見出し画像

CardWirth/第一歩

冒険の日記をつけよう、と言ったのはカスパルだったと思う。
俺たちはせっかく冒険者なのだから、波乱万丈の毎日を記録しないほうがもったいない。みんなでそう笑い合って、じゃあ初めの一日目はリーダーのヴァンに、と俺に白紙の本が回ってきた。

そういうわけで、初めて受けた依頼の話を書こうと思う。

第一歩

郊外の廃教会にゴブリン退治に行く。
駆け出しの冒険者にぴったりの、適度に危険で、よくある依頼に思えた。
そのときの俺たちは「適度に危険」ということがどういうことなのか、正直まったくわかっていなかったと思う。

死にかけて、殺して、また死にかけて、また殺して。
この悪夢が日常になる。死にたくないと思いながら、明日も依頼を受ける。
肉はうまいし、仲間はいい奴らだ。俺は冒険者になった。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?