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「JIS X 8341-3」の達成基準について|ウエブアクセシビリティ

ウェブアクセシビリティの達成基準には3つのレベルがあり、それぞれ重要性やページの機能への影響を考慮して設定されています。
最低レベルのAから、より高いAA、そして最高レベルのAAAへと段階的に向上します。

  • A: 最低レベルの適合基準。

  • AA: 中程度の適合基準。

  • AAA: 最高レベルの適合基準。

しかし、AAAの基準を全て満たすのは難しい場合があるため、サイト全体でAAAを要件とすることは推奨されていません。
総務省の「みんなの公共サイト運用ガイドライン」(2016年)では、公的機関にはAAレベルの適合を求めています。

そのため、今回は、その3段階の達成基準のうち、レベルA、AAについて具体的にどのような内容なのかを、ウェブアクセシビリティ基盤委員会(WAIC)が提供する早見表を参考に、見て行きたいと思います。

レベルA(最低レベル)

1. 知覚可能

  • 1.1.1 非テキストコンテンツ
    画像や動画など、テキストでないコンテンツには代替テキストを提供する。

  • 1.2.1 音声だけ及び映像だけ(収録済み)
    音声のみ、または映像のみのコンテンツには、代替となるテキストコンテンツを提供する。

  • 1.2.2 キャプション(収録済み)
    収録済みの音声コンテンツにはキャプションを提供する。

  • 1.2.3 音声解説又はメディアに対する代替コンテンツ(収録済み)
    収録済みのメディアコンテンツには音声解説や代替テキストを提供する。

  • 1.3.1 情報及び関係性
    情報とその関係性を明示する。

  • 1.3.2 意味のある順序
    コンテンツの意味が正しく伝わる順序を保つ。

  • 1.3.3 感覚的な特徴
    感覚的な特徴(例:色の使用)に依存しない情報提供。

  • 1.4.1 色の使用
    情報伝達に色の使用のみを依存しない。

  • 1.4.2 音声の制御
    自動再生の音声を制御可能にする。

2. 操作可能

  • 2.1.1 キーボード
    キーボード操作を可能にする。

  • 2.1.2 キーボードトラップなし
    キーボード操作がトラップされないようにする。
    「キーボードトラップ」とは、ウェブサイトやアプリケーションをキーボードで操作する際に、ユーザーが特定のインタラクティブ要素(例:リンク、ボタン、フォームフィールドなど)から他の部分に移動できなくなる状況を指します。

  • 2.2.1 タイミング調整可能
    時間制限がある場合、調整可能にする。

  • 2.2.2 一時停止,停止及び非表示
    自動更新コンテンツを一時停止、停止、または非表示にするオプションを提供する。

  • 2.3.1 3回の閃光、またはしきい値以下
    閃光を1秒間に3回未満に制限する。

  • 2.4.1 ブロックスキップ
    繰り返しコンテンツをスキップする手段を提供する。

  • 2.4.2 ページタイトル
    各ページにわかりやすいタイトルをつける。

  • 2.4.3 フォーカス順序
    フォーカスの移動順序が論理的であること。

  • 2.4.4 リンクの目的(コンテキスト内)
    リンクの目的がわかるようにする。

3. 理解可能

  • 3.1.1 ページの言語
    各ページの言語を明示する。

  • 3.2.1 フォーカス時
    フォーカスが当たった際に意図しない動作を起こさない。

  • 3.2.2 入力時
    入力時に予期しない変更を起こさない。

  • 3.3.1 エラーの特定
    エラーが発生した場合、それをユーザーに通知する。

  • 3.3.2 ラベル又は説明
    フォーム要素に明確なラベルや説明をつける。

4. 堅牢(Robust)

  • 4.1.1 構文解析
    HTMLなどの構文が正しく解析できること。

  • 4.1.2 名前(name),役割(role)及び値(value
     UIコンポーネントに名前、役割、値を明示する。

レベルAA(中程度のレベル)

1. 知覚可能

  • 1.2.4 キャプション(ライブ)
    ライブ音声コンテンツにキャプションを提供する。

  • 1.2.5 音声解説(収録済み)
    収録済みのメディアコンテンツに音声解説を提供する。

  • 1.4.3 コントラスト(最低限レベル)
    テキストと背景のコントラスト比を最低でも4.5:1にする。

  • 1.4.4 テキストのサイズ変更
    ユーザーがテキストサイズを200%まで拡大できるようにする。

  • 1.4.5 文字画像
    テキストの代わりに画像を使用しない。

2. 操作可能

  • 2.4.5 複数の手段: 1ページ内の異なる手段でナビゲート可能にする。

  • 2.4.6 見出し及びラベル: 見出しとラベルを適切に提供する。

  • 2.4.7 フォーカスの可視化: キーボードフォーカスがわかりやすく表示されるようにする。

3. 理解可能

  • 3.1.2 一部分の言語: コンテンツの一部が異なる言語で提供される場合、その言語を明示する。

  • 3.2.3 一貫したナビゲーション: ナビゲーションが一貫していること。

  • 3.2.4 一貫した識別性: 同じ機能が一貫して識別可能であること。

  • 3.3.3 エラー修正の提案: ユーザーにエラー修正の提案を提供する。

  • 3.3.4 エラー回避(法的,金融及びデータ): ユーザーが法的、金融、またはデータの送信エラーを回避できる手段を提供する。

まとめ

ウェブアクセシビリティは、これらの要素以外も、考えながら制作する必要がありますが、このように、達成基準があると、具体的な手段についても考えやすくなるため、良いことだなと思いました。
なにをやればわからない場合は、まずはこの基準をもとに取り組むことが良いと思います。

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