーム全体にも同様な奨励金が支払われる。日本の優秀な技術者が海外に流出するのも頷ける。

③ 不採算事業からの撤退、事業売却等を速やかに行う企業。

法人税を軽減する為、グループ会社や、社内事業に赤字事業体を残している企業もある。
ただ、明らかに経営の足を引っ張っている、若しくは、引っ張るであろう事業が存在・予知できるのであれば、速やかに撤退するか、事業を売却することが重要であると考えている。独Infineonは、不採算となる見込みであったDRAMメモリーをいち早く本体から切り離した。DRAMメモリー事業を社分化させ、Qimondaとする新会社として始動させた。Infineonの資本こそ入ってはいたものの、本体の経営リスクを軽減できるもので、Qimondaも独立経営をされていた。しかし案の定、価格競争力に劣り、倒産したものである。米Intelや、仏・伊 ST Microelectronicsは、不採算となることが見込まれたNor型フラッシュメモリーをいち早く、本体から切り離した。IntelとSTは、Norフラッシュを専門に製造するジョイントベンチャー企業“Numonyx”を立ち上げた。ROMの時代は、大容量型Nandに移行するタイミングである。特定の潜在需要はあるNor型メモリーだが、成長が見込めないと判断した両社の利害関係が一致した形。案の定、業績は、悪く、何時、倒産してもおかしくない状態であったが、救世主ともいうべき米MicronがNumonyxを買収した。
米Micronは、米Intelとのパートナーシップを維持したいという思惑と共にDRAM, Nand, Norと言った3つのメモリーを保有する韓 Samsungへの対抗意識が強く追撃すべく買収し、世界第二位のメモリーメーカーとなった。今尚、この3の種類のメモリー品目を保有しているのは、韓Samsungと米Micronのみである。米Western Digitalは、米SanDiskを買収し、Nandに特化しており、これは、東芝も同じである。韓SK Hynixは、DRAMとNandの2種類である。事業の専業化は良くないと個人的には感じているが、Nandには使用分野に多様性がある。スマホ、デジカメ、サーバー、車、パソコン、USB等々、Nandは採用されている。現在、東芝メモリーズは、東芝本体から抜け出し、キオクシアとして独立経営をされている。とは言っても東芝本体とHoyaの連合株式保有が50.1%でマジョリテイーを辛うじてキープしている形。市場で善戦しているが、*Nor型も*Nand型メモリーも東芝本体にあった頃のメモリー事業部が開発したもの。この会社だけは、外資の手に堕ちてほしくないと個人的には考えている。

事業の撤収や事業売却は、そこに従事する従業員の絡む話であり、リストラや、課徴金、手続き等、経費がかかる作業ではある。一時的に血を流すことになるが、再生においては、会社にとっても、個人にとっても良い結果をもたらすものと考えている。会社は赤字事業から早期に撤収することができ、経営リスクを回避できる。個人としても35歳で再就職したほうが40歳で再就職するより有利である。

④ 経費圧縮を速やかに行う企業。

業績が悪い企業は、出張費、交際費、電力・水道費を厳しく管理するのは当たり前で、常識的に行われていること。ここでいう経費の圧縮とは、固定費のことである。若しくは、人件費である。製造メーカーであれば、設備は減価償却できるが、従業員に要する固定費は、年々上昇するものと考える。人件費程、高いものはないのである。

経済不況や不透明感の長期化は、経営者を不安にさせるもの。想定した仕事量がこない場合、想定して雇用した人員に余剰が発生するのも当たり前である。その影響が許容範囲であれば、常識的な経費の節減を行い、パワーを温存すべきである。ただ、不況の時こそ、能動的に打って出てくる企業もある。それは主に次世代品への開発投資や技術向上に対する投資で、市況の回復に備えるもの。稼働率を維持する為、商売を取るのに大幅な価格値下げを行っても後には何も残らない。それを追従するメーカーが出てくるには当たり前で、品目の市場売価を下げてしまうだけである。そもそも先進国の日本企業は、価格面では、後進国に勝てない。これも常識的なことである。

経済不況の長期化で、会社がその損失を許容できない場合は、速やかに人員の削減を行うことも手段の一つ。振り返ってみると、若ければ若い程、就職先の間口が広く、再始動がしやすいものである。個人的には、単に経済不況が要因であれば、人員雇用を守りぬき、市場の回復を狙ったほうが良い。というのも想定範囲の仕事が来る見込みがあれば、人員をキープし、そのタイミングに備えることができる。経験者を切ってしまえば、想定した仕事量が戻ってきた時、新たに人の雇用を始め、教育し、経験を積ませる必要があり、立ち遅れてしまう。

明らかに人員の削減を行うべきタイミングは、自社製品が、市場で評価されず、競争力を失っているときである。再生の道があれば、テコ入れも可能だが、日系企業で多いケースが価格競争力での負けである。特定の分野は、設備産業でもあり、同じ装置を日本に入れ従業員を雇用するより、同じ装置を後進国に入れ、現地の従業員を雇用したほうが安いのはあたり前である。その人件費が固定費となり、製造原価にのしかかる訳だから当然である。同じ装置を使えば、同じものが日本国外でも作れる性質の産業が危ないのである。そういった企業は、予め、海外に生産工場を保有されたほうが良い。低価格品は海外生産、付加価値が高いものは日本生産とされている企業も少なくない。

⑤ 事業が専業化されていないこと。(但し、品目やサービスに分野の多様性がある場合は別)

事業の専業化が悪いとは思っていない。それは、生産品目やサービスに分野の多様性があることが多いからである。ただ、その専業化している事業に多様性が見込めない場合、若しくは無い場合は、その応用技術を用いて、新たな事業の創設を模索すべきと考えている。
たとえば、センサーでも様々な種類があるが、その中の一種類のみ生産していても分野は限られてしまう。例えば、スマホ専用のタッチスクリーンセンサーは、スマホのタッチセンシングにのみ機能するため、それだけの用途になってしまう。競合も多い分野で、スマホのみの需要に依存する為、限られた顧客の奪い合いとなり、最後には、価格勝負の世界が待っている。そうであれば、同じセンサーの仲間である、加速センサー、磁気センサー、気圧センサー、手ぶれセンサー、角度補正センサー、モーションセンサー等、その種類に幅を持たすべきである。加速センサー、磁気センサー、気圧センサーは、車載分野でも多く使用する為、ビジネスの幅が広がり、会社経営のリスクヘッジになる。

事業の柱を多くもつことのリスクヘッジも重要である。電子部品部門、医薬品部門、ソフトウエア開発部門と言った形で全く関連性がないヘッジも良いが、相当な資金力が必要とされる。事業を創設するには、中途半端に終わらせさせない為にも膨大な初期投資が必要となる。それなりの人材も雇用する必要がある。寧ろ、関連性がある事業の創設が会社の方向性を示す意味でも良いと考えている。IOTプラットフォーム開発、アプリ・ソフトウエア開発、RFID開発といった具合である。IOTの仕組みがあり、それを機能させるソフトがあり、それに関わる人の認証に至るまでのソリューションがあり一貫性がある。各事業を包括的に若しくは、個々に進めることができる点にも強みがある。引出は多いほうが少ないよりいいという発想で、これは芸能にも人のあり方にも言えること。

また、生産品目やサービスの専業化とは別の形だが、主要、取引先1社に対する依存度が高すぎる企業には、大きなリスクファクターがある。特定顧客の専業となれば、ビジネスは、顧客の言いなりで、その顧客の業績はもろに自社の業績に反映されてしまう。
メイン顧客を分散できれば、当然、そのリスクファクターを軽減することができる。欧米では、メイン顧客との取引は、30%までとしているメーカーもあれば、15%までと決められているメーカーもある。主要顧客5社にその他、諸々と言った顧客構成は安定的である。
最も望ましいのは、10%の取引を10社と行い100%とする考えである。但し、こういった取引のコントロールは、営業的にも難易度が高く、経営方針や政策面でのバックアップが必要とされる。主要顧客は、多ければ多いほうが良いのである。

⑥ マーケティングが行われていること。

過去より指摘されていた日系企業の弱点とも言うべきところで、機能が充実した品質の良いものを開発し、販売すれば売れると確信していた日系、民生品企業は、外国企業に国際競争で負けてしまった。機能も品質も良いのに販売が国際的に伸びなかった大きな要因は、単に、過剰スペックであったということ。当然、価格にも付加価値として反映される為、途上国等では競争力を失ってしまう。その国の平均所得に応じた価格帯で、その必要とされている仕様で製品をカスタマイズし、販売すれば、ニーズと価格が消費者の関心を引く。程々の仕様で十分なのに使わない機能が多く、割高な日本製は、手が出ないといったところ。これは、コマーシャルなマーケティングであり、現地の事情を良く理解する必要がある。この点は、もう改善されている企業が多い。

テクニカルマーケティングは、顧客の開発品目や仕様ニーズを捉え、自社の技術開発に役立てたり、自社の技術を顧客に提案し、その用途や応用といったソリューションを提案する性質のもの。大手企業は、この点も修正されており、全く問題を感じないが、中小企業には普及しきれていない。ある商材を改良・開発し、より良いものが出来たが、その販売先とか、使用用途が見当たらず、日の目を浴びていない優秀な商材が多く存在する。
良いものを作ったのだからその利用目的は、顧客が考えるものという楽観的な考えは、確実に的を得ていない。そもそも開発テーマを立案する際、目的・用途・価格帯・対抗・対象顧客といった情報がある訳で、それは一体どうなってしまったのかと感じてしまう。
半導体では、本来の目的とは全く異なる用途に顧客が採用・応用し、大成功した商材が多々あるが、これは、単に運が良かっただけで、実は、失敗なのである。この点を改善するには、テクニカルが分かる人材を、分野を超えて徹底的に顧客の技術と交流させるべきで、これを無駄な経費と考えるか生きた経費と考えるかの話だけである。得たいものがあれば、金を使うべきで、そういったチームは、企業内に編成すべきである。

マーケティングの従事者は、技術動向と共に、市場動向をしっかり把握する必要がある為、広く浅くではなく、狭く深くであり、そういった人材の育成に企業は力を注ぐべきである。マーケット情報は、ネットでも氾濫しているが、それを読んでいるだけでいい訳ではない。
提携している業界のコンサルタントやリサーチ会社の言う話をただ聞いていればいい訳でもない。その情報を検証する必要があるし、それより何より、将来、対象としたい顧客との接点を持つ必要がある。新規の顧客開拓の役割を担う必要がある為、どんどん顧客回りをさせるべきである。そういった事は、専門商社にお任せというスタンスでも良いかも知れないが、メーカーとして本当にそれで良いのか、考えてしまう。

⑦ 経営判断が速いこと。

日系企業は、先ずは、稟議書を無くすことである。若しくは、その関所となる関連部門や管理職・役員の承認欄を減らすべきである。提案事項は、合議制の集中審議、若しくは、トップダウン方式でも良いと考えている。その案件に対して、判断できるだけの宿題を立案者は、事前に準備する必要があり、それはそれで大変である。想定できる質問には予め備えるべきで、膨大な準備資料が必要とされるが、結論を導く為のもので、それぐらいは、当たり前と言えば当たり前である。問題なのは、早期に決済する仕組みがその企業内にあるか、又は、目が効く経営陣、感性の高い経営陣がいるかということ。欧米企業は、合議性の集中審議で決済する事例が多いが、当然、懸案も出てくる為、一回では決まらない。但し、タイムラインをしっかり管理し推し進める為、GO / NO GO / HOLDの判断が速い。日系企業もそういう意味では以前よりかなり早くなっているが、会議から次回会議までの合間が長く、タイムラインの設定が曖昧である。

ワンマン社長型の企業は、トップダウンがしやすく、決断が速い。始動も早く、一匹のトラが率いる100匹の羊の体制で強いとされている。100匹のトラを集めてしまうと利権争いを起こしやすく纏まらない。とにかく強いリーダーにより進められる案件程、確実なものはない。要は、承認欄にある方々は誰一人責任をとる必要がない訳で、陣頭指揮を執る必要もない。臆することがないのである。

⑧ 技術力、開発力と共に営業力があること。

何故か、日本のメーカーでは、製造が強く、営業が弱い。欧米では真逆で営業が圧倒的に強いのが特徴。カスタマーファーストに徹しているのである。日系の各企業の営業は、強みもあるが弱みもある。個々の能力は高いものの、それをサポートする工場側が脆弱であったり、自己都合で案件を後回しにされてしまい能力がフルに発揮できないことがある。とにかく営業は、メーカーでは立場が弱いと感じている。営業でも納期と価格だけに重きをおき、技術の理解度、商品の理解度、市場動向の知識に乏しい方々もいる。これは完全な怠慢であり、海外ではこういった営業をデリバリーボーイと揶揄されている。好ましいのは、納期、価格の要素に加え、技術、品質の理解度が高く、市場動向に明るい営業である。当然、顧客前での立振舞いや、気転が利くところ、トークが上手いこととか、あれこれ言い出したらきりがない。完璧な営業は、あまり存在しないものであり、営業能力が高い人は、管理能力が弱く、営業能力が低い人は管理能力が高いといった特徴もある。そのバランス感覚が良い人材こそが昇進するタイプである。

企業が営業力を高める場合、様々な方法があるが、先ずは、プロパーの育成である。営業からではなく、技術や生産技術を経験させた上で営業として活用するのが好ましい。海外向けの営業だが、セールズエンジニア的な要素を持ち合わせていなければ相手にして貰えない。しっかり営業と技術が分業化されていれば良いが、技術者で言語に堪能な方は中々見かけることがない。読み書きが上手くても話せないタイプが多いのである。ただ、技術者同士だとあれこれスケッチを描いたりして対話し、理解をし合うことが多いので、何となくうまくいっているようなイメージである。先ずは、技術に精通させ、英語・中国語といった主要言語を徹底的に社内教育させ、営業に配属させることを勧めたい。もう一つの選択肢は、キャリアがある中途の雇用である。てっとり早いが、キャリアがあっても分野が異ったり、ズレたりすると全く力が発揮できない場合がある為、見極めが重要である。また、キャリアがあるということは、中間管理職レベルの位置つけの為、扱いづらい側面もあるし、定着するかどうかの問題もある。

とにかく営業は売る事・お金を回収することの原則的な機能を果たす義務がある。ビジネスマネージメント型と、ビジネス開発・開拓型とに分けて能動的な営業活動をすべきである。ネタの引き出しが多く、嗅覚が利く人材は、開発・開拓型と言ったところ。

⑨ 国内・海外販売比率がほぼ均等であること。

海外輸出依存度の高いメーカーには、為替変動による為替差損の可能性があり、当然、その逆もある。海外市場では、製品がハイエンドであれば戦えるが、汎用性の高いものであれば、外国企業とも戦うこととなり、価格勝負で負けるというパターンが多い。特殊で精密な商材や商品や薬品類であれば、海外メーカーに負けることはないが、どこでも作れそうなものはコピーされ、確実にシェアを失っていく。国内市場は、為替変動を受けることがなく、内需も比較的安定している。取引先をあっさり乗り換えることもあまりしない体質もある。実は、外資系企業にとって、日本市場に入ることは、最難関なのである。日本には、すでに外資の持っている商材があり、製品完成度も高い為、輸入する、若しくは、外資系企業から購入するメリットがあまりないのである。入り込む余地がないと言っても良い。日本メーカーの受け入れ検査は、基準が良くも悪くも厳しい為、これもまた、外資系の参入ハードルを高くしていることの要因。国際的には、問題がなくとも日本の規格では、不良扱いとなるものが多く、安値より品質ファーストのこだわりは、良くも悪くも国内市場を守り続けている。問題は、国内企業は似たり寄ったりの力を持つ企業が極めて多いこと。テレビで言えば、お隣、韓国の製造メーカーは、三星とLGの二社に対して、過去、日本には、東芝、ソニー、パナソニック、富士通、日立、三菱、シャープと7社あった。それぞれ品質もよく価格帯も似たり寄ったりである。

外資系企業が日本で最も成功する事例は、ファーストフードやコーヒーチェーンのフランチャイズである。毎年、“日本初上陸”というキャッチフレーズで、欧米、若しくはアジアで有名な飲食チェーンが参入されている。どうやら日本は食に対しては、好奇心が旺盛で開放的なところがあるようだ。GONGCHAのタピオカティーショップに行き、あの長蛇の列をみると驚きすら感じてしまう。すでに台湾や華僑圏では、根付いている為、購入するのに並んだことはないのだから。

国内市場は選択肢が多く、ある意味、サプライチェーンが確立・定着している感があり、
爆発力に欠けるという欠点がある。そういう意味では、輸出は大きな市場と向き合うこととなり、大きなビジネスチャンスが潜在的にある訳である。

⑩ 内部統制が機能していること。

内部統制は、各社、コンプライアンスを強化しており、上手く機能されている。特に交際費の支出に関しては、公私混同することが少なくなって来ているように思われる。同僚や他人の目が気になるのである。そういった管理面では、機能されているが、年に数回、大手メーカーがデータの改ざん問題で頭を下げている記者会見を良く見かけることがある。
このデータの改ざんは、現場の担当者や班長が勝手に判断したものと責任転換されているが、意外と関連部門の人間であったり、上層部が知っていることが多い。
財務上の改ざんは、投資家に対する詐欺とも言える行為であり、製造データの改ざんは、後に製品のリコールを招く要因にもなりうる。こういった行為は、信用を失うこととなり、メーカーにとっては致命傷である。やはりブランドイメージと信用は連動する為、ガイドラインに沿った形で日々の生産活動、若しくは、業務を行ってほしいものである。

⑪ パートナーシップ、資本提携、業務提携が旺盛なこと。

別に利害関係が一致しかければ、業務提携や資本提携を行う必要はない。但し、業務の拡張と共に、関連する企業の技術やサービスが必要となる場合は、自社で分野開拓をせず、提携先を模索し、シナジーを狙ったほうが良いものと考えている。外資系企業との資本提携や業務提携も国内問わず、行うべきで、販路を広げる大きな経済効果をもたらす。

ただし、国内・海外問わず、文化の異なる企業が足並みを揃えて活動ができるかと言えば、極めて大変な作業が伴う。そもそも別会社の人間と連携する為、考え方を含め、双方が自社に有利に働くよう、連携しあおうとする。やはり資本提携こそが足並みを揃える手段かと個人的には考えている。後々、双方が揉めないよう、しっかりとしたガイドラインを設定し、それを定着させることが重要。人事交流を含め、積極的に推し進めることが、確実にシナジーをもたらすことができるようになる。今後、国内内需に依存している企業は、海外に打って出ることも視野に入れ、パートナーを探すことが予想されるが、相手を間違えると損失を招きかねない為、自力でパートナーを模索するより、外資系と日系企業のペアリングサービスを行っている専門会社も多い為、そちらを活用されたほうが良い。特に中国であれば、こういったペアリングを行うコンサルタントは、政府に精通している人物が多く、確実に間違いがないペアリングを提案してくれるものである。

ここまで書いた①~⑪の内容は、あくまでも個人的な考えであり、すべてが当てはまることはない。ただ、勤務している企業がどのような体質でどのような経営ポートフォリオを描いているかしっかり理解すべきである。

*1  DRAM                                                                                                Dynamic Random Access Memory(ダイナミック・ランダム・アクセス・メモリ、DRAM、ディーラム)は、コンピュータなどに使用される半導体メモリによるRAMの1種で、コンピュータの主記憶装置やディジタル・テレビやディジタル・カメラなど多くの情報機器の、内部での大規模な作業用記憶として用いられている。(通常のSRAMと同様に)揮発性(電源供給がなくなると記憶情報も失われる)であるばかりでなく、ICチップ中の素子に小さなキャパシタが付随すること(寄生容量)を利用した記憶素子であるため、常にリフレッシュ(記憶保持動作)を必要とするダイナミックメモリであることからその名がある。SRAMに比べ、リフレッシュのために常に電力を消費することが欠点だが、今のところ大容量を安価に提供できるという利点から、DRAMが使われ続けている。(Wikipideaより引用)

*2 アプリケーションプロセッサー                   スマートホンやタブレット型端末でCPUとともに統合されたプロセッサーのうち、通信や通話以外のオペレーティングシステムなどさまざまなアプリの処理を担うもの (コトバンクより引用)

*3 Nor型、Nand型                          Nor型は読み出し速度、ランダムアクセスが高速な一方、NAND型に比べ、集積度が劣る、書き込みが遅いなどの欠点が挙げられる。(Wikipideaより引用)


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