映画好きとプレイステーション

待望のPS5の公式情報が発表されました。
といっても私はゲームはまるでやりません。
注目しているのは、両極端とも言うべき商品戦略をとっている所にあります。

4KUHDブルーレイ対応ドライブを搭載した本体と、ディスクドライブ無しでインターネットを介したダウンロードのみ可能な本体の2種類を発売するという、今後の世の中の流れを決める、言い換えればパッケージメディアの運命を決めるであろう商品だということです。

プレイステーションというと、私はゲーム機としてではなく、映画を観る為のプレーヤーとして大変お世話になりました。今回発表されたPS5の4KUHDブルーレイプレーヤーとしての期待を、これまでの歴代プレイステーション本体とパッケージメディアの流れについて少しお話したいと思います。

まず、PS2の登場は映画界においてもかなり大きかったと思っています。私自身、初めてDVDを再生したのはPS2でした。人間は新しい物を使える環境を持つと自然に良いほうに移行するものです。自己紹介でもお話している通り、幼少期からビデオを観るのが大好きで、VHSを漁るように観ていたのですが、PS2を買った記念に当時レンタル店にちょこっとだけ置いていたDVDなるものを借りて観たのが最初でした。何がスゴかったかって、洋画で字幕と吹替が一本になってるという所でした。

普段ビデオを観ないような人も、PS2を持っているからDVDを観ようかなという考えを持った人、いっぱい居たと思います。それすなわち、世代問わず自宅で映画を観るという人口が増えたということです。

そんなタイミングで海外ドラマや韓国ドラマがブームになり、店側も借りる側もコンパクトで一気に何本も借りやすいDVDにどんどん流れ、今までVHSで観ていた方々も、新しい作品を観るにはDVDプレーヤーを買うしか道が無くなり、機械に弱いとかなんとか言う人達も渋々移行して今に至るというところじゃないでしょうか。

使い方もわからないのに、おじいちゃんおばあちゃん、みんなスマホを持っています。まあトゲのある事を言うと、携帯電話屋さんが詐欺まがいな事をして買わせているというのもあると思いますが、大手のキャリアさんがガラケーの新機種を出していないのが一番の要因でしょう。ガラケーみたいな形のスマホも出ていますが、それよりも普通のスマホを持っている人のほうが多い印象です。

これは、提供する側が強引に新しい物に変えているからで、プレイステーションこそがそれなのです。PS4が発売された際、最初のうちはPS3でも同じタイトルが出ていましたが、そのうちPS4でしか出さなくなり、PS3のゲームは製造終了となる流れです。新しいゲームをやりたければPS4を買う他に道は無いのです。

少し脱線して、レンタルビデオの話をします。

DVDがレンタルされ始めたのは2000年くらいからです。それからどんどんVHSが無くなっていき、店によってですが完全に消えたのが2005年くらいだったと記憶しています。まあスペースの問題とか映像が劣化しないとか、単純にこっちのほうが便利だからという要因が大きいのですが、レンタル業界の話で言えばVHSからDVDに完全移行するまで約5年です。
一方、ブルーレイが出てからもう10年以上経っていますが、移行どころか何も変わっていない状況です。今回のPS5に搭載される4KUHDブルーレイが出て4年ほど経っている状況にもかかわらずです。これは良くない。アメリカや他の国も似たり寄ったりな状況かもしれないですが、次世代技術うんぬんをひけらかす万博の次の開催地が日本(大阪)に決まっている中で未だにDVDが主流って・・・

一体何故なのか?

PS2が世の中にDVDを普及させたのは間違いないと思いますが、PS3が出た時に何故ブルーレイがあまり普及しなかったのか?これはタイミングとか何もかもが悪かった。2006年にPS2の後継機としてハイビジョン対応・ブルーレイ再生可能という抜群の性能を引っ提げて満を持して世に出た訳なのですが、当時は世の中まだまだアナログ放送の時代で、ハイビジョンなんか金持ちの娯楽だった訳です。ハイビジョン対応テレビの普及も微妙な時代にPS3を買った!という人も、お馴染みの黄赤白の3色端子(RCA端子)を使っていたのではないでしょうか?その状態でブルーレイを観ても画質はDVDと何も変わらないので、「DVDとあんまり変わらないな」と思い込んじゃった人が結構いたのではないでしょうか。そもそもPS3本体に同梱されている映像ケーブルというのが、先の3色端子のみだからです。ハイビジョン対応でHDMI端子が接続できるテレビを使っていたとしても、知識の無い人はそのまま3色端子で繋いで使っていたのではないでしょうか。

HDMIケーブルを知らない。未だにそういう人が沢山います。それがブルーレイが普及しない最大の原因です。何故そんな事になってしまったのかというのは先ほどのPS3と同じことで、初期のブルーレイレコーダーを始め、ハイビジョンレコーダーを買ったのに3色ケーブルで使っている・いた人が多数だからと推測しています。最近ではもうHDMI出力のみの機種ばかりですが、ちょっと前の機種は3色端子の出力もあって、古いテレビしか持っていなくても使えるという安心感を与えた結果、進歩しなかった。もっと言うと、最初の頃はハイビジョンの普及というよりかは、テレビを買い換えなくても使える物ですよ!という具合で、いかに買ってもらうかを重視した結果、PS3同様に付属品としてHDMIケーブルなどハイビジョンで接続できる物は無く、アナログ出力しかできない3色ケーブルが同梱されていました。

なんでやねん!

せっかく高機能な製品を買ったのに、そりゃ誰もハイビジョンの凄さに気付かないです。世の中、テレビの接続とかそういう知識のある人なんてごくごく少数です。家電量販店の店員さんならわかると思いますが、現在においてもテレビやレコーダーの購入を検討している人にHDMIの説明をするのがいかに煩わしい事か。ただ1本の線を繋ぐだけで、1+1=2と同じくらい簡単な事ですが、それを知らないor理解しようとしない人が世の中に多すぎるのです。

製品を買わせる事を重視して知識の無い層に寄せすぎたせいで最新技術がいかにスゴいかという本来の魅力を伝え損なったのではないでしょうか。

極端な例えをすると、18金のネックレスを金メッキのネックレスとして広めたようなもんですよ。

その当時のブルーレイというのは、もちろんDVDより値段が高かったので、画質が特に変わらないとなると、そりゃ誰も乗り換えません。
強いては、ブルーレイを再生できる環境があるのに、ブルーレイはうちでは再生できないと思ってる人も居ると思います。

PSのライバル?にあたるX-boxに搭載された伝説のHD DVDという存在との次世代メディア戦争があったという点については、ここでは触れないでおきます。

そんなPS3の発売から約7年

PS4が出た訳ですが、ぶっちゃけゲームをしない人間からすると何の魅力も無い商品でした。ブルーレイを越える次世代メディアが搭載されている訳でもなく、ただただゲームの処理速度やらがスゴいというだけだったので。そんな中、世の中には4Kテレビという存在が徐々に頭角を表してきます。すると、4K出力に対応した新しいPS4が発売されました。しかし、そこには今回PS5に搭載されている4KUHDブルーレイは搭載されませんでした。まあそれは仕方ありません。今の流れだと4KUHDなんていうのは、ごくごく少数の好き者だけが楽しむ製品だからです。未だDVD主流の世の中で、一体どれほどの人間が4KUHDを求めているのでしょうか?PS5が発売されたらこの状況は変化して徐々に4KUHDブルーレイが広がっていくと期待していた矢先のディスクドライブ非搭載版の発表です。ブルーレイの普及すら許されないまま世の中はインターネット配信だけの世界になってしまうのか。

以前、パッケージメディアに固執する13の理由という話で言いましたが、配信は個人的に信用できないのです・・・

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